イエナプラン教育ってなに?わが子に合う学校へ教育移住しよう
子どもの個性や意欲を重視する次世代型教育!
目次
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子どもにとってより良い教育環境を求め、家族で住む場所を変える「教育移住」。地域や学校により、どのような先進的な教育に力を入れているかはそれぞれ異なります。
今回はその中で、一人ひとりを尊重しながら自律と共生を学ぶ「イエナプラン教育」を取り入れている全国の私立小学校についてご紹介します。
イエナプラン教育とは
イエナプランは、ドイツで始まりオランダで広がった教育法です。
この教育法は、独自の仕組みや取り組みを取り入れており、子どもたちが自律と共生の力を身につけ、自分なりの人生を歩むことを目指しています。
イエナプランには、以下の特徴があります。
運営の自律性
イエナプランの学校は自律的に運営されています。生徒や教師が共同で学習環境をつくり、自分たちのニーズに合った教育を実践します。教育プログラムやカリキュラムは柔軟性があるのも特徴です。
共同体との連携
生徒が学校内外の共同体と連携し、実際の社会での経験を積むことを重視しています。地域の専門家や団体と連携してプロジェクトを進めることで、実践的な学びを促します。
個別化と尊重
一人ひとりの個性や能力を尊重し、個別のニーズに合わせた教育を提供します。生徒が自分自身を理解し、自己肯定感を高めることを支援します。
問題解決と創造性
生徒が自分で問題を発見し、解決するスキルを養います。また、創造的なアプローチを通じて学習を進めていきます。
イエナプランは子どもたちの成長を促進し、社会での活躍に必要なスキルを育むための教育法として、いま注目されています。
イエナプラン教育が注目される背景
欧米で誕生したイエナプラン教育は、今や世界中で広がりをみせています。
日本では2010年に「日本イエナプラン教育協会」が発足し、2019年に長野県佐久穂町の「大日向小学校」が日本初のイエナプランスクールとして認定されました。
知識を伝達する教育方法ではなく、生徒の個性や意欲を重視する次世代型のイエナプラン教育は、今後日本でもさらに普及されると考えられています。
イエナプラン教育は科目ごとの時間割はなく、「会話」「遊び」「仕事(学習)」「催し」の4つの活動を循環させながら学びをすすめます。また、日本のように縦割りのクラスではなく、年齢の違う子どもが同じグループになるよう構成されているのも大きな特徴。教室は「リビングルーム」と呼ばれ、教員と生徒が一緒にレイアウトを考えてつくっていきます。
このように、日本の一般的な教育とは大きく異なるイエナプラン教育。先進的な教育方法を取り入れやすいのは、比較的自由にカリキュラムを組める私立の小学校といえるでしょう。
イエナプラン教育に力を入れている私立小学校
続いて、全国に先駆けイエナプラン教育に力を入れている私立小学校をご紹介します。
長野県南佐久郡佐久穂町
2019年4月26日、日本イエナプラン教育協会より日本初のイエナプランスクールとして認定されました。
1学年の定員は30名と少人数制を採用。4つの基本活動「対話・遊び・仕事(学習)・催し」をリズミカルに循環させる時間割で学びます。子どもたちは週の初めに立てた計画に沿って学習を進めます。
サークル対話
1日は、サークル対話で始まり、週末にあったことやクラスの中の出来事など、お互いに顔が見えるようにサークル(輪)になって話します。1日の終わりもサークルになって、その日を振り返ります。
遊び
「遊び」の時間も大切にしています。好きなことを自由にするという遊びもあれば、グループリーダー(教師)が意図を持って計画的に行う遊びもあります。 身体を動かしてリフレッシュしたり、歌を歌ったり、ものを作ったりすることで、1日の生活がよりリズミカルになります。
ブロックアワー
一定の長さの学習時間(ブロック)が設定されています。その中で、子どもたちはグループリーダーから示された課題をもとに、どのように学ぶかを計画し、それぞれに合った方法で自立的に学習します。基礎的な学習だけでなく、教科の発展的な内容や、ワールドオリエンテーションの活動など、様々な学びが行われる時間です。
ワールドオリエンテーション
