Iターン移住が注目されている理由。Iターンのメリット・デメリット

今回は、近年注目されているIターン移住のメリットやデメリット、移住の進め方や施策についてチェックしていきましょう。

コラム

「移住」と一口に言っても、いくつかパターンがあります。進学や大学で大都市圏に出て、その後故郷に戻るUターン移住や、故郷に近い地方都市に移住するJターン、そして生まれ育った場所や住んでいた場所とは異なる地域へと移住するIターンの3種類が主な移住パターン。

Iターンのメリット5選

転職活動や就職活動において耳にする言葉の一つに、Iターンというワードがあります。Iターンとは、生まれ育った土地とは別の土地へ移住することを指します。主に、都会で生まれ育った人が地方へと移住するパターンに使われます。

たとえば、都会とは異なるライフスタイルに憧れて移住を決意したり、就職した会社によって地方に住むことになったりした場合などが挙げられます。

近年注目されているIターン。都会から地方へと移り住むIターンには、どのようなメリットがあるのかチェックしてみましょう。

満員電車から解放される

東京や東京に隣接するエリアでは、朝や夕方の満員電車は避けられません。ここ数年でリモートワークが一気に進みましたが、通勤時間のラッシュとなると電車は混雑しているものです。

地方にIターン移住した場合、車通勤も珍しくなく、公共交通機関を利用したとしても都内の満員電車のような状況は避けられるでしょう。満員電車から解放されるだけで、日々のストレスが一つ減ると感じる人も少なくないのではないでしょうか。

生活コストが下がる

地方に移住することで受けられる大きな恩恵の一つが、生活コストを抑えられる点です。特に家賃に関しては、地方では都心のワンルームの部屋と同じ価格で倍以上の広さの部屋を借りられることもあり、その差は明らかです。

賃貸の場合、家賃は生活コストを大きく占める項目の一つ。家を購入するにしても、都心で購入するよりも安く買えることが多いので、地方へIターンした方がコスト面では節約できるでしょう。

子育てがしやすくなる

都会は便利ですが、子育てをするとなると懸念点もあります。例えば、2021年の都道府県別の待機児童数は東京都が7,939人とトップ。一方で、長野県や山梨県、福井県などは0人と、大きな差が見られます。共働き希望の家庭では、少し厳しい現実と言えそうです。

また、小さな子どもを連れて電車に乗って出かける際に、鳴き声やベビーカーに配慮するなど、気を遣うシーンも。地方では車移動が多いので、そこまで気にかける必要がないのも子育てのしやすさにつながります。

出典:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/h0907-2d.html

環境を変えて気分新たに生活できる

今まで住んでいた土地を離れて、異なる県へ引越して暮らすというだけで、さまざまな環境の変化があります。家が変わり、付き合う人も毎日見る景色も変わり、食べるものもひょっとしたら変わるかもしれません。

環境を変えると自分の暮らしが変わるので、気分新たに生活できます。これまでの生活とは異なる場所で新しいスタートを切りたいという人にとって、Iターンは魅力的な選択肢ではないでしょうか。

支援制度が整っている地域も

近年では、Iターン移住者に向けた支援制度を整えている地方自治体も珍しくありません。家賃を補助してくれる住居支援制度や、移住者への助成金制度に子育て支援金など、探してみるとさまざまな支援制度が見つかるはず。

支援が充実している地方へと移住することで、現在の生活よりもバランスのとれた生活を送れることでしょう。

Iターン移住のデメリット5選

Iターン移住の際には、移住に伴うデメリットもきちんと把握しておくことが大切。ここではIターンのデメリットを確認しましょう。

仕事の選択肢が大都市圏より狭まる

都心に比べると地方は仕事の選択肢が狭まります。自分のこれまでのキャリアとは全く異なる業界、職種の仕事に就く可能性も考えておいたほうが良いかもしれません。

ただ、昨今リモートワークで働く人も増えており、現在の仕事をしながら移住するということも珍しくない時代です。移住先で思うように仕事が見つからない場合は、リモートワークOKの仕事を探してみるのも良いかもしれません。

