移住者プロフィール
木村 知子さん
青森県田子町の地域おこし協力隊、趣味・特技:人と話すこと、寝ること、食べること
目次
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地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
夫が、出会ったときにパン屋で働いており、定年退職後に夫婦でパン屋をやりたいという夢がありました。
現状の働き方に不満があったので、基礎ができているなら自分で店を開いてもいいのではないか?と思い立ったんです。
もちろん責任は伴いますが、自分で仕事を決めていける自由さに惹かれました。その時はまだ子どももおらず(現在は妊娠中)、身軽に動ける早いうちに自分で商売を始めたいと思い、移住を検討し始めました。
最初は、移住してすぐパン屋をやりたいと思っていましたが、土地勘がなく人の繋がりがないまま、いきなり開店するよりは、地域おこし協力隊という制度を活用させてもらい町の人と仲良くなり、地域についてよく知ってからパン屋を開店した方が良いのではないかと思いました。
そこで、検討している地域内で地域おこし協力隊を募集している市町村を探しました。
青森県田子町を選んだ理由について教えて下さい。
検討順としては、青森県→三八→田子という流れで決めました。
夫婦で初めて青森県に訪れたのは、私(妻)が勤めていた保育園で取引があった食品会社で企画された「稲刈り&りんご狩りツアー」だったんです。
米農家さんとの懇親会もあって、その人たちのあたたかさや、津軽弁の心地良さ、青森県の食べ物の美味しさに魅了されました。その時にJA職員から「空き家たくさんあるから移住しておいで」と言われ、「移住」という概念が初めて生まれたんです。
その後、八戸市に拠点を置いて活動している友人に案内してもらい、三八地域周辺を観光したり人を紹介してもらったりして、三八のどこかで地域おこし協力隊になりたいと思いました。
募集がないかと探していろいろな移住イベントなどに参加してみたところ、田子町の職員に出会い、強烈にお誘いを受けたんです。実際に訪問して移住経験のある仲間にも合わせてもらって、とても心強く感じて安心して移住を決めることができましたね。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私の場合は町の住民課に配属され「定住移住コンシェルジュ」という肩書をもらって、定住移住支援を主に業務としています。
具体的には、
- 東京での移住イベントへの参加(必要があれば町外出張視察)
- ホームページなどへの移住の問い合わせ対応
- 移住検討者(協力隊志望者)の町案内の対応
- オンライン移住相談会の企画
- 移住関係のLINE公式アカウントの運営
- 移住体験住宅の管理・入退去案内
- その他町内での移住定住関係のイベントの企画
協力隊としては、こちらの内容の業務をしています。
- SNS(Instagram・Facebook)の投稿
- 町内イベントの企画
- 町内ケーブルテレビへの協力隊チャンネルの撮影・編集
- 町外職員(協力隊など)の視察の受け入れ
また、配属課の通常業務を少し手伝うこともあります。その他町のPRに関わる依頼があれば受けるという感じです。
移住希望者の人の話を聞いてニーズを引き出す、移住希望者と町内の人を繋げる役割も担っています。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
町の人ととにかく仲良くなれることですね。
「協力隊です」というと大体の人は分かってくれるので、興味を持ってもらいやすく何かと助かっています。
業務に関わらずいろいろなお誘いをいただきます。誘いに乗ったら乗った分だけ認知してくれる人が増えるので、これを活用しない手はないと思っています。
町の方は、町のことをたくさん教えてくれます。自分たちも実際に住んでみると、良い所や課題点がたくさん見えてきます。そこに今後どのように関わっていけるかをじっくり考えることができる有難い期間だなと思っています。
実際に私は、移住前には考えていなかった「町の移住支援」を協力隊退任後、独立した法人を立ち上げて取り組めないか、と考えるようになりました。現在は法人立ち上げについて調整中です。
「手に職をつける」とまではいかなくとも、協力隊任期中に繋がることができた人や、知り得た知識などを活用できる仕事を見つけられたことは貴重なことだと思っています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
実際はもう少し自由に動けると思っていました。
市役所、役場などの公務員関係の仕事は経験がなかったので、入ってから知ることがたくさんありましたね。
行政は何でも書類作成、縦割り社会、公共公益性が求められます。イベントや制度を企画するためにも、前例が必要になってくるため、スタートが遅れてしまいます。
