移住したら地域行事に参加しよう! 驚いた地域行事8選
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地方に移住したら地域の行事に参加するのは楽しみのひとつ。一方で、地域行事はもともと住んでいた人たちだけのものと感じ、参加をためらう人も多いのではないでしょうか。この記事では地域行事が持つ意味や役割、移住者が地域行事に参加することの意義をお伝えします。
1.地域行事とは
地域行事とは、地域の文化や歴史を反映した古来から続く行事です。その地域の風土や気候、歴史的背景にもとづき生まれたものが多いといわれています。
古くから受け継がれてきた伝統ある行事は、地域の人々が同じ目的を持って活動を行い、交流を深め、地域の結束力を高める機会となります。また、地域行事は地域の文化や歴史を次世代に継承する重要な役割を担っています。
2.伝統的な行事や驚いた地域行事の紹介
三重県伊勢市 二見興玉神社「夏至祭」
二見興玉神社では毎年夏至の日、午前3:30から6:00 に「夏至祭」が行われます。太陽のパワーが1年で最も強まる夏至の前後2ヶ月の間、夫婦岩と呼ばれる2つの岩の間から朝日が昇ります。
同神社では古来より夫婦岩の間に昇る太陽を「日の大神」と拝してきました。また、この夫婦岩一帯の二見浦は禊浜(みそぎはま)と呼ばれ、 伊勢神宮に参拝する前に心身を清める禊(みそぎ)の場として尊ばれてきました。
夏至祭では、白装束をまとった300人近い男女が天照大神を迎えるために、祝詞を唱えて海に入り、朝日が昇る夫婦岩に向けて歩いて行く神事が行われます。なお、この禊は事前に予約をすれば誰でも参加することができます。
引用:二見興玉神社HP
長崎県長崎市 精霊流し
ご先祖様の霊を送り出す精霊流しは灯籠流しとも呼ばれ、全国各地で行われています。テレビなどで川や海に灯籠を浮かべたシーンを見たこともある人も多いのではないかと思います。長崎県長崎市の精霊流しは他の地方とは異なります。
初盆を迎えた故人の遺族や町内の住民が「精霊船」と呼ばれる手造りの船を、町中練り歩きながら、流し場といわれる終着点まで運んでいきます。精霊船は故人の趣向を盛り込んで、提灯や造花などで飾り付けられます。
精霊流しは夕方から始まり、激しい爆竹や鐘の音、掛け声の中を船がとおり、行列は夜中まで続きます。
引用:西日本新聞
宮城県大和町 七薬師掛け 七薬師
宮城県大和町には七薬師掛けといわれる風習があります。大和町にそびえる七ツ森(笹倉山、松倉山、撫倉山、大倉山、蜂倉山、鎌倉山、遂倉山 )の各山の頂上には、病気で苦しむ人々を助ける仏さまである 薬師如来が1体ずつまつられています。
無病息災を願い、その7つの薬師如来を1日で参拝するものが七薬師がけです。七ツ森は古くから信仰の山であり、7つの山を登る荒行を成し遂げることにご利益があると考えられています。
地域の行事としては毎年旧暦の4月8日に行われていますが、それ以外の日程でも誰でも自由に登山を行うことができます。
引用:大和町HP
福島県三島町 雪と火のまつり
福島県三島町で毎年2月第2土曜日に開催される「雪と火のまつり」は「サイノカミ」と呼ばれる五穀豊穣、無病息災、村中安全を祈願する伝統行事が再現されます。「サイノカミ」は国の重要無形民俗文化財に指定されており、「日本で最も美しい村」連合加盟の登録資源になりました。
高さ20mもある巨大な「サイノカミ」は、御神木にわらを巻きつけて住民たちがつくります。降り積もった雪の中でサイノカミの巨大な炎が燃えさかり、夜空に花火が打ちあがる幻想的な行事です。
集落を練り歩きながら昔から伝わる歌で害鳥を追い払い豊作を願う「鳥追い」や、1年の五穀豊穣などを願いながらミズの木の枝に団子さして飾る「団子さし」も行われ、三島の文化に触れることができます。三島の特産品や地元グルメを堪能できる出が数多く出店し、子ども向けの雪遊びイベントも行われ、幅広い年代の人が楽しめるイベントです。
引用:三島町観光ポータルサイト
山形県天童市 人間将棋
「人間将棋」は将棋のまち天童市で毎年4月に行われます。桜爛漫の伏見城で豊臣秀吉、秀次の故事に習ったもので、甲冑や着物姿の人たちが将棋の駒となり、プロ棋士による対局を行います。
およそ2,000本の桜が咲き乱れる舞鶴山で、多くの観光客が訪れる一大イベントです。
引用:天童市HP
群馬県上野村 乙父のおひながゆ
川原に子どもたちが「お城」と呼ばれる円形の囲いをつくり、おかゆの朝食を取り、こたつで1日を過ごす伝統行事です。お城は2日から3日かけて石を積み上げてつくり、おひなさま、かるた、食べ物などを運びこみます。
