移住の際には支援制度を要チェック!子育て支援制度が手厚い自治体7選
ウィズコロナ時代を経てリモートワークが可能となったことで、子育てしながら働く世代のなかに「地方移住」を考える人が増加しています
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内閣政府は、2020年5月から2021年11月にかけて4回にわたり、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化」に関する調査を実施しました。コロナ禍による個人の変化を捉える貴重なデータとなっており、2021年11月に行われた同調査では、「全年齢」で「東京圏」も「東京23区」も、いずれもが2019年12月の調査から回を重ねるごとに地方移住への関心が高まってきていることが明らかとなりました。第4回目の調査では「強い関心がある」「関心がある」「やや関心がある」を含め、「東京圏」で34%、「東京23区」で37.3%と約3割が地方移住に関心を持っていることが分かりました。
出典:https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/result4_covid.pdf
子育て家庭の移住の理由
「地方移住への関心理由」として最も多い声は、「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため」が31.5%で、次いで「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」が24.3%、「ライフスタイルを都市部から地方での生活重視に変えたいため」は21.6%という結果が出ました。
子どもがいる家庭のなかには、「自然豊かな環境のなかで子育てをしたい」と、育児方針を転換するきっかけに移住を検討する親もいます。また、親自身が田舎で育ったことで、「田舎に戻って子どもにも親と同じ成長体験をさせたい」という想いを持ち、Uターン移住をする人も少なくありません。
出典:内閣府「第4回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」より
子育て支援制度が充実するようになった背景
近年、昔よりも子育て支援制度が充実しているといわれています。その背景には、年々人口が減少し少子化が進んでいるため、現状を打破する対策が必要となったためだと考えられます。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2017年)によると、日本の総人口は2029年に1億2,000万人を下回り、2053年には1億人を割ると推計されています。
子育て支援制度を充実させることで、子どもを産み育てやすい環境が整えられ、少子化に歯止めをかけようとしているのです。少子化問題を解消するには「子どもは欲しいけれど育てられない状況を解消する」ことが大切であり、家庭における子育てを、国や自治体、企業、学校等が一丸となって子育てに協力するシステムを構築し、社会全体でサポートしていくことが求められているのです。
日本のどの地域に住んでいても利用できる公的制度と自治体の支援制度
共働き世帯が増加傾向にある現状で、安心して子育てをするためには国や市区町村が実施する子育て支援制度」を上手に利用していく必要があります。日本のどの地域に住んでいても利用できる国の具体的な公的制度は以下の通りです。
- 児童手当:0歳〜中学卒業までの自動を養育している世帯に支給される手当
- 幼児教育・保育の無償化:3歳〜5歳までの幼稚園・保育所・認定こども園の利用料を無償化
- 子ども・子育て支援情報公表システム「ここdeサーチ」:全国の教育・保育施設等の情報入手が可能
一方で、政府が取り組んでいる子育て支援制度以外にも、自治体が提供する子育て支援にはさまざまなアプローチがあります。移住支援において、行政による子育て支援の整備は、移住者にとって大きな魅力となり、移住を決める大きな判断材料となります。子育てしやすい街として評価されやすい支援は、どのようなサービスがあるのでしょうか。
- 子どもの医療助成が手厚い
- 子どもの学費補助が手厚い
- 認可保育所をはじめとする子育て支援施設の数が多い
