移住者プロフィール
朴 瞳さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
兵庫県宍粟市の地域おこし協力隊、趣味・特技:発酵、田舎暮らし、猫
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
田舎暮らしに興味を持ったきっかけは、30才の時にワーキングホリデーでオーストラリアに行ったことです。はじめはどこかの都市に滞在して1年を過ごすつもりだったのですが、いざ到着してみると、あちこち行きたい所が出来てしまいました。
気が付いたらアウトドア用品店で40L超えのバックパックやテントやシュラフを買い込み、スーツケースを日本に送り返していました(笑)。WWOOF(Worldwide Opportunities on Organic Farms:世界に広がる有機農場での機会)をしながら旅をする中で、自然と共生し生きている人たちに出会い、その暮らしに心地良さを感じるようになりました。
それまでの日本での生活圏はいわゆる“大都市の中心部”だったので真逆の世界でしたが、「人生の後半は田舎で過ごそう」と思うきっかけになりました。
兵庫県宍粟市を選んだ理由について教えて下さい。
1つめは人の魅力、次に土地の豊かさです。この2つが宍粟市を選んだ理由です。
移住先へのこだわりはあまりなかったので、初めは移住センターで各県のブースを周り、その後いくつかの自治体に問い合わせて資料を送ってもらいました。その時に宍粟市まちづくり推進課で電話対応して下さった方がとても温かい方でした。
届いた資料には、その方が手書きで付箋のメモを貼り情報を追加して下さっていて、事務処理で終わらない“おもてなし”を感じました。
その後、いくつかの候補地に実際に足を運びましたが、どこにいても山に囲まれている宍粟市を一番美しいと感じました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私のミッションは「森林セラピー」と「発酵のふるさと宍粟市のPR」の2つです。
森林セラピーは全く初めて、発酵食品はヨーグルトや納豆を自前で常食していた程度でしたので、それぞれ基礎から学ぶところから始めました。
森林セラピー
森林セラピーロードをMTBで走る「森林セラピー×E-BIKE」の新ツアーや、ヨガやアロマを組み合わせた森林セラピーイベントなどの企画、企業モニターツアーの対応、PR動画の撮影などをしています。
発酵のふるさと宍粟市のPR
宍粟市外から発酵料理の先生をお招きして全3回の料理教室の開催や、主にWEB上で発酵文化のPR活動をしています。
※森林セラピーとは
森には、わたしたちを癒し、健康に導く力があることが実証されています。
森林セラピーは、科学的な証拠に裏付けされた森林浴のことです。
森を楽しみながらこころと身体の健康維持・増進、病気の予防を行うことを目指します。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
私の活動範囲は「宍粟市内全域」と大変広く(宍粟市は広い兵庫県の中でも2番目に面積が広い)、日頃からミッションや分野を問わず、沢山の方に会ってご挨拶するよう心がけています。
お陰様で(?)私が人と人をお繋ぎして喜ばれることが増えました。ミッションからは少し離れていますが、こういった“土地の人同士だけでは気づかなかったこと・やらないこと”に気づけるのが移住者です。
さらに一歩踏み込めるのが私たち協力隊だと思っているので、そうして培ったネットワークで宍粟市の皆さんに喜んでもらえるのは嬉しいですね。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
良い事も悪い事もありますが、悪い点は活動時間と私生活を分けるのに苦労することでしょうか。休日でも外に出れば「協力隊の人」ですし、動画編集や資料作成などで在宅のPCワークが続くと、周囲からは「家に車がある=休み」と思われているようです。
良い点は、想像していた以上にやりたい事をサポートしてもらえることです。市役所や受入れ団体もそうですが、地元の方も本当に快く協力して下さいます。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
任期後についてはまだ考え中です。
ただ、ご縁があって任期途中で家を購入したので、退任後も引き続き宍粟市に関わりを持ちながら生活していくつもりです。
先述したとおり、沢山の人に会いに行って、強い得意分野を持つ個性的な方々にも繋がってきました。そういった方たちをお呼びして、発酵ごはんのワークショップや薪ストーブでパンや焼き菓子をつくったり、竹細工合宿の開催地になったり、民泊や、今度は自分がWWOOFのホストになるのも面白いなと思っています。
兵庫県宍粟市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
着任して2か月くらいの頃に山に入ってドクダミを探していたところ、林道を下って来るトラックに出会いました。運転席には腕っぷしの強そうなおじさんが一人乗っていました。
ドクダミの群生場所に案内してくれたのですが、不作だったのか、あまり咲いていませんでした。おじさんは「うちの庭にようけあるわ」と家に案内して下さり、お屋敷のような家で立派なドクダミを沢山摘ませてくれました。
ついでにと、庭にあった琵琶の木から果実を1kgほどお土産にもらい、「協力隊頑張ってな!」とおっしゃってくださいました。とても豪快な方で、梅雨前にドクダミを見ると記憶に蘇る嬉しい思い出です。
兵庫県宍粟市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
宍粟市は山に囲まれています。これは田舎を表わす際によく使われる表現ですが、ただ囲まれているのではなく、山間の谷に沿って集落があるので、私が「〇〇町だと、××の近くですか?」と聞くと、「いや、同じ〇〇町でも谷が違う」とよく言われます。
谷が違う場合、いったん南まで下ってから北上することになります。時間はかかるし不便なはずですが、雨上がりの山霞や田んぼの水面に鏡面反射する景色、一級水系である揖保川や千種川沿いを眺めながら走る移動時間は、実はあまり苦になりません。
新緑の頃や紅葉の時期にドライブに来て、見て頂きたいです。
他にも、『播磨国風土記』には宍粟市(しそうし)が「宍禾の郡(しさわのこおり)」と記載されています。当時の宍粟郡で大きな鹿に出会った事から「鹿会う(ししあう)」をもって「しさわ」になったそうです。
宍=鹿、粟=穀物を現し、宍粟市の自然の恵みと豊かさを示しています。
私は興味がありジビエ加工にも少し関わらせてもらっていますが、猟期になると毎日沢山のシカが運ばれ、その命を頂くのですが、こうして食べることと生きることが循環していくのだと、目の前で感じられるのも、宍粟市の魅力だと思います。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
私が感じた地域おこし協力隊のメリットは、移住先で認知されるスピードが早いことと、地元の方から安心して受け入れてもらえることです。
あと、私は地域おこし協力隊はお見合いだと思っていて、気になったらアプローチしてみる(現地訪問、OBに話を聞く)→良かったら付き合ってみる(地域おこし協力隊で活動する)→この人だと思ったら伴侶になる(定住する)、という感じです。
「違うな」と思った時はゴメンナサイなのですが(笑)。協力隊として移住することは、個人で移住するよりもずっと早くお互いを知ることが出来ると思います。
ですので、気になった団体があればまずは連絡してみて下さい。悩んでいるうちに他の人が告白してしまうかもしれません(笑)。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2