大昔、川に流され疲れ果てたお姫様をおかゆをたいてお世話したという故事が由来となっています。毎年4月3日に行われます。
引用:上野村HP
香川県小豆島町 虫送り
約300年前から小豆島町中山地区に伝わる伝統行事で、夏至から11日目にあたる半夏生の頃に行われます。虫送りとは、害虫を退治して豊作を願う行事です。
昔は今と違い農薬などなかったため、害虫による農作物の害が絶えませんでした。少しでも多くの農作物を収穫できるようにとの農民の願いにより、生まれた行事です。
火手(ほて)と呼ばれる竹の松明(たいまつ)をかざしながら、田んぼのあぜ道を練り歩きます。この小豆島の虫送りは映画にも登場したシーンとなっています。
引用:小豆島観光協会
和歌山県日高川町 笑い祭
笑い祭は別名「丹生祭」といわれ、和歌山県の無形民族文化財に指定されています。頬を白く塗った笑い男が、鈴をふりながら「笑え、笑え」と町中を練り歩く奇祭です。
出雲の神様の集まりに寝坊をしてショックでふさぎ込んでしまったお姫様を、村人たちが「笑え、笑え」と元気づけたのが始まりといわれています。毎年体育の日の直前の日曜日に行われます。
引用:日高川町観光協会
3.地域行事が地域社会や地域コミュニティに与える影響
地域行事が地域社会や地域コミュニティに与える影響はおもに2つあります。
ひとつは、地域住民の結束を強めることです。伝統的な地域行事は、長い年月をかけて地域の住民が一帯となり大切に受け継いできたものです。
先祖の代から受け継がれてきた伝統を自分たちの代で絶やしてはいけないという使命感により、結束が生まれてきます。地域の歴史が長ければ長いほど、地域住民の結束も強くなるのです。
ふたつめは、地域の経済や観光への寄与です。地域の行事は地域を活性化するよいきっかけとなります。
その行事を実施することにより自治体や、行事に関わる会社の収益になり、雇用が生まれ、新しいコミュニティが生まれるきっかけにもなります。観光客が多ければ、それだけ経済効果も大きくなり、また自治体の知名度も上がります。
4.移住者と地域行事の関係
移住者が地域行事に参加することをためらう人も多いかもしれません。しかし、移住者にとって地域行事に参加することで得られるものが多いのも事実です。
1.地域の人々との交流
誰も知っている人がいない土地に移住するのは心細いものですが、地域の行事で顔を合わせる回数を重ねることに知り合いが増えていくものです。田舎の人は打ち解けるまでに時間がかかる傾向がありますが、一度親しくなると身内のように親切にしてくれる人も多いのです。
たとえば、地域の情報を教えてくれたり、自分の畑で獲れた野菜を分けてくれたり、困ったことに相談に乗ってくれるようになります。災害など、非常事態の時には地域の人同志の助け合いが必要不可欠です。
地域の人との絆を深めるには地域行事への参加は絶好のチャンスです。
2.子どもへの好影響
子育て世代にとっても、地域行事への参加はとても意義のあるものだといえます。子どもにとって、普段あまり接することがない幅広い世代の人や見知らぬ子どもたちと交流することは家庭では得られない経験であり、社会性を育むよい機会となります。
お祭りや伝統行事に参加することにより、子どもの情緒を育くみ、礼節や道徳を学ぶことができます。家のテレビで行事をみるのと実際に参加するのでは、充実感がまったく違うものです。
子どもの顔を地域の人に覚えてもらうことにより、事故や犯罪を未然に防ぐ効果もあります。田舎では高齢化がすすんでいることもあり、子育て世代を歓迎し町全体で子育てをしようという雰囲気がある地域も多いです。
3.異文化、伝統を知ることができる
伝統的な地域の行事は、地域で一帯となり、長い年月をかけて大切に受け継がれてきたものです。地域文化に触れることによりその地域をより深く知ることができ、愛着がわくでしょう。
たとえ居住歴が浅くても、地域のお祭りや伝統行事に参加することにより、その地域の一員となっていくものです。自分の生まれ育った地域の行事との文化の違いを楽しんでみるのもよいかもしれません。
地域行事は地域の住民の結束を固め、地域の人とのコミュニケーションを深めるのに絶好の機会となります。また、地域の活性化や観光へも好影響をもたらすものです。
参加しなくとも、ただ観光するだけでも十分価値があるものです。
知らない文化に触れることにより、新しい価値観を見つけることができるでしょう。古きよき日本の文化を見直す機会にもなるかもしれません。
気になる移住先があれば、地域行事を調べ、観光したり参加してみてはいかがでしょうか。