【総務省に聞きました!】正しく知っておきたい!地域おこし協力隊制度の仕組みと予算の使い方
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地方移住や地域貢献を考える方にとって、地域おこし協力隊は魅力的な選択肢です。しかし、制度への理解不足から、任期を十分に活かせなかったり、トラブルに直面するケースもあります。
ワープシティが地域おこし協力隊334名に実施したアンケートでは、約半数が「就任前後で(良い意味でも悪い意味でも)ギャップを感じた」と回答。さらに、総務省設置の「地域おこし協力隊サポートデスク」によると、現役隊員の相談で最も多いのは「財政措置」に関する内容(17.6%)で、特に活動費の使い方が課題となることが多いようです。
こうした背景を踏まえ、ワープシティでは総務省主催の研修に参加し、協力隊活動をスムーズに進めるための「制度の仕組み」と「予算の使い方」をわかりやすくまとめました。
まずは制度の基礎知識をおさえよう
地域おこし協力隊制度とは?
地域おこし協力隊制度は、都市部から地方へ移住する人材が地域協力活動を行いながら、地域への定住を目指す取り組みです。2009年に総務省が制度化しました。
実施主体は地方公共団体
この制度を実施するのは地方公共団体(自治体)です。そのため、活動内容や条件、給与、勤務時間などは自治体ごとに異なります。応募時には募集内容をよく確認することが大切です。
隊員の任用形態は2種類
- 雇用型
地方自治体と会計年度任用職員として雇用契約を結ぶ形態です。
・地方公務員法に基づき、健康保険や年金などの社会保険が適用されます。
・守秘義務や職務専念義務など、公務員同様の規律が求められます。
・年末調整が行われるため、確定申告が不要な場合もあります。 - 委託型
地方自治体と雇用契約を結ばず、業務委託契約で活動する形態です。
・特産品開発や農業など、地域貢献の業務を委託されます。
・社会保険は適用外のため、国民健康保険に加入し、確定申告が必要です。
・自治体との雇用関係はありません。
任用形態によって福利厚生や契約内容が異なるため、自分の希望や条件に合った形態を選ぶことが重要です。
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正しく知っておきたい「お金」のこと
地域おこし協力隊の活動費は、初めて隊員になる方が特につまずきやすいポイントです。ここでは、活動費の財源や予算の仕組みについてわかりやすく解説します。
活動費のお金の流れ
活動費は、まず自治体が自主財源で予算を確保し、自治体ごとに定めたルールに応じて隊員の活動費として支給します。その後、自治体が支給額を申請することで、国から交付されます。
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このように、活動費は国から直接隊員に渡るのではなく、実施主体である自治体が支払う仕組みになっています。
活動費の財源は「地方交付税」
地域おこし協力隊の活動費は「地方交付税」が財源です。これは、国が地方自治体間の財源格差を調整するために再配分する仕組みで、自治体には事後的に交付されます。このため、活動費はあらかじめ自治体において予算が確保される必要があります。
活動経費は年間最大200万円
活動費は税金でまかなわれているため、その使い道が公共の利益に役立つかどうかをしっかりと考える必要があります。また、自治体ごとに細かな条件が異なるため、活動前にしっかり確認することが重要です。
活動全般に対する経費
活動費は、移動費や作業道具、研修費、地域活動に必要な施設整備などに使用できます。ただし、住宅費やガソリン代、保険料などの必須経費を差し引いた後に残る金額が、実際に活動で使える額です。
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隊員が使えるその他の経費
- 起業や事業承継に対する経費(上限100万円)
地域内で起業や事業承継を希望する場合、2年目以降の活動中、または任期終了後1年以内に同じ自治体内で行うことを条件に、上限100万円が支給されます。 - 空き家改修に対する経費
任期終了後の隊員の住まいとして空き家を改修する費用も支給対象です。上限額や条件は自治体ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
活動費の使用には事前の予算措置が必須!
地域おこし協力隊の活動費は、あらかじめ予算の手続きをしておかないと、急に「これに使いたい」と思ってもすぐには使えないことがあります。そのため、活動費を適切に活用するには、自治体の「予算」の仕組みを理解しておくことが重要です。
自治体の予算とは?
自治体の予算は、4月から翌年3月までの1年間を単位に、歳入(収入)と歳出(支出)を見積もり、計画的に行政サービスを提供するための計画です。
- 歳入:地方税や国からの交付金など
- 歳出:福祉、教育、インフラ整備などの経費
予算案は通常、前年の9月頃から計画され、首長の審査や議会での議決を経て確定します。そのため、次年度に使える予算の内容は、前年度中にすでに決まっているのです。
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次年度の活動費を確保するには?
次年度に必要な活動費を確保するためには、前年の9月~10月頃までに自治体の担当者に希望を伝えておく必要があります。これを怠ると、希望する費用が予算に含まれず、活動がスムーズに進まなくなる可能性があります。
活動を円滑に進めるためにも、計画的に予算の調整を行うことが重要です。
活動費確保のために必要な準備と関係づくり
地域おこし協力隊の活動費は、税金によって支えられています。そのため、必要な資金を確保するには、事前に活動計画を立て、コストをしっかり見積もることが重要です。
予算承認のポイント
活動資金を得るためには、以下の点が大切です。
- 活動の公益性を示す:地域協力活動が地域にどのような利益をもたらすかを具体的に説明する。
- 計画の意義を明確に伝える:なぜその活動が必要なのかを、論理的かつ分かりやすく伝える。
自治体担当者との連携が鍵
予算を確保するには、自治体担当者との積極的なコミュニケーションが欠かせません。信頼関係や協力関係を築くことで、提案の承認がスムーズになり、活動の成功につながります。
十分な準備と関係づくりを行うことで、活動資金の確保が円滑になり、理想とする地域おこし協力隊活動を実現するための土台を築けるでしょう。
そして、それが地域の発展や住民との絆を深める第一歩となり、自身にとってもやりがいのある充実した活動へとつながっていきます。
地域おこし協力隊を支える全国ネットプラットフォーム
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総務省が運営する全国ネットプラットフォームは、地域おこし協力隊に関わる全ての人が互いに支え合い、地域の未来づくりをバックアップするための場です。
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