<h2><span style="color:#000000;">現在の地域へ移住を決めたきっかけは？</span></h2><p>リモートワークができる仕事柄、移住前は賃貸住宅を借りて関東〜東北を転々としていました。しかし、第二子を授かった頃から、子育てしやすい地域に家を購入して定住したいと考えるようになりました。</p><p>移住先の検討は2024年春頃に始め、夏には現在の地域（岩手郡雫石町）に決定しました。移住の決め手となったのは、次の3点です。</p><ol><li>私と妻の両方の実家へ車で2時間程度で行ける距離であること</li><li>新幹線が停車する駅があること</li><li>趣味である登山の活動の幅が広がること（山へのアクセスが多彩）＋山仲間がいること</li></ol><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/09/29/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/019994a1-6bc5-788c-82e5-91ef2fb8f78c.webp"></figure><h2><span style="color:#000000;">「子育て」を考える上で、移住先に特に求めていた条件や希望について教えてください。</span></h2><p>移住先を選ぶ際、まず自然が豊かな地域であることを重視しました。山が近く、私と妻の趣味である登山を子どもたちと一緒に楽しめる環境が理想でした。また、都会のように人や建物が密集した環境があまり得意ではないため、都会すぎず落ち着いて暮らせる場所を希望しました。</p><p>さらに、子育て支援やサポートが充実している地域であることも大切な条件の一つでした。こうした条件を満たす場所を探し、最終的に雫石町を選びました。</p><p>私個人の話になりますが、狩猟が盛んな地域であることも外せませんでした。私は狩猟免許を所持しており、移住後も引き続き猟友会に加入したいと考えていました。狩猟を通して「命をいただく」ことを、食育として我が子に伝えたかったのです。雫石町は、最近では珍しく若い猟師が増えている地域であったことも、移住先選定の大きなポイントとなりました。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/09/29/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/019994a4-7404-788c-82e5-a27788d129ba.webp"></figure><h2><span style="color:#000000;"><strong>地方で子育てをして、「ここは良かった！」と感じる点は何ですか？&nbsp;</strong></span></h2><p>雫石町で子育てをして良かったと感じるのは、まず広々とした公園が多く、夏には水遊びも楽しめるなど、子どもがのびのびと外遊びできる環境が整っていることです。また、新鮮な野菜を手頃な価格で手に入れられるのも魅力で、子どもが増えて食費がかさむ中、とても助かっています。</p><p>さらに、「プレミアム商品券」や在宅で3歳未満の子どもを育てる家庭への「在宅子育て応援給付金」など、自治体ならではの支援制度が充実している点も嬉しいです。また、若者の住宅取得に対する奨励金制度も活用でき、大変ありがたく感じています。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>教育環境や医療体制について、移住前と比べて感じた良かった点／不安だった点の両面を教えてください。</strong></span></h2><p>教育や医療の面では、まず小児科が自宅の近くにあるため、子どもが急に体調を崩したときでもすぐに受診できるのが安心できる点です。また、小学校や中学校も通いやすい距離にあり、子どもたちが無理なく通学できる環境が整っています。</p><p>さらに、図書館は規模こそ大きくありませんが蔵書が充実しており、親子で毎週のように通える身近な学びの場となっています。一方で、小児科の先生が高齢であるため、将来的に閉院してしまった場合には遠方まで行かなければならないのではという不安もあります。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>実際に暮らしてみて、予想外だったことや、課題だと感じていることについて教えてください。</strong></span></h2><p>暮らしてみて意外だったのは、町の中に歩道が少なく、車との距離が近い道路が多いことです。今はまだ小さい子どもも、将来通学するようになったときの安全面が少し心配です。</p><p>また、冬の寒さは地元・秋田よりも厳しく、想像以上に冷え込んだため、町の住宅取得奨励金を活用して窓を二重にリフォームしました。一方で、雪は軽いパウダースノーなので、雪かきは思ったほど大変ではありません。</p><p>さらに、子どもは減少傾向にありますが、保育園に入れないという声を耳にすることもあり、この点も課題の一つだと感じています。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>移住後、ご家族の暮らし方や時間の使い方はどのように変化しましたか？</strong></span></h2><p>私は職場が東京ですが、フルリモート勤務ができるため通勤に時間を取られず、疲れも減り、生活の質が向上しました。また、二人目の子どもが生まれ、在宅で子育てをしているため、子どもたちと一緒に過ごす時間が増え、とても充実しています。</p><p>四季折々の環境を楽しめるのも雫石町の魅力です。春は雫石川園地に咲き誇る150本の桜並木に目を奪われ、夏や秋は川遊びや登山を楽しみ、冬はスキー場で遊んだ後に温泉につかることもできます。雫石町に移住してからは自然の中で過ごす機会が増え、家族の時間を大切にできる暮らしになったと感じています。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/09/29/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/019994a3-7bfd-788c-82e5-9b87e52d9994.webp"></figure><h2><span style="color:#000000;"><strong>移住前と比べて、人付き合いや地域との関わり方に変化はありましたか？ 地方特有の「人付き合いの濃さ」について、率直なご感想をお聞かせください。</strong></span></h2><p>地方移住を考えるうえで、人付き合いや近所付き合いは日常生活において非常に大切な要素だと感じています。私たちは地方から地方への移住だったため、地域の人との関わり方に戸惑いはほとんどありませんでした。しかし、都会から移住する場合は、人間関係が希薄な環境に慣れている分、町内会（自治会）への参加や清掃活動などの行事に最初は戸惑いを感じるかもしれません。それでも、できるだけ参加することで地域とのつながりが自然と深まっていくはずです。</p><p>私たちは幸いにも雫石町で近所の方々に恵まれ、子どものお下がりや野菜のおすそわけをいただいたり、たけのこや山菜採りにお誘いいただいたりするなど、とても温かい人間関係の中で生活できていることを実感しています。最近では畑も貸していただけることになりました。</p><p>雫石町では移住者交流会というイベントを年に何度か開催しており、私たちも積極的に参加して移住者同士のつながりを作るようにしています。<br>&nbsp;</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>利用されている子育て支援制度や、実際に使ってみて「ありがたかった」と感じる市町村や地域の取り組みがあれば教えてください。</strong></span></h2><p>実際に利用して特にありがたかったのは、若者向け住宅取得支援奨励金と在宅子育て応援給付金です。住宅取得支援奨励金は、条件を満たすと最大100万円が支給され、我が家ではこの制度を活用して窓を二重にリフォームでき、冬の寒さ対策に非常に役立ちました。</p><p>また、在宅子育て応援給付金は、在宅で3歳未満の子どもを育てる家庭に月額5,000円分の商品券が支給される（4か月ごと）制度で、日々の買い物に使えて家計面で大きな助けになりました。</p><p>どちらの制度も、移住先での暮らしをより快適で安心なものにしてくれると感じています。雫石町は、特に若い方や子育て世帯ほど支援のメリットが大きいため、とてもおすすめです。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>休日は、ご家族でどのように過ごすことが多いですか？</strong></span></h2><p>我が家は春から秋にかけて外遊びを楽しむことが多く、近隣の公園をよく利用しています。それぞれの公園には遊具や乗り物、水辺など特色があり、その日の気分で行き先を選べるため飽きることがありません。我が家のおすすめは「御所湖広域公園ファミリーランド」です。遊具や水辺が揃っており、何度も遊びに行っています。</p><p>長男が少し長距離を歩けるようになったことで、家族で低山登山に出かける機会も増えました。同年代の子どもがいる家庭と仲良くなり、一緒に登山やバーベキューを楽しむこともあります。</p><p>冬は近くにスキー場が3か所あり、混雑状況に応じて行き先を変えながら、家族でソリやスキーを楽しんでいます。特によく行くスキー場は「岩手高原スノーパーク」です。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/09/29/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/019994a5-8963-788c-82e5-b5ed00dc6487.webp"></figure><h2><span style="color:#000000;"><strong>これから移住を検討している子育て世代の方々に、メッセージをお願いします。</strong></span></h2><p>私たちが移住後に準備不足を感じたのは、通学路の安全確認や保育園の待機児童の状況把握です。田舎なら保育園にすぐ入れると思っていたため、入所が難しいと知ったときは驚きました。また、歩道が少ない通学路の実態も、住んで初めて気づいた点です。</p><p>移住を検討する際は、街を実際に歩いて安全面や生活環境を確かめることをおすすめします。お試し移住制度があればぜひ活用し、四季の違いも体験すると良いでしょう。特に雪国では、除雪状況や寒さも重要な判断材料になります。</p>

