地方移住を成功させるための7つの心得
移住前に知っておくべき大切なこと
目次
INDEX
都会と田舎では生活スタイルが大きく変わるものです。田舎のスローライフに憧れ地方へ移住したものの、都会の生活との思わぬギャップを感じたり、驚くこともあるかもしれません。田舎暮らしの実態をあらかじめ知っておくことで事前に準備できることも多く、よりスムーズに地方移住を実現することができます。また、移住してからのギャップも少なくて済むでしょう。この記事では地方移住するにあたっての心得についてお伝えします。
1. 気候の心構え
同じ日本でも地域によって気候はだいぶ違うものです。移住希望先がどのような気候かをあらかじめ知っておくことで、移住後に感じるギャップは少なくなるでしょう。
まず、日本では6つの気候区分に分けられます。
① 北海道
年間を通して降水量は少なく、梅雨の影響もほぼありません。台風も本州と比べると少ないのが特徴です。夏は涼しく過ごしやすいですが、冬は長く寒さが厳しいので注意が必要です。
② 日本海側
夏は晴れの日が多いですが、冬は降雪があり、曇りや雨の日も多いのが特徴です。
③ 太平洋側
夏は雨が多く、蒸し暑いです。冬は晴れた日が多く、乾燥しています。
④ 中央高地
年間を通して雨が少なく、夏と冬、昼と夜の気温の変化が大きいです。
⑤ 瀬戸内
1年を通して雨が少なく、比較的温暖な気候です。
⑥南西諸島
1年中温暖で雨が多いのが特徴です。また、海の近くと山の近くでは気候はまるで違います。
海の近くは湿気が多く、風が強いのが特徴です。山の近くは天気が変わりやすく、雨が多いのが特徴です。平地より気温が寒いということも頭に入れておく必要があります。
2. 交通手段の心構え
都会は公共交通機関が充実しており、電車を乗り継いでどこにでも行けます。また電車の走行間隔も短く、数分に1本電車が走っています。最終電車も遅くまで動いているので、夜遅くまで活動することができます。
一方、地方は都会ほど公共の交通機関が充実していません。電車は1時間に数本、または数時間に1本のところも珍しくはありません。
バスは比較的田舎でも走っていますが、やはり都会と比べると本数は少ないです。基本的に電車やバスの最終時刻は早く、21時には最終の便がなくなってしまう地域もあります。
地方の移動手段のメインは自家用車です。不便なところに行けばいくほど、車は必需品になります。車でしか通勤できない場所に会社があることも多く、公共交通機関があまりない地域では1人1台自家用車を持つことが多いです。
自動車を保有するには維持費がかかることを、念頭に入れなければなりません。
ソニー損害保険株式会社が2023年6月に調査した結果によると、1ヵ月あたりの車の維持費は5,000円〜10,000円未満が32.3%と最も多く、続いて10,000円〜15,000円未満(21.7%)が続き、維持費の平均は13,500円でした。
出展:ソニー損保「2023年 全国カーライフ実態調査」
ソニー損保「2023年 全国カーライフ実態調査」 | リサーチレポート | トピックス | 自動車保険ならソニー損保におまかせ! (sonysonpo.co.jp)
年間にすると、約16万円の出費になります。なお、こちらには車の本体の代金は入っていないので、車を新たに購入する場合は別途費用が必要です。
これから運転免許を取得しようとする人は、教習所の費用も念頭に入れておきましょう。教習所の費用は約30万円かかります。なお、運転免許を取得するまでの平均日数は約3か月となっています。
現在車を所持しておらず田舎で車を購入しようと思っている人は、あらかじめまとまった金額を用意しておいたほうがよいでしょう。費用のかかる車ですが、満員電車のストレスから解放され、休日にはドライブやアウトドアなどを楽しめるなど、メリットもたくさんあります。
もちろん、地方在住だとしても車を所持することが必須ではなく、公共交通機関をうまく利用したり必要な時は車を持っている友人・知人・親戚などを頼る方法もあります。
3. 商業施設の有無の心構え
地方都市には大型のショッピングセンターがあることが多く、大型スーパー、ホームセンター、飲食店、書店、衣料品店などが入っており、生活に必要なものはほぼ揃えることができます。ショッピングセンターには映画館、フィットネスなどが入っていることもあり、朝から夕方まで過ごすことも可能です。
ですが、ショッピングセンターは駅前などに建てられていることは稀です。大きな幹線道路沿いにあることが多く、自家用車があれば問題ありませんが、公共の交通機関を利用する場合は電車やバスを乗継がなくてはならない場合も多いでしょう。
大きい商業施設は循環バスが通っていることもあるので、それを利用するのもよいでしょう。デパートは大きな都市の駅前にしかない場合が多いので、高級なものを購入する場合は不便を感じることもあるかもしれません。
そのような時はネット通販を利用しましょう。インターネットの発達により、日本中どこに住んでいてもネット通販で手に入らないものは少なくなりました。
早いものであれば、翌日に配達してもらえることも少なくありません。食料品などもネットスーパーを利用すれば頻繁に買い物に行く必要もありません。
実店舗とネット通販をうまく組み合わせて買い物をすれば、地方に住んでいても買い物に困ることはほぼないといえます。
4. 古民家に住むことへの心構え
田舎に移住したら古民家に住みたいと思っている人も多いのではないでしょうか。古民家とは単に古い住宅を指すのではなく、伝統的な日本の建築方法で建てられた茅葺屋根や、草葺屋根、日本瓦葺き屋根、土間、太い梁がある住宅を指します。