- 育児用品の割引券やクーポンを配布している
- 自治体が家事代行や育児ヘルパーの派遣サービスを行っている
- 給食費を助成
子育て支援制度は、自治体によって差が出やすいため「子育てしやすい街」の評価につながります。多くの自治体で子ども医療助成をおこなっていますが、助成を受けられる期間はそれぞれ異なります。助成を受けられる期間が長ければ長いほど、子育て支援が充実しているといえます。
移住支援制度に力を入れている自治体は、地域活性を重要視しており、子育て支援に手厚い傾向があります。子育て支援に手厚い自治体の支援制度についてご紹介いたします。
子どもがいる家庭への支援制度が手厚い自治体7選
兵庫県丹波篠山市
- 「定住促進重点地区子育て応援補助金」として、重点地区に在住する0歳~2歳の園児の保護者に、保育料相当額を補助、保育園・認定こども園・幼稚園在園児、施設利用認定を受けている子以外の小学生未満の子供、小学1年生、4年生、中学1年生~高校3年生の保護者には1人当たり3万円補助。
- 児童手当:0歳から中学校修了前の児童を養育する方に年齢区分・所得額に応じて支給。
丹波篠山市
茨城県那珂市
- 所得制限を撤廃し、高校生の入院・外来まで対象に、妊産婦から小児への医療費を助成。
- 保育料が、国の軽減措置外となる階層において、小学3年生までの範囲で、最年長の子供から順に2人目半額、3人目以降無料。
那珂市
北海道紋別市
- 高校生までの入院、通院、歯科、薬剤等で係る医療費について、初診時一部負担金や入院時の食事代及び保険適用外医療費を除き、無償。
- 国の制度により、保育所・認定こども園等を利用する3歳から5歳児までの全ての子どもの利用料が無償となっているが、紋別市では独自の取組として、0歳から2歳児についても、世帯の課税状況に関わらず保育料を無償。
- 市立の小中学校に通う児童生徒の保護者が負担する学校給食費について、無償。
紋別市
秋田県男鹿市
- 第1子・第2子の出産に対し祝金5万円、第3子以降に出産祝金20万円を支給する。
- 一定の所得制限のもと、平成28年4月2日以降に第3子以降が生まれた世帯と平成30年4月2日以降に第2子以降が生まれた世帯を対象として、第2子以降の保育料を助成する。
- 幼稚園・保育園3歳児クラス以上について、副食費(おかず代)を全額助成する。
- 0歳~中学生の子ども(中学校修了年度の3月31日まで)の外来と入院にかかる保険診療自己負担分を助成する。
男鹿市
宮城県利府町
- 第3子以降の給食費の助成(3歳、4歳、5歳の園児)、保育所、幼稚園、認定こども園、認可保育施設すべて対象で、所得制限なし。
- 18歳まで医療無料。
- 小・中学校入学時に運動着を無料で支給する。
利府町
宮崎県三股町
- 子育てを助けてほしい人と、子育ての援助を行いたい人が会員となり、地域の中で育児を支え合い、ゆとりをもって子育てができるように相互援助を行う。
- 子ども1人1時間あたり300円の利用助成がある。
- 過疎地域内にある保育園に乳幼児を入園させ、過疎地域内にある小学校への入学を予定している保護者で、一定の条件を満たす場合に奨励金(最大18万円/年)を交付する。
三股町
福島県南相馬市
- 育児休業を取得した男性労働者に対し、奨励金を交付する。(育児休業取得期間7日以上1か月未満の場合5万円、1か月以上の場合20万円)
- 市内に住民登録し、市内の保育園(所)・認定こども園・小規模保育施設に在園する乳幼児(0歳児~2歳児)の保育料を無料化。
- 満3歳未満の子どもを保育園等に預けず、家庭において保育を行っている保護者に対し、子ども1人あたり月1万円を交付する。
- 南相馬市立の小中学校に通学する児童生徒の保護者に対して、給食費全額を公費負担する。
- 出生から18歳到達後、最初の3月31日までの子どもを対象として、保険診療分に係る自己負担額及び入院時食事代を助成する。
- 18歳を迎える子どもたちの巣立ちにエールを送るため、大学進学や就職に係る準備資金として祝い金5万円を支給する。
南相馬市
多くの公的制度は、自分自身で手続きが必要な場合が多いため、支援制度の存在そのものを知らない保護者も少なくありません。移住を検討している地域の移住担当者に支援制度の利用について相談し、条件が満たしているか確認することをお勧めします。