独自取材!
兵庫県洲本市
年収600万円→200万円!お金には代え難い価値ある暮らし
移住者プロフィール
小林力
- 移住時期
- 2021年4月
出身地:新潟県 、前住所:東京都、現住所:兵庫県洲本市、職業:地域おこし協力隊、個人事業主
- 移住時期
- 2021年4月
出身地:新潟県 、前住所:東京都、現住所:兵庫県洲本市、職業:地域おこし協力隊、個人事業主
目次
INDEX
好きな場所で「家族と自由な時間が過ごせる生活」を望んで
「2019年に子どもが誕生したのを機に、今後の暮らし方を見つめ直し、妻と話し合いを重ねた結果、洲本市に移住を決意しました」
そう語るのは、現在洲本市で地域おこし協力隊として活動している小林力さん。現在は、小林さんと奥様、2歳と0歳の2人のお子さんがいる4人家族で、移住前は東京のIT企業でシステムエンジニアとして働いていたのだそう。
洲本市は自然が多く、同じく兵庫県内にある奥様の実家も近いことから、子育てするにあたって良い環境が整っていた。初めから移住先を洲本市に決めていた訳ではなく、東京の有楽町にある移住相談所を訪れたり、インターネットでさまざまな情報を集めたりしながら、最終的に洲本市に決断したという。新型コロナウイルス感染症が流行する前あたりから本格的に移住を考え、一年後の2021年の春、洲本市へ移住した。
自治体の行き届いたサービスに感激
「淡路島への移住相談を進める時に驚いたのは、自治体から委託を受けたNPO法人の支援の手厚さです。一度現地を訪れたいと相談した際、相談員の方は私たちのためだけに、見たい場所や話したい人をアテンドしてくれる1泊2日のオーダーメイドツアーを手配してくれました。」と小林さん。
移住後の生活について不安に思う人も多いが、移住者向けの手厚い支援を行っている自治体を移住先に選ぶことも、移住先選びの1つのポイントとなるだろう。
都会とは異なる移住先での暮らし
日照量が多い淡路島では、米や玉ねぎなどの農作物が育てられ、農作業の手伝いに駆り出されることも多いそうで、お米や野菜をおすそ分けしてもらえるのだ。「この1年はお米を買っていないですね」と笑顔で語る小林さん。都会ではなかなか考えられないことだが、これぞ田舎暮らしの醍醐味。農作業を手伝えば、自然と農家さんをはじめとする地元の人との繋がりもできる。
“断らない”を徹底して人間関係を築く
田舎生活は「助け合い」。移住後に快適な生活を送るためには、円滑な人間関係を構築することは必要不可欠である。「移住して半年ほどは誘われたら断らないと決め、呼ばれたらとりあえず行くというスタンスを貫きました」と小林さん。農作業はもちろん、イベントの手伝いや飲み会など、声がかかれば必ず足を運ぶようにしていたという。
そこで出会った人がさらに人を紹介してくれて、新しい繋がりができていくのだそう。初対面の人でも気後れすることなくスムーズに打ち解けられるようになるには、まずは相手に興味を持ち、信頼を寄せることから始めていくことで、地域の人と一体感を作ることができるのだろう。
移住先での稼ぎ方
小林さんは現在、地域おこし協力隊として体力のいる一次産業の支援や、前職のシステムエンジニアの経験を活かしてITを用いた地域支援の仕事なども行なっている。また、個人事業主としては自身のブログ運営やライターとしての活動も広げ、移住検討者に向けて移住後の生活や働き方を赤裸々に発信している。
洲本市の地域おこし協力隊は、働く時間が決まっているいわゆる「雇用型」ではない。自由度の高いスケジュールのため、個人事業主としての仕事と両立することが可能なのだそう。
地域おこし協力隊の働き方は自治体によって異なるが、自由度の高い働き方ができることも、洲本市を移住先として選んだ理由の一つだったという。地域おこし協力隊の応募を検討中の方は、移住希望先の地域おこし協力隊の仕事内容や働き方も調べた上で応募することをお勧めする。
