我が子の性格や特性にマッチした環境に「教育移住」しよう
国内教育移住の目的や選び方を解説。教育に力を入れている自治体をご紹介します。
目次
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教育移住って何?目的や理由
教育移住とは、子どもの教育を目的として、適した教育環境へ移住することです。子どもの英語教育のために海外へ教育移住する人もいますが、近年では国内で教育移住する人が増えています。その背景には、以下のような目的や理由が見られます。
登校しぶり(不登校)の子どもの教育環境を変えたい
学校に行きたがらない登校しぶりの子どもの環境を変えるため、移住を決断する家族もいます。子どもが主体的に学べる教育プランが整っていたり、子どもの興味に合わせた教育制度を組み込んでいる学校に転校することで、登校しぶりが改善するケースもあります。
また、引越して環境を変えるだけでも、新しい気分で生活に向き合えるようになります。登校しぶりがなかなか改善されない場合は、移住して一度環境をガラッと変えることも選択肢の1つ。
自然の中で多くのことを学ばせたい
やはり子ども時代には、自然の中で思い切り遊んだり学んだりしてもらいたいという人もいることでしょう。都会では制限されることも多い"子どもらしさ”ですが、自然の中なら思い切り発揮できます。
地方には大自然に囲まれた地域があり、都会ではできない経験がたくさんできます。動植物が多く、自然に近いところで暮らすことで、楽しいところばかりではなく自然の脅威を学ぶこともできます。
より良い教育環境で育てたい
「より良い教育環境で子どもを育てたい」と思う親は多いでしょう。ただし、「より良い」とは一人ひとり異なっているため、どのような環境が子どもにとって良い環境なのかじっくりと考えたいところ。
全国にはさまざまな教育方針の学校があり、国際教育に力を入れている学校もあれば、ICT教育に力を入れている学校、自然の中で体験を通して頭と体を使うことを重視する学校もあります。子どもの特性や意見も尊重しながら、より良い教育環境を選べるようにしたいですね。
教育移住のメリット・デメリットは子どもの年齢によって異なる
子どもの年齢によって、教育移住することのメリット・デメリットは異なります。教育移住を検討されている皆さんのお子さんはおいくつでしょうか。ここでは子どもの年齢における国内教育移住のメリットとデメリットを考えてみましょう。
- 国内教育移住のメリット
就学前や小学生の子どもにとって、自然の中でものびのびと過ごせるのは幸せなこと。都会ではできない遊びを自然の中で思い切り楽しんで過ごせるのは大きなメリットでしょう。また、東京などの大都会では保育園に預けたくても枠に入れず、結局仕事を諦めるという人も多いもの。しかし地方なら、お子さんを保育園に預けるのも、都会と比べるとスムーズです。
- 国内教育移住のデメリット
年齢を重ねていくと、子どもの教育面での悩みが浮かび上がってくるもの。例えば、移住先の地域によっては習いごとや塾があまり多くないというのも珍しくありません。子どもが中学生や高校生になり、受験を意識しだすと、それに伴う準備も必要になります。塾へ通うために電車などの交通機関を使って遠方まで移動しなくてはいけなくなったりする可能性も出てくるでしょう。
また、都会に住んでいると選ぶ学校もたくさんの選択肢が自然と視野に入ってきます。しかし地方の場合は、偏差値が同じくらいの人が目指す学校はだいたい決まっており、少し視野が狭まる傾向があります。
教育移住先の選び方
教育移住先を選ぶ際にいくつか考慮した方が良い点があります。移住してから後悔することがないよう、いくつかのポイントをおさえた移住先を選ぶようにしましょう。
安全な環境
まず第一に、子どもにとって安全な環境が整っているか考えましょう。日本には海外のように、ものすごく治安が悪いエリアというのはあまりないものです。しかし、例えば近くの学校が荒れている、日が暮れると街灯がなくて暗いなど、街全体の雰囲気もチェックしておくと良いでしょう。
また、交通の利便性や自然災害の発生など、物理的な子どもの安全についても考慮しておきましょう。子どもにとって安心安全な生活が送れるかという視点を第一に、移住先を探すよう心がけましょう。
医療制度
地方に移住する人は特に、移住先に医療環境が整っているかどうかも重要です。環境の変化によって子どもが体調を崩してしまうことは珍しくありません。医療制度が整っていないと、いざという時に心配ですよね。子どもの年齢にもよりますが、子どもがまだ幼い場合は、医療環境の重要度も上がるでしょう。
教育方針に賛同できるか
子どもが通うことになる学校の教育方針も重要です。教育移住をするからには、学校選びは重要な選択となるはず。国際教育に力を入れているのか、進学に力を入れているのか、もしくは自然体験など勉強よりも実際の体験学習に力を入れるかなど、教育方針によって全く異なる学校生活になることも。学校に関しては前もって調べ、実際に見学に行くなど、リサーチを欠かさないようにしましょう。
教育移住先にもおすすめ!教育に力を入れている自治体
教育移住先を決断する上で重要なのが、子どもが通うことになる学校です。教育方針や特色、力を入れている分野などをしっかりとリサーチして、子どもに合った学校を選びましょう。
英語教育に力を入れている自治体
