地球温暖化の抑制に向けてー。山形県酒田市から世界を変える

独自取材!

山形県酒田市

地球温暖化の抑制に向けてー。山形県酒田市から世界を変える

移住者プロフィール

池田友喜

移住時期
2014年3月

出身地:山形県酒田市、現住所:東京都と山形県酒田市の2拠点生活、職業:株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表取締役

移住時期
2014年3月

出身地:山形県酒田市、現住所:東京都と山形県酒田市の2拠点生活、職業:株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表取締役

住む場所が変わると生き方も変わる。 環境が変わると自身も変化し、人生までもが変わっていくーー。 都会の喧騒を離れて、地方で“自分らしい生き方”に憧れを抱く人は少なくないだろう。しかし、いざ真剣に移住を考えると、移住に大きな期待を持つ反面、不安も計り知れない。 現実的に自分の思い描く理想の暮らしが実現できるのかーーー。 “ワープシティ地方移住体験談”では、地方移住を検討している方に向けて、先輩移住者から移住に至った経緯や体験談、移住先の仕事内容や生活などの生の声をお届けする。 第13回目の先輩移住者は、山形県酒田市出身の池田友喜さん。18歳で大学進学と同時に上京し、東京で2社のベンチャー企業を経験したあと、2006年にITシステム会社を起業。事業の失敗を経て、2014年3月に酒田市にUターン移住した。 現在、株式会社チェンジ・ザ・ワールドの代表を務め、IT×再生可能エネルギーの事業を展開。誰でも簡単に地球温暖化の抑制に参加できるサービスを提供している。 「挑戦と失敗を称える文化形成」を目指し、若手の起業や移住支援にも尽力する池田さんは、いかにして山形への移住を決め、現在の活動に辿り着いたのか。そのストーリーを語ってもらった。

故郷、山形への思い

東京でITベンチャー企業に就職し、順風満帆にキャリアを築いてきた池田さん。子どもの頃に読んだSF小説のような世界を自分の手でつくりたいという夢を持ち、「30歳までに起業しよう」と心に決めていたという。

そのタイムリミットが差し迫った2006年、思い切って独立に踏み切り、ITシステム会社を起業。順調に業績を伸ばしていった。

経営が軌道に乗っているときには、このまま東京に住み続けることを考えていた池田さんだったが、心に引っかかっていることもあった。

それは、幼い二人の娘のことだ。東京で生まれた彼女たちが、自分の故郷である山形の海も山も知らないまま成長していくことに、一抹の寂しさを感じていたという。

「西麻布の和食料理屋でご飯を食べたときに、ふきのとうの煮つけが出たんです。それを東京の友人たちが『この美味しい山菜、何?すごく良い香り!』と喜んで食べていて、何だかショックを受けました。ふきのとうと言えば、山形では田んぼの横に生えているような身近な雑草で、それが高級山菜のように扱われていることに戸惑ってしまったんです。

そういうかつて自分の身近にあった自然の豊かさを、娘たちが何も知らずに育つのは寂しいなと思いました。それに、いつか何かしらの形で地元に恩返ししたいという気持ちも持っていました」

 

詐欺で会社が倒産。Uターン移住を決意

山形に心を惹かれながらも、やはり会社が順調なうちは移住を本気で考えることはできなかった。地元に支店をつくって地域貢献する選択肢もあるし、Uターンしようと思えばいつでもできると考えていた。

転機となったのは、2011年に起きた東日本大震災だった。連日流れる原発事故のニュースを見て、「人の手に負えない原発を娘たちの世代に残すわけにはいかない」と考えた池田さんは、自身のビジネスでのIT技術の使いみちに疑問を抱くようになったという。

「ITの力は実業でこそ生かすもの、と考えるようになりました。ゲーム課金など実態の乏しい事業でお金を生み出すより、未来の子どもたちのために、環境貢献につながるような取り組みにITを使うべきだと思ったんです」

そこで池田さんが参入を決めたのが、今後普及が期待される再生可能エネルギー事業だった。事業連携のため、ある再エネ会社と契約を結んだ。

「でも、それは詐欺でした。大きな金額を横領されてしまったんです。当然、会社は立ち行かなくなり、破産しました。その時、いつでもできると思っていたUターンも、地元への恩返しも、いつでもできるわけじゃないんだと気付きました」

当時、池田さんは36歳。残りの人生で自分は一体何をするべきか。ひたすら悩んだ末、全てを失ったこの挫折をチャンスと捉えて、山形で再チャレンジすることを決断した。

 

