移住者プロフィール
柴田 絵美さん
移住時期
2021年4月
前住所:佐賀県武雄市、現住所:長崎県島原市、職業:結デザイン有限会社 執行役員
目次
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「私」だからこそできる仕事を求めて島原へ
佐賀県で生まれ育った柴田さんは、映像制作の仕事に憧れを持ち、大学時代の4年間は神奈川県で過ごしたのだそう。その後は地元である佐賀県に戻り、さまざまな職種を経験したという。
結婚・出産とライフステージが変わり、ワーキングマザーとして日々を過ごしていくなか、「母であること」と「仕事をすること」の間にある違和感に気づき始めた。
「『母である自分はもちろん大切。でも、母であることを理由に、妥協した仕事をしたくない。私らしく、私だからできる仕事をしたい』と思うようになりました」
悶々とする日々に決別するかのごとく、柴田さんは“自分らしい人生”に向けて行動する。
「九州という土地柄もあり、『女性は家庭を守るもの』という固定概念が強い環境でした。『仕事を頑張る私も応援してほしい』という自分の気持ちと、『母として子どもと家庭を第一に考えてほしい』という夫の気持ちにギャップが生じてしまい、シングルマザーになることを決意しました。
その頃は就業していた会社での働き方に疑問を感じていた時期でもあったんです。そんな時に、知人から声をかけてもらって、今働いている「結デザイン有限会社」への転職も決まり、心機一転長崎県へ移住することになりました」
柴田さんが所属する「結デザイン有限会社」は、長崎県島原市にある。自治体のふるさと納税業務サポートを中心に、地方創生事業を行う会社だ。2021年4月に入社した柴田さんだが、現在は執行役員・ディレクター・ブランドマネージャー・リクルーターとマルチな業務を担っている。
公式Instagramを覗いてみると、そこにはデザイン性の高いおしゃれなポストがずらりと並ぶ。さまざまな自治体の返礼品情報だけでなく会社の魅力も発信しているのだ。
「結デザインは、日本の端っこの島原から全国へ事業展開を進める面白い会社です。個性や強みを活かすことを大事にしてくれる働きやすい会社ですが、入社当初はHPなども整備されておらず会社の魅力が伝わっていないと感じました。
ディレクター職で入社したのですが、自分の強みであるデザインスキルやセンスを活かせると思い、広報の役割も担うことになりました。子どもがいてもいなくても自分の仕事をきちんと評価してもらえて、1年で執行役員にさせてもらえる懐の広い会社に入社できて本当に良かったです」
住む場所も働く場所もすべてをリセットし、新しい道を歩むことを選んだ柴田さん。わずか1年ほどで、会社の中心的存在となった彼女の仕事道に迫る。
「その土地のリアルを魅せる」ふるさと納税を通した地域創生事業
結デザインでは、返礼品の新規開拓やサイト運営など「ふるさと納税」に関わるさまざまな業務をサポートすることで、地域の魅力向上に力を入れている。柴田さんは、より寄付が多く集まるような返礼品の企画や、ふるさと納税を通じて地域のファンになってもらえるように自治体のブランディングなどを担当。
そんな彼女の強みは、「人や地域の強み(長所)を見つけること」。
自治体担当者も気づいていないような地域の良いところを見つけ出し、その地域ならではのブランド価値として高めていく。全国に知られた特産品がない土地にも必ず自治体特有の魅力があるものだ。どうしても目を引く返礼品に注目が集まりがちだが、ふるさと納税の本来の意味を考えると、多様な地域性にも目を向けていきたい。
「寄付に繋がりやすいという理由で、高価な家電などを返礼品として提示している地域も少なくないのですが、制度としては実はアウトなんです。弊社はきちんとルールを遵守し、クリーンな形で地域の魅力を発信したいので、その土地ならではの強みを発掘し、ファン獲得につながる見せ方に力を入れています」
ただ返礼品目的のために寄付をしてもらうのではなく、ふるさと納税を通じてさまざまな地域そのものの魅力を伝え、自治体の持つ価値に共感してもらう。そうすることで継続的な支援を獲得し、地域が元気になっていくのだ。
返礼品の商品企画やポータルサイトのデザインなどでは、持ち前のセンスを活かしながら各自治体の価値向上に力を入れている。
受領書送付用封筒のデザインにもこだわっているそうで、寄付者からの評判も高い。地域に寄り添い、自治体担当者と肩を並べ奔走する。
そんな柴田さんがやりがいを感じるのは、企画した返礼品に申し込みが入り、事業者の方たちの喜ぶ顔を見たときなのだそう。
「以前、担当自治体の事業者さんでカメラマンを兼業する方から、『地元の風景や住む人たちの姿を納めたカレンダーを毎年作ってるんやけど、これもふるさと納税に出品できるやろうか』という相談がありました。
受賞歴もある腕前の方で、写真の数々はどれも素敵なものばかり。その土地に由縁がある方にとっては絶対に心に届くものだと確信しました。
しかし、当の事業者さんは『あまり寄付はこないと思うけど……』と不安げだったんです。それでもこの想いを多くの方に届けたいと、サイトでの見せ方などかなりこだわりました。すると、公開数日後に申し込みが!事業者さんもとても喜んでくださって、自分自身も喜びを感じました」
