移住者プロフィール
鳥海 竜飛さん
四万十川の魅力を知ってもらうため、各種イベントの企画・運営を手掛けています。
協力隊は、子どもの頃からの夢
東京に住んでいた小学生の頃、田舎のイメージによくある学校帰りに友達と川に飛び込んで遊ぶことに憧れていました。その時から、いつか田舎に住みたいと漠然と考えていましたね。
地域おこし協力隊のことを初めて知ったのは、中学生のときにTVドラマ「遅咲きのヒマワリ(※)」を観たことがきっかけです。協力隊が主人公のドラマなのですが、隊員や地域の方々が織りなす人間物語がおもしろくて毎週観ていました。
高校生になって進路を考えるとき、このドラマのことを思い出して自分も「地域おこし協力隊になりたい。」と三者面談ではそう宣言していました。高校卒業後は東京で働きながら、移住先を探していました。移住フェアに参加した際に四万十町役場の職員さんに会ったことをきっかけに、実際に四万十町へ視察に行きました。その他いくつかの自治体も検討しましたが、もともともっていた田舎のイメージと合致したこと、対応してくれた職員さんの年が近く親切だったことで四万十町への移住を決断しました。
※遅咲きのヒマワリ……2012年に放送された、最後の清流と呼ばれる高知県・四万十川を舞台にした若者達の群像ドラマ。
漁を通じて川の魅力を知る
協力隊の担当業務は、四万十川の川遊びインストラクターと観光振興です。四万十川の環境保全活動や環境学習のサポート、魅力発信などを主な業務として活動しています。もともと、都内に住んでいて川遊びはほとんどやったことがなかったので、川に入って遊べることは新鮮でしたし、川遊びの中でも川漁を学んだ経験はとても貴重でした。
四万十川では200種類もの魚が生息し、鮎、アメゴ、うなぎ、川エビ、ツガニなどが川漁の対象となっています。狙う獲物や場所によって様々な漁が行われています。特に鮎の「友釣り」は、野鮎の縄張り内にオトリとして用意した鮎を使い、野鮎が追い払おうとして体当たりしたところを引っ掛ける漁法です。理屈は分かっていてもなかなか難しい釣りですが、難しい分、鮎が掛かった時のワクワク感に魅了されます。
また、四万十川の伝統漁法である鮎の「火振り漁」は見応えたっぷりで、月のない暗夜に川舟の上から松明を振り、鮎を驚かして網に誘い込みます。川の静寂に火が舞う様子は、四万十川の夏の風物詩として親しまれています。初めて火振り漁の手伝いをさせていただいた時は、引き上げる網にかかった大漁の鮎とその大きさに驚きが隠せませんでした。川遊びを通して、四万十川の偉大さを改めて実感しました。ぜひみなさんにも四万十川で川遊びを体験してほしいと思います。
川に触れるきっかけづくりを
四万十川の魅力を発信するため、川沿いでのイベントをたくさん企画・実施してきました。その中でも、私が協力隊として初めて企画した「竹でつくるバウムクーヘンイベント」は最も心に残っています。企画書の作成からスタッフ集め、場所の確保、チラシ作り、必要な道具の用意など、初めての試みばかりで手探りの一歩でした。しかし、できあがったバウムクーヘンを食べて「美味しい」と言ってくれた子どもたちの笑顔を見て、やってきてよかったと感じました。
このイベントをきっかけに、地元の高校生との交流会や修学旅行のカリキュラムの一環としてバウムクーヘン作りを取り入れる機会を得ることができ、新たなつながりをつくることができました。それ以降、焚き火イベントや友釣りイベントなどを開催し、いろいろな方々に向けて川に触れるきっかけづくりを行っています。
川、人、食に魅了されて
四万十町の魅力は、四万十川はもちろんですが、なんといっても人だと思います。私はほとんど町外に遊びに行くことがありません。町内を歩きながら地元の珈琲屋さんや、知り合いのお寺、行きつけのスナックに行くことでプライベートはとても充実しています。ありがたいことに地域には世話好きな方が多く、なんでも自分事のように考えてくれます。この人達がいるから、これからも四万十町に居続けたいと思っています。また、四万十町には移住者も多いので、地域の方々も移住者を受け入れることに慣れているように感じます。私自身も他の移住者から新しい発想をいただけるのはありがたいですね。
それから食も魅力的です。仁井田米や天然鮎をはじめ、地産のおいしいものがたくさんあります。最近、よそで作られたお米が食べられなくなったのは、それだけ四万十町の味がおいしいからだと思います。
移住を検討されている方へ
地方移住とひとくくりに言っても、地域によって特徴は全く違います。実際に気になる場所に行ってみて比較してみるのが良いと思います。その上で、数日間の視察では見えてこない部分もあるので、本当のところは生活してみないとわからないという心構えを持つことが大事です。移住を検討されている方はぜひ慎重かつ大胆に飛び込んでみてはいかかでしょうか。
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