また、一般的に大都市圏の会社の年収の方が、地方の仕事よりも高い傾向にあります。仕事選びは、移住先の生活コストなども想定しながら、慎重に行いましょう。

移住先の風習などが移住前と異なる

移住先が地方だと、昔からの古い風習がいまだに残っている地域もあります。積極的にご近所付き合いや地域のコミュニティに貢献することを求められることもあるでしょう。

移住先での風習や人付き合いに馴染める人は問題ありませんが、肌に合わないということもあります。移住を決める前にどのような風習が残っているか、どのような人が住んでいるのかについても、できるだけ調べておいたほうが良いでしょう。

交友関係が広がらない可能性もある

都市部は人口が多いため、さまざまな人が生活しており、その分出会いもあります。地方は都市部と比べると人口が少ないので、交友関係も固定化されてしまうこともあるようです。

その土地に住む人たちとの交流だけで十分という人は問題ありませんが、もっと色々な人と関わって生きていきたい、という人には少し窮屈に感じられることもあるかもしれません。

地方の方が高いものも意外とある

地方では、主な移動手段が車という地域もたくさんあります。一家に一台ではなく、複数台所有している家庭も珍しくありません。その分かさむのがガソリン代。ほぼ毎日乗るとなると、都市部に住んでいた頃よりもコスト面で負担が大きくなります。

また、プロパンガスが主流の地域では、都市ガスよりもガス代が高くなる傾向にあります。住居費を抑えられても、他のコストを考えると意外とお金がかかるということも頭に入れておきましょう。

娯楽が少ない

都市部では流行りの施設や美味しいと評判のお店、イベントや趣味の集まりなど、娯楽が盛りだくさん。一方地方では大型ショッピングモールかアウトドアしか娯楽が見つからないということも。

まだまだ刺激に触れていたいという人は、移住先の休日の過ごし方をしっかり想定しておいた方が良さそうです。

Iターン移住の進め方

iターン移住を検討する家族

iターン移住を検討する家族

Uターン移住はかつて住んだことのある場所に移住するため、ある程度の土地勘はあるものです。しかしIターンは、今まで住んだことのない土地へ引越すことになるため、不安に思う方もいることでしょう。

この章では、Iターン移住を進めていく上で、実際にどのようなことをしていけば良いかチェックしていきましょう。

移住することで実現したいライフスタイルを考えてみる

直感で好きな場所へ移り住むのも行動力があって素敵ですが、移住後も長く住むことを考えている人や、後悔をしたくない人は、まずは移住先でどんな暮らしがしたいかを具体的に考えてみましょう。

家族がいる人は、移住後に家族の不満が噴出しないよう、しっかりと意見をすり合わせましょう。

地方自治体の移住者支援を調べる

さまざまな地方自治体で、IターンやUターンなどの移住者向けの支援を行なっています。移住にはお金もかかりますし、知らない土地に移り住むのは不安なこともあるでしょう。移住者支援が手厚い地域では、移住に伴うさまざまな補助金があったり、子育てに関する支援制度も整っています。

制度が整っていると移住に対する不安もある程度解消され、移住がグッと身近に感じられるようになるでしょう。

自治体に相談・体験プログラムなどに参加してみる

近年、移住セミナーを開催している自治体も多く、移住候補地の情報に触れられます。セミナーのタイミングが合わない場合は、実際に候補地の自治体に移住について問い合わせてみて、気になっている点を質問してみましょう。

移住に力を入れている地域では、体験プログラムを実施している自治体もあるので、実際に足を運んでみると、より移住に関するイメージが湧きますよ。

Iターンに関する移住施策がある自治体

この章では、これからIターンを考えている方向けに、Iターンに関する移住支援制度がある自治体をご紹介します。

山口県阿武町

  • Iターン奨励金:阿武町に定住の意思のある人が転入した場合、単身世帯は10万円、家族世帯は20万円の奨励金あり。※家族世帯は、中学生以下1人につき10万円を加算(上限額は30万円)。
  • 家賃補助金:IターンやUターン世帯が新たに町内の賃貸住宅に入居した場合、家賃の2分の1の額を2年間補助(上限は月2万円)。
  • 住宅取得補助金:新婚世帯、子育て世帯及びIターン者が新築住宅を取得した場合、補助対象経費の10分の1の額(上限額150万円)を、中古住宅の場合は、補助対象経費の10分の1の額(上限額30万円)を基本補助金としてもらえる。また、町内建築業者の施工によって新築住宅を取得した場合は、基本補助金に50万円を加算、町が販売する分譲宅地を購入して住宅を新築した場合は、基本補助金に30万円を加算する加算補助金もあり。定住用公営住宅(一般住宅33戸、月額8,000円~30,000円)あり。
  • その他、空き家情報提供や空き家リフォーム補助金、新規就農支援(林業・水産業含む)なども。