「物事の本質」を見出す力を養った学生時代
佐賀県佐賀市で過ごした幼少時代、柴田さんはドキュメンタリー好きの父に影響され、フィクションよりもリアルを映す番組に夢中になったと語る。そこから「いつかドキュメンタリー番組を作りたい」という思いが芽生えたのだそう。
そんな柴田さんにとって、ひとつのターニングポイントとなったのが中学3年生のとき。
夏休みの課題として国連が主催する絵画コンクールに応募したところ、なんと日本代表に選ばれニューヨークの国連本部に作品が展示されたのだ。
「美術部に入っていたわけではないのですが、何かを表現することは好きでした。『課題のひとつ』という感覚で、世界平和をテーマにしたコンクールにチャレンジしました。
入賞し、国連本部に飾られることが決まって、母がせっかくだからとニューヨークへ連れて行ってくれました。この時の経験は今のクリエイティブな仕事につながっていると思います」
何事も物事の本質を見抜けなければ、思いを伝えることは難しい。しかし、その“本質を見抜く力”は誰しもが持ち合わせているものではなく、スキルのひとつともいえる。
担当する地域のリアルを見つめ、その地域ならではの真価を見出すことが、現在の彼女の仕事だ。
本質を見つめ、自分の内側にある想いを表現する仕事は、まさに彼女が望んでいた「自分にしかできない、自分だからこそできる仕事」なのだろう。
地域と関わり子育てをする。移住してわかった子育てのカタチ
シングルマザーとなってからのワンオペ移住にはさまざまな苦労がありそうだが、どのように乗り越え環境を整えていったのだろうか。
「大変だったことは、当時小4だった長女のケアですね。次女は小学校入学のタイミングだったのですんなり馴染めたのですが、長女は転校することになったので気にかけていました。
転校生が多い小学校を事前にリサーチして、そこに通えるように住む場所も決めました。転校生が多い学校だからか面倒見の良いお友達が多くて、馴染むのに少し時間はかかりましたが、いまは楽しく通学しています」
「移住」が家族の絆をより深めるきっかけに
転職と同時に移住をした柴田さん。仕事に慣れることと家庭の基盤を整えることの両立には、家族や地域との協力体制が欠かせないという。
「娘たちの年齢に合わせて、家事を分担しています。そうしていくうちに、料理の簡単な下ごしらえもできるようになりました。洗濯物はほぼ乾燥機にかけて取り出すだけで着られるようにするなど、家事はなるべく簡略化して、娘たちでもできるように工夫しました。
最初は任せることに心配もありましたが、子どもを信じてお願いして良かったです。結果的に娘たちの自立につながりますし、将来必要なスキルも身についていくと思うので」
「出張や帰りが遅くなる日は、地域の方や気心知れた友人に子どもを見てもらうこともあります。仕事を通して移住者の方に出会うことも多くて、子育て中の移住者同士のつながりも増えていきました。
移住前は『家事も育児も母親がやるべき』という周りからの圧力が強く、精神的に参ってしまうことも多くて。移住してからは、『みんなで子育てしよう!』という考えで子育てできるようになりました」
ワンオペ育児の場合、かつての柴田さんのように、周りからの声に影響を受け「子育てや家事はすべて自分1人でやらなくては」と考える母親は少なくない。
子育ては、親だけで、まして母親だけでできるものではない。
親が子育てを楽しむためにも、地域のみんなで子育てを支える社会が求められている。
親は、地域の子育て支援を上手に活用したり、周囲の人たちに上手に甘えていいのだ。
そうすることで、「私たちの日常は、人と人の絆の中で暮らしていること、その中で子どもは育っていく」ということを教わり、親も子どもも共に成長していくのだろう。
人生は一度きり!行動が未来を変える
最後に、移住を検討している方に向けてメッセージを頂いた。
「自分の人生をどうするかというのは、人それぞれだと思います。でも私は、一度きりの人生を後悔したくないという気持ちが強かったんです。
娘2人のことを考えると移住前は不安も大きかったですが、この決断を正解にするのは、自分たち次第だと思って。
私1人だけが頑張って子どもたちに愛情をかける方法もありますが、たくさんの人から愛情をかけてもらうのも大事だと思うんです。
未知のことへの挑戦や誰かに甘えるというのは勇気がいりますが、私の場合は甘えてみたら結果として子どものためにもなりました。そして、子どもたちを信じているからこそ自分のやりたいこともやれるようになったと思います。
不安があっても、やらない後悔よりもやって後悔する方がいいなと感じる性分なので、ダメなら戻ればいいと思って移住を決断しました。何事もやってみないとわからないので、まずは行動してみることが大切だと思います」
移住や転職など、ライフスタイルを自ら変える決断には心配や不安がつきものだが、「とりあえずやってみよう」という気持ちでまずは一歩踏み出す。
「自分にはできない」と思っていたハードルが、高い物事にチャレンジすることで、見える景色、人生までもがポジティブに変わっていく。
大切なことは、自分が「どこにいるか」ということではなく、「どの方向に向かっているのか」ということなのではないだろうか。
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