また、自分が実際に移住してきて、家については?農地や土地の購入は?商売を始めるには?というときにそれぞれ違う課に相談しなければいけないので、何がどこ、と担当を覚えるのに時間がかかりました。
特に移住は多くの課が関わってくるところなので、現在の縦割り行政のままでは追い付かないと感じ、行政と移住者を繋げる中間支援組織が必要だと感じました。
協力隊自身も、親身に相談に乗ってくれる役場職員がいればまだ良いですが、そうでない場合が多いので孤立しやすいと思います。協力隊に近い存在があればいいなと常々思います。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
前述したとおり、パン屋を開店して営業していくことです。
現在は加工場を借りて出張販売の形で営業しています。理想は眺めの良い場所でパン屋開店、心もほっこり温まる、親しみのある田舎のパン屋を開きたいです。
夫は多趣味なので音楽やその他の要素も含めて、来てもらったお客様に楽しんでもらえるパン屋にしていきたいと思っています。
自宅も近くに構えて、店舗の駐車場完備、スペースを空けて野菜も少し育てたいと考えています。また、パンに使う素材も青森県内、田子町内で採れたものをなるべく使い、ゆくゆくは自家製小麦を栽培してパンに使いたいです。
並行して、移住支援のための中間組織(一般社団法人)を立ち上げを検討中です。パン屋は週3~4日営業のつもりなので、それ以外で移住の方もうまく動いていけたらと思います。
市町村の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
最初は人見知りで警戒心が強いですが、一度一緒にお酒を酌み交わすだけで一気に親しみを持ってくれることを感じました。同じ場に一緒にいるだけで、一度関わりを持っただけで、すごく応援してくれるようになったので、自分から積極的に関わりを持つことが大事と感じます。
町内や町外には若い事業者が多く、時々飲み会に誘ってもらいました。以前から知ってはいたけど、その場で仲良くなって次の日からばったり会っても親しげに話してくれます。
また、畑を貸してくれるようになったり、「パンにりんごを使ってくれないか?」など仕事の関係に発展することがあったのでとても嬉しかったですね。
自治体の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
なんといっても「にんにく」が美味しいことですね。町で開催される「にんにく3大まつり」も大人気です。
黒毛和種の田子牛も貴重だが脂が甘く美味しいです。これらをコラボさせた「ガーリックステーキごはん」というメニューが町内の3店舗で食べることができ、町外・県外からの観光客も多く、メディアにも多く取り上げられています。
町の8割が森林で、茅葺き屋根の建物もいくつか残されており、日本の原風景を見ることができます。過去に星空日本一に選ばれたことがあり、空気の綺麗さは自慢です。
そして、まだまだ大きく認知されたり整備されたりはしていないが、田子町は都市伝説的なミステリーが多く伝わっていて、ヘブライ語と思われる不可解な歌詞で踊る伝統の踊り「ナニャドヤラ」が伝わっていたり、UFOの目撃がされたり、古代文字のようなものが彫られた石が見つかったり、牛の血液や臓器が不思議なほどきれいに抜かれていたり(キャトルミューティレーション)ということが過去に起こっています。
噛めば噛むほど深く面白い町。町の人もシャイだけど仲良くなってしまえばとてもお喋りで楽しい人ばかりです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
田子町には移住体験住宅が2棟あり、うち1棟は薪ストーブのある住宅(Wi-Fi完備)、もう1棟はペット可(小動物のみ可、爬虫類不可)の住宅となっており、田舎暮らしを体験することができます。
また、時期が合えば、にんにく収穫などの農業体験もすることができます。
子育て環境も好評で、お子様が満18歳になるまでの健康保険適用分の医療費の助成を受けることができます。
その他、移住後の賃貸アパート等に入居する際の家賃補助、町外に通勤する場合の通勤助成、結婚祝い金進呈、保育料の補助、小学校・中学校・高校に入学する際の入学祝い金など、子育てや移住に手厚い町です。
町内には保育に熱心な考えの保育園や近場に図書館もあり、落ち着いて学べる環境があります。
2022年に新しくオープンした町の観光施設「みろく館」は茅葺き屋根の住宅を改装した落ち着いた雰囲気で(Wi-Fi完備)、お仕事をしたり、食事の出前を頼んだり、こちらでもお子さんがリラックスして勉強などできるスペースになっています。
町には何より様々な仕事や活動をしている移住経験のある仲間がたくさんいますので、すぐにご紹介できますよ!
ぜひ一度田子町に足を運んでみてください。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