今後の国際化社会を考えると、国際感覚を幼い頃から養っておくことは、重要なことと言えるでしょう。幼い頃から少しでも英語に触れたり、国際的な環境に身を置いたりすることで、グローバルな視野が培われます。
- 栃木県さくら市
小中学校に就学する児童生徒の保護者で、市内に住所を有する方が対象としています。
対象試験は「英検」「英検S-CBT」「英検S-Interview」。小学生の英語検定5級から1級、中学生の英語検定4級から1級を助成。
会計年度内1回、受験料の一部を助成。交付申請書兼請求書に、領収書および一次試験の結果の写しを添付して、各学校に提出。
さくら市
- 茨城県境町
茨城県堺町は、平成30年度から先進的な英語教育「スーパーグローバルスクール(SGS)事業」を実施しています。小学校1年生から日常的に英語に慣れ親しみ、小中学校9年間を通して英語力の向上を図り、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目指しています。県内の小・中学生は、英語検定が無料で受験できます。
境町
- 千葉県四街道市
中学校卒業までに一定程度の英語力を育成するため、また、これまでの英語学習により習得した英語力の力試しとして実用英語技能検定(英検)の活用を推奨しています。それに伴い、市内居住及び在学の中学校3年生の英語検定料を年1回に限り全額負担しています。
四街道市
引用:
公益財団法人日本英語検定協会
さくら市HP
さかいじゅうナビ
四街道市HP
自然教育を力に入れている自治体
子どものうちから自然と触れ合いながら、自然からさまざまなことを学んでほしいと願う人もいることでしょう。「山村留学」という言葉はご存知でしょうか。
山村留学とは、「自然豊かな農山漁村に一年単位で移り住み、地域の小中学校に通いながら、四季折々の自然の中で様々な自然体験活動や集団生活などを体験する教育活動」とされています。(※特定非営利活動法人 全国山村留学協会が定めるガイドライン)
山村留学を実施している自治体をご紹介します。
- 北海道芽室町
芽室町上美生地区には、「山村留学制度」があります。上美生小学校・上美生中学校への留学を希望する、都市からの児童・生徒を積極的に地域に受け入れています。恵まれた自然のなかで相互交流を深め、一人一人の個性を伸ばし、より豊かな心を育てる学校教育の推進と校下地域の活性化をはかることを目的としています。
芽室町
- 長野県大町市
大町市八坂・美麻では、豊かな自然と文化、恵まれた教育環境を生かし、山村留学事業を行っています。山村留学には次の2つの形態があります。
【短期山村留学】
幼児低学年から高校生を対象に、春夏冬休みを利用した自然体験活動で、さまざまな野外活動や農村体験を行っています。
【長期山村留学】
4月から3月までの1年間、八坂・美麻の地に移り住み、月の半分を活動拠点となるセンターで過ごし、残り約半分は地元農家でホームステイします。年間、四季を通じて、山村ならではの様々な体験活動を展開して行きます。
留学生たちは地域で元気に逞しく活動し、学校内での児童・生徒の交流に留まらず、広く地域住民の方々とも日々の生活のなかで交流しています。また、様々な行事では留学生の親も一緒になって、地域の方々と親睦を図っています。
大町市
ICT教育に力を入れている自治体
ICTとは、Information and Communication Technologyの頭文字をとった言葉で、情報通信技術を意味します。ICT化が進んだ変化の激しい現代社会では、ICTを活用した情報収集や問題解決能力が必要になります。
- 熊本県 益城町
熊本県 益城町では、「主体的・対話的で深い学び」の実現を踏まえ、ハード・ソフト・指導体制を一体的に考慮して端末を整備し、非常時でも子供たちの学びを保障するためにLTE回線を用いています。加えて、セキュリティや補償等を一元的に行う相談・支援の窓口も設定するなど、児童生徒や教職員の運用を総合的に配慮した整備を行っています。さらに、ICT活用が目的ではないという認識のもと、教育長が「トライ&エラーでまず実践」と考えるなど、実践を重視していて、町内でICT活用を含む各分野の実践で功績のあった教員の表彰を行うというような特色のある取組が認められています。
引用:熊本県 益城町教育委員会
益城町
- 島根県美郷町
島根県美郷町では、地域の特性を活かした環境教育や福祉教育、国際化やITに対応した教育カリキュラムを導入しています。また、保育所や小中学校が連携した授業や校外活動、 行事等における相互の交流や体験学習、専門的な学習等の充実を図っています。
美郷町の小中学校では、ICTを活用した教育を推進しています。無線LANや電子黒板、児童生徒用タブレット(1人一台配備)、デジタル教科書などのICT環境を完備しています。これからの情報化社会において、ICT機器を使いこなし、より積極的に未来社会を生き抜いていく力を育成していきます。
引用:島根県美郷町公式ホームページ
美郷町
今いる環境よりも、我が子の性格や特性にマッチした環境に
教育環境によって子どもの将来が変わってくるといっても過言ではありません。
幼い頃に海外で暮らした経験がある人は、英語に慣れるのも早いと言われるように、幼少期に過ごした環境は子どものその後の人生に影響を与えます。
もし、今いる環境よりも子どもの性格や特性にマッチした、将来性のある環境が他の土地にあるなら、教育移住を考えてみてはいかがでしょうか。
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