広々とした間取りで、旅館のような空間で過ごす時間は趣があり、なんとも贅沢なものです。古民家は新築物件と比べ安価で購入・賃貸できることが多いのも利点です。
一方、古民家に住むにあたり注意しなければいけない点もあります。まず、古民家は中古物件であることを認識しなければいけません。
経年劣化による摩耗・損耗や水道・電気の故障・不具合がある可能性もあります。リノベーションは物件を購入した場合は自由にできますが、賃貸の場合は家主の許可がなければ改築は自由に行うことができないので要注意です。
エアコンがない時代に建てられた古民家は、通気性に優れており、夏でも暑さを感じさせない造りになっています。一方、冬の寒さには注意が必要です。
古民家は通気性に優れている反面、気密性は劣っており風が入ってきやすく寒さを感じやすいため、暖房費が高くつく可能性もあります。
家にこもった熱の約60%は窓から放出されるといわれています。リノベーションが可能であれば窓を二重にすることをおすすめします。それが難しい場合は窓に断熱シートを貼るだけでも効果はあるでしょう。
5. 教育環境を事前に下調べすることの大切さ
自然の多い場所でのびのびと子どもを育てたいけれど、田舎は都会と比べて教育環境が整っているか心配な人もいるのではないかと思います。子どもの教育は大切な問題ですから、事前に田舎の教育事情を知っておいたほうがよいでしょう。
田舎の教育環境の実態
① 学校の数が少ない
田舎は都会に比べ人口が少ないため、学校の数も少ないです。特に私立の学校は地方へ行けばいくほど少なくなります。
私立の小中一貫校などはかなり珍しく、大多数の子どもが小学校から高校まで公立の学校に通います。高校の数も都会ほど多くはないので、自宅から通えるいくつかの高校の中から進路を選ぶことになります。
② 登下校に時間がかかる
学校の数が少ないことにより、自宅から小中学校までの距離が離れている場合も多いです。公立の小中学校の場合、都会に比べ通学時間は長くなる可能性があります。
交通が不便な地域では市営のバスに乗って通学することもありますが、それほど多くの便は出ていないことが一般的です。バスの時間に間に合わない場合は保護者が学校へ送迎する必要があります。
③ 塾や予備校、習い事の数が少ない
補助的な教育機関も、都会に比べると数は少なく選択肢は狭くなるでしょう。
また、塾や予備校の場所によっては交通の公共機関で通えず、保護者が車で送迎する必要も出てきます。
習い事は、メジャーなものは地方にもありますが、マイナーなものは地方では教室がない場合も多いです。
④ 文化施設が少ない
都会に比べて図書館、美術館博、物館などの文化施設は少ないのが現状です。
⑤ オンラインをうまく活用することが大切
現在多くの塾や予備校ではオンラインで授業を受けられるようになっています。これにより、都会と同等の教育を地方でも受けることができます。
また習い事もオンラインでできるものが増えており、補助的な教育については都会と地方の格差は解消されつつあります。
6. 田舎の人間関係
続いて、田舎の人間関係について検証します。都会と田舎の人間関係はどう違い、どうしたら周りの人とよい関係を築けるのでしょうか。
田舎では地域住民同士の結びつきが強く、先祖代々その土地に住んでいる人も多く、信頼関係が出来上がっています。その中にいきなり知らない人が入ってきてもすぐに受け入れるのは難しいものです。
田舎の人に受け入れてもらうのには時間がかかると思ったほうがよいでしょう。時間をかければ田舎の人は次第に受け入れてくれるようになり、一旦仲間と認められれば、温かく接してもらえるようになります。
移住先の田舎で良好な人間関係を築くコツ
① 近所に引っ越しの挨拶をする
都会では引っ越しをしたからといって近所の人に挨拶をしない場合も多く、隣に住んでいる人の顔も知らないことはめずらしくありません。しかし田舎では、面倒でもきちんと挨拶をしておくのが得策です。
地域の人たちからすると、どんな人が移住してきたのかは大きな関心ごとです。何軒か近所の家を訪問すれば、地域のルールを教えてくれたり、地域の集まりに誘ってくれたり、困った時に助けてくれたりする人がいるものです。
反対に引っ越し時に挨拶がない場合、「礼儀知らずの人」「地域に溶け込むつもりがない」と誤解をされてしまうこともあります。後々のことを考え、引っ越し時の近所への挨拶は欠かさず行いたいものです。
② その土地のルールを守る
「郷に入っては郷に従え」ということわざがありますが、移住先ではその土地の風習やルール、また地域の特性や地域の住民の気質を理解し、歩み寄ることが大切です。そういった努力により、少しずつ地域の住民からも受け入れてもらえるようになるでしょう。
7. 地域活動の参加の心構え
田舎では地域活動が活発なところも多く、草刈りや清掃、町内会、お祭り、親睦会などが行われます。地域の人たちとよい関係を築くため、可能な限り地域のイベントや集まりに参加しましょう。
警戒心を持って接していた田舎の人も、次第に心を開いてくれ、有益な情報を教えてくれるようになったり、地域に溶け込もうとしている姿勢が評価されます。
都会と田舎の暮らしは大きく異なるところもありますが、都会と田舎どちらが良い悪いではなく、その地域の特性ととらえることで柔軟に対応できるようになります。田舎暮らしの実態について事前に入念に調べ、情報を得るようにすれば、より安心して移住を実現することができるでしょう。