山口県萩市

  • 萩暮らし応援事業:空き家情報バンクに登録されている物件を購入、または賃貸したUJIターン世帯に対し、空き家の改修費または家賃の一部を補助。対象者は、世帯主の年齢が55歳以下または18歳以下の子どもを有するUJIターン世帯で、改修費用の1/2~2/3以内で、限度額50~100万円を改修費補助金としてもらえる(18歳以下の子ども1人につき、50万円の加算あり)。家賃の2分の1以内で、限度額月額1〜2万円の家賃補助金も(18歳以下の子ども1人につき、5千円の加算あり)。
  • 農林漁業スタートアップ応援事業・セカンドキャリア就農支援事業:萩市の農林水産業の担い手の確保、育成、定着を図るため、就業準備金の支給や経営または研修開始時期に必要な経費の一部を補助する。
  • 萩市移住創業支援補助金:萩市外から萩市へ移住し、住民が求めるサービスなどを創業・継業する意欲のある人に対し、地域ニーズとのマッチングや事業実施に必要な施設の内装改修費などの支援をする。
  • 移住支援員及び地域移住サポーター:移住者の相談にきめ細かく対応するため、移住支援員と地域移住サポーターを設置。移住支援員と地域移住サポーターは、萩市への移住を希望される人からの相談を受け、移住希望地区の住民との連携を図り、移住者が円滑に移住、定着できるよう支援する。

 

新潟県十日町市

  • 東京23区からの移住支援金:東京23区に住んでいた人もしくは東京圏(埼⽟県、神奈川県、千葉県)に住んで東京23区に勤務していた人が、新潟県⼗⽇町市にIターンもしくはUターンをして、補助⾦対象企業などに就職した場合や起業した場合に受け取れる補助⾦制度。世帯でUIターン した場合は100万円、単身でUIターンした場合は60万円が受け取れます。更に、世帯に18歳未満の子どもがいる場合は、1名につき30万円を加算(2022年4月1日以降に転入した方のみ)。
  • ふるさと回帰支援事業補助金: UIターン向けの補助金で、2020年4月1日から2023年2月28日の間に十日町市に転入し、一定条件を満たす方へ補助金を交付する支援制度。
  • 住宅等取得・改修支援制度:⼗⽇町市UIターン補助⾦制度(⼗⽇町市ふるさと回帰支援事業補助⾦・東京23区からの移住⽀援⾦)を利⽤した人が、住宅を取得する場合に費⽤の⼀部を⽀援する制度。
  • テレワーク助成制度:十日町市UIターン補助金制度(十日町市ふるさと回帰支援事業補助金・東京23区からの移住支援金)を利用した人のうち、市外企業に在籍していてテレワークをする場合や、フリーランスとしてテレワークをする場合に、テレワーク設備準備のための費用の一部を支援する制度。

島根県奥出雲町

  • IUターン介護人材・保育人材奨励金:IUターンで移住する人で、町内の介護事業所や保育施設に就職する人に対して奨励金を交付(Iターン者は50万円、Uターン者は25万円)。
  • UIターン者向け一戸建て住宅:UIターン者向けに、空き家を活用して整備した住宅あり。その他にも空き家バンク制度なども。
  • オーダーメイドの体験プログラム:IターンやUターンを検討中の方向けに、一人ひとりに合ったオーダーメイドプログラムを用意。

出身地以外の場所へと移り住むIターン移住。移住した場合のメリット・デメリットの両方を考慮して、出来るだけ情報をたくさん集めながら移住計画を進めるのが良さそうですね。Iターンの移住施策を打ち出している自治体も調べてみると色々あるので、気になる地域がある人は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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