山形で起業し、人脈づくりに奔走

2014年3月、山形県酒田市に家族を連れてUターンした池田さんは、家賃6万円の小さな事務所を借り、株式会社チェンジ・ザ・ワールドを起業。細々と新たなスタートを切った。

とはいえ、地元に戻るのは高校卒業以来18年ぶり。当初は完全に“浦島太郎状態”で、よそ者のような疎外感を感じたこともあったという。ある時、地元企業の重役が事務所を訪ねてきて、心無い言葉を投げられたこともあったそうだ。

「だからまずは、山形で開催されている起業イベントやセミナーを中心にとにかく足を運んで、人脈を築くことから始めました。幸運にも、2014年は『地方創生』という言葉も聞かれるようになって、東京から面白い人たちが続々と移住してきたタイミングだったんです。『地元でチャレンジする人を増やしたい』という、同じような志を持って活動している人たちにたくさん出会い、あれよあれよという間にコミュニティは連鎖的に広がっていきました」

山形に戻ってきたときは500人くらいだったFacebookの『友達』が、一年後には倍増。基本的に直接会った人しか『友達』にならないというから、移住してからリアルで知り会った人がそれだけ増えたということだ。地方は会いたい人に会いやすく、コミュニティも作りやすいと感じたという。

仲間を増やすコツは「全力でお願いすること」

移住した年の6月くらいから本格的に行動し始めて、8月には出会った仲間たちを誘い、地方創生プロジェクトである「日本西海岸計画」を立ち上げた。

「こうした新しい出会いがなければ、酒田での移住生活はとても続かなかったかもしれません」と、池田さんは当時を振り返る。

人を巻き込みながら新たな動きを生むことに長ける池田さんに、そのコツを聞いてみると「全力でお願いすること」というシンプルな答え。

「誘う側が本気じゃなかったら、相手に失礼だと思うんですよね。『決めるのはあなた。でもこっちは本気ですよ』というスタンスを大事にしています」と言う。

「ギブ&テイク」ならぬ「ギブ&ギブ」で、持っているものはすべて相手に差し出す。応じてもらえる見込みが少なくても積極的にアプローチするという。

「そもそも声をかけないと相手に揺らぎが起きないじゃないですか。まずはそこからです。もちろん短期間で説得できるわけじゃないから、揺らぎが起きたら、2年、3年かけて色々な角度から説得を続けますね」

 

「IT×再エネ」に再チャレンジ

当初、社員3人から始まった株式会社チェンジ・ザ・ワールドも、今では50名以上のメンバーを抱える企業へと成長。「たくさんの“ひとり”が世界を変える」をコンセプトに、一度失敗した再生可能エネルギー事業に再チャレンジしている。

「再エネ自体はこれからの時代に間違いなく必要なものなのに、それを悪用して騙すような人間が世の中に蔓延っていたら、イメージがどんどん悪くなってしまう。だから、僕らはITの力を使って、みんなが少しずつ参加できる開かれた仕組みで、再エネを広めていこうとしています」

例えば、自社開発したアプリ「ワットストア」は、スマホひとつで誰でも再生可能エネルギー発電所のオーナーになれるサービスだ。1ワット単位で発電所を購入でき、発電による売電収入を得ることができる。経済的リターンを受けながら環境貢献ができる仕組みになっている。

「サービスを始めてみてわかったのは、圧倒的に少額での利用者が多いこと。そういう人たちは経済的リターンを求めているというよりは、環境貢献活動に参加すること自体に意義を感じているのではないかと気付きました。

今問題になっている地球温暖化は、人間活動によって排出されるCO2が原因だと科学的にも断定されています。その責任を背負う私たち一人ひとりは、住まいである地球に対して家賃を支払わないといけない。社会的な機運の高まりとともに、そう考える人は増えていると思います。しかし一方で、具体的に何をすればいいのかわからないという人も多い」

そこで、新たに始めたのが環境アクションプラットフォーム「change」だ。9つの簡単な質問に答えるだけで一人ひとりのCO2排出量を割り出し、その人にぴったりの環境アクションを提案するサービスだ。実際にアクションをするとその環境貢献度が可視化される。

「最終的に目指しているのは、誰もが意識せずとも環境貢献に参加できるような仕組みです。『地球の問題よりも今日明日の自分の生活の方が大事』という考えの人も巻き込みながら、たくさんの“ひとり”の力を集めれば、世界をも変えていけると信じています」

若手の起業や移住支援にも尽力

もう一つ、池田さんがライフワークとして取り組んでいるのが、先にも触れた一般社団法人日本西海岸計画だ。

「酒田市がある庄内地方の日本海沿岸地域って、寒くて暗いイメージがあると思うんです。でも実は全然そんなことはなくて、特に夏場は海は透明だし波も穏やかで、夕日が沈んでいく光景なんてカリフォルニアさながら。日本海をそんな明るいイメージに変えるために、あえて『西海岸』と呼び、シリコンバレーのように新しい産業が生まれる『チャレンジャーの楽園』にしようと考えました」