ワールドオリエンテーションは「イエナプランのハート」とされ、日々の学習の中心的な活動です。子どもたちの問いから出発し、探究的に学習を進めていきます。実際に世界で起こっていること(身近なことから地球規模のことまで)について、教科学習で学んだことを活用し、グループのメンバーと協力しながら総合的に学びます。また、ワールドオリエンテーションの中で生まれた問いを深めるために、ブロックアワーでも必要な知識を得ていくという循環によって、「意味」のある学びとなります。
催し
1年や1週間といった区切りの始まりと終わり、季節ごとのお祭り、誕生日や記念日などを大切にしています。「催し」では、様々な機会に学んだことや、嬉しいこと、悲しいことを共に分かち合います。
行事
「本物から学ぶ」活動の一環として、周囲の豊かな自然環境に出かけていくことも多くあります。例えば、近隣の果樹園や畑を訪問したり、地域の皆さんに引率いただき登山をしたりします。年に二回ほど地域の皆さんと合同で学校行事(運動会/交流会)を開催しています。また行事以外にも校外学習は頻繁に行っており、地域の皆さんと交流しています。
給食ごはん
ごはんは「給食」と呼ばず、「学校ごはん」と呼んでいます。学校ごはんは、校内にある「大日向食堂」で毎日作られています。可能な限り佐久穂町産の食材を使い、基本的にバイキング形式で提供されます。「自分が食べられる量」を自ら選択し、責任を持って食べることを日々学びます。また、地域に開かれた食堂として一般開放しており、誰でも利用することができます。
宮城県仙台市
「大人も子どもも育ちあう」「子どもの心に寄り添う保育」の考え方と、「イエナプラン」のコンセプトを融合させた新たな教育課程「ろりぽっぷプラン」を実施。
各自の興味・関心のある学習内容から、自分の得意とする学び方で学ぶ場を設定します。学年の枠を超えた異年齢グループなども活用します。
また、子どもたちの問いからスタートする「探求学習」と、国語・算数・理科・社会などの「教科学習」が相互に関わり合いながら、子どもが学ぶ理由を感じながら学習できる環境構成を行います。
人間・キャリア科
「人間・キャリア科」を新設。発達障がい、いじめ、不登校の生徒のコミュニケーション能力を向上を目的に、心理教育やカウンセリングスキルを活用します。保護者へのカウンセリング、保護者も交えての授業も実施しています。
個人の進度に合わせた学び
「個別学習」の時間を設定し、一人ひとりのペースに合わせた学習の時間を確保します。個人の進度に合わせた学びを保証するために、生徒が在籍する学年の単元だけではなく、上学年の単元や下学年の単元を学べるように、学年の枠を超えた異年齢グループでの学びも行っています。宿題は一人ひとりの生徒と相談し必要であれば用意しますが、教師が一方的に宿題を出すことはありません。
コミュニティー・スクール(学校運営協議会制度)
コミュニティー・スクール(学校運営協議会制度)を活用し、様々な世代の人々との触れ合いを通して、人間としての良さの体験を実感する場面・機会を多く設けます。さらに、動植物とのふれあい体験や校内や地域の素材を生かした体験活動を取り入れます。
児童が創り上げる行事
行事は、児童と話し合いながら創り上げていきます。年間での行事計画は作成しておりますが、生徒との話し合いの中で変更になる場合もあります。
イエナプラン教育を取り入れるメリット
生徒の主体性を高める
イエナプラン教育では生徒の自律を重視しており、生徒が自ら考え行動することを促します。それにより、生徒の主体性が育ちます。
多様な価値観に触れることができる
対話を重視した活動を取り入れているため、他人の考えや意見を知ることができます。
教える力がつく
学級が異学年の生徒と構成されることにより、年上の子どもが年下の子どもに学習を教えてあげる機会が多く生まれます。人に教える力がつくとともに、アウトプットすることにより学習を定着する効果も生まれます。
イエナプラン教育の今後の展望
イエナプランは従来の教育法に新たな風を吹き込む、革新的な教育法といわれています。
「人種・国籍・性別・宗教・障がいなどの有無に関係なく、自分らしく成長する権利」をうたっており、多様化がすすむ現代で、さらに世界中で普及すると考えられています。現在日本ではイエナプラン教育を取り入れている学校はまだ数少ないですが、将来全国に広がりをみせていくでしょう。
イエナプラン教育にご興味を持たれたら、教育移住を考えるうえで、選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。