移住者が気になるお金のあれこれ
移住を検討している人が一番気になることといえば、ずばりお金のことではないだろうか。移住者の多くの人が、移住後に今ある仕事を手放し、新しい環境で仕事を見つけ収入を得ていくことになるだろう。移住者だからこそわかる、お金に関するあれこれも思い切って聞いてみた。
小林さんは、東京で働いていた頃は年収600万円だったのに対し、移住当初は年収200万円ほどに下がったのだそう。ただし、地域おこし協力隊として移住した今の家賃は0円。多くの人にとって大きな支出となる家賃がかからないというのは、かなり大きい。
また、2021年10月、協力隊の報酬が上がったため、その分収入も月6万円ほどアップ。小林さんの場合は個人事業主としても活動しているので、ライターや法人向け資料制作業務などの収入もある。一方、主な移動手段が自家用車になったことで、ガソリン代などの車関係の支出は増えたのだそう。やはり自分が移住先でどのような仕事をするか、どんな暮らし方をするかによって、収支も変わってくる。
自分が欲しかった情報を移住希望者向けに発信
小林さんのブログでは、移住後の暮らしのお金事情に関して大変詳しく書かれているので、詳細を知りたい方はぜひ参考にしてほしい。
「こうした情報発信を始めたきっかけは、自分が移住を検討している際に、求めていた情報が少なかったから。当時の私自身が知りたかった情報を、移住を検討している人に向けて発信しようと思いました」と小林さん。小林さんの取り組みは、多くの地方移住検討者の背中を押してくれるだろう。
自身の家族との過ごし方も変化
晴れ渡る青空、心地よい野鳥のさえずりで目を覚ます一日のはじまり。休日には豊かな自然の中で、家族で魚釣りやバーベキューをする。「家族との時間を大切にしたい」そんな思いで地方移住を検討する方は少なくないだろう。小林さんは、移住後の家族との関わりは、どのように変化したのだろうか。
「都内に住んでいた頃よりも時間の融通がきくようになったため、子育てにも積極的に参加できるようになりました。また、都内にいた頃は、小さな子どもを連れて電車に乗る際は周囲の目を気にして緊張していましたが、現在の移動手段はほとんど車なので、余計なストレスなく移動ができます。
大きな公園や、少し車を走らせれば海もあるので、休日に家族で遊びに行く場所にも困りません。親の手を離れる前の一番可愛い時期の子どもたちと、自然いっぱいの環境で一緒に過ごせる時間は、なにものにも代えがたいですね」
移住がゴールではない
最後に、移住を体験した小林さんに、現在移住を検討している人に向けてメッセージを聞いてみた。
「移住することがゴールではなく、移住してから何がしたいのか、どのような暮らしがしたいのかということを明確にし、深掘りしておくことが大切だと思います」と小林さんは語る。
小林さんは、移住して数週間は『移住ハイ』のような状態になり、眼に映るもの、体験することすべてが楽しく素晴らしく感じていたのだそう。しかしそれも時を重ねると日常となる。そして現実的な問題に遭遇したとき、移住の目的がはっきりとしていれば、前向きに捉えることができるのだろう。
「移住」とは、文字通り、「移り、住む」ことが移住である。移る目的(やりたいこと)を実現するために準備を進めていくにつれ、おのずと住む場所(やりたいことを実現できる場所)も絞られ候補地がはっきりしてくる。最終的に現地に自分の足で赴き、目的を達成することができると判断すれば移住、という流れになるのが理想なのかもしれない。
移住の目的をパッと思い浮かばない移住希望者の人も、移住前に一度しっかりと考えておくと、さらに良い移住体験が待っていることだろう。
★小林さんが運営するブログ 「移住後の働き方戦略室」
★小林さんが出版したKindle本 「知識ゼロからはじめる地方移住7つのステップ」