現在、起業家のためのインキュベーション施設「LIGHTHOUSE」の運営や、移住体験プログラムの実施など、起業と移住の支援を中心にさまざまな取り組みを行っている。

そこで大事にしているのは、挑戦を応援するだけでなく、失敗を許容する文化の醸成だという。

「僕が移住してきた当初は、起業なんてしようものなら白い目で見られるような状況がありました。でも、地域の雰囲気は確実に変わってきていると感じます。東京で会社を倒産させて地元に帰ってきたやつが、地方で再起を誓って上場企業をつくる。失敗を経験した僕自身が起業家として成長していくことで、若手に向けた一つの見本になりたいと思っています」

遊ぶように仕事をし、仕事をするように遊ぶ

池田さんは現在、東京と山形を行き来しながら二拠点生活を送っている。東京で1週間、山形で1週間を交互に繰り返すようにして、月の半分くらいを酒田市で過ごしているという。

「山形に拠点を置くようになって変わったことは、仕事とプライベートに境を設けなくなったことです。遊ぶように仕事をして、仕事をするように遊ぶ感覚というか。やはり日常に美しい自然がある環境というのが影響していると思います。朝、海で釣りをしたり、山でオフロードバイクを走らせたりしたあと、昼から仕事場に行く。そんなライフスタイルにはまさに『自由』を感じましたね」

ある時、酒田から飛行機で羽田まで行き、東京のオフィスに向かっていたときのこと。

「オープンカーに乗って、レインボーブリッジを走っていました。夕焼けがすごく綺麗で、たまたま聴いていた音楽も最高で、その時、めちゃくちゃ幸せな気持ちになって、誰もいないのに思わず『幸せだな』って口に出していました。

自分が憧れる人生って、実はちょっとした選択や行動で実現できるんですよね。例えばオープンカーだって、人目を気にして乗るのに抵抗を感じる人も結構多いけど、気持ちよさそうと思ったら乗ってみりゃいいじゃんって思うんですよ。

怖かったり、億劫になったりすることもあるけど、自分の心の内にあるものを行動に移したときの感動こそ、人生の豊かさだと思います」

 

自分の心が望む人生を選ぼう

自分の心の声を理屈で押しとどめることはいくらでもできる。池田さん自身、山形への移住を考えたとき、心の声は「山形に帰りたい」と言っていたが、理屈に従えば東京に残ったほうがリスクが少ないことはわかっていた。

「だけど、『今』の地点から『未来』に対して答えを出すことなんて、到底できないんですよ。それなら理屈ではなく、自分の心が望んでいる人生を選ぶべきだと思いました。実は、再エネで詐欺にあったときも、心の声は『これは詐欺だ』と告げていたのに、論理的破綻がないことを理由に取り引きを決めてしまったんです。その時の失敗を繰り返したくないという気持ちもありました」

だからこそ、移住を検討している人には「移住したいと思うならしたほうがいい」とアドバイスする。

「あとから振り返って『あの時、やりたいと思ったことをやればよかった』と思うか、『やりたいことは全部やった』と思うか、どっちがいいかでしょう。うまくいかなければ戻ることもできるし、もっと別のうまくやる方法を考えればいい。一度やってみること自体は悪いことではないのだから、直感を信じて行動してみてほしいです」

相手を尊重しながら、熱量を持って接する姿勢を崩さない池田さん。ほとんどノープランで移住しながらも、今しみじみと「幸せ」だと言えるのは、逆境の中でも周囲に働きかけ、行動する力を持っていたからなのだろう。

迷ったときには、失敗を恐れて行動しない理由を探しがちだ。でも勇気を出して、自分の心の通りに挑戦してみる。池田さんが美しく眺めた夕焼けのように、その先にどんな景色が見つかるのか、確かめてみたくなった。

 

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酒田へ移住すると、遠方から家族や友人を招きたくなるらしい。 豊かな自然があるから? 食べ物が美味しいから? 東京から飛行機で1時間だから? いずれにせよ、酒田とはそうしたくなる街なのです。 海、山、川、島、街。 多様な住居エリアから広がる無限のライフスタイル。 酒田市で、あなたが描く理想の暮らしを実現しませんか? 来る者拒まず去る者追わず、新しいもの好きと言われる気質で、近すぎず遠すぎない距離感は移住者にとっても心地よい環境です。

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