ワープシティ公式

子育て移住には、家族それぞれの想いや選択があります。

「自然に囲まれた場所でのびのび育てたい」「地域とのつながりを大切にしたい」「子どもの個性を尊重できる環境で暮らしたい」——きっかけも、目指す暮らしも十人十色です。

この連載では、子育てをきっかけに地方へ移住した方々のリアルな声を通して、移住先で見つけた“新しい日常”と“家族のかたち”をお届けします。

雫石町

岩手県

出身地：秋田県由利本荘市、居住地：岩手県岩手郡雫石町、移住時期：2024年10月、家族構成：4人家族、

滝野 駿（かける）

#9 雫石町で定住を決めた3つの理由。家族・アクセス・趣味の充実

<h2><span style="color:#000000;">現在の地域へ移住を決めたきっかけは？</span></h2><p>移住を考え始めたのは2022年4月頃のことです。当時、私は北海道の牧場で働いていましたが、地元・岩手に戻ることを考えるようになり、新たな職場への転職も視野に入れていました。その中で、実家のある盛岡の近くで暮らしたいという思いが強まり、盛岡広域の移住希望者向けオンライン相談会に参加しました。</p><p>そこで、雫石町の地域おこし協力隊として活動されていた外岡さんと沼崎さんに出会い、ご縁をいただいたことが、移住を本格的に考える大きなきっかけとなりました。</p><p>また、当時はまだ結婚前でしたが、ありがたいことに妻からも賛同を得ることができ、移住を決断するに至りました。</p><h2><span style="color:#000000;">「子育て」を考える上で、移住先に特に求めていた条件や希望について教えてください。</span></h2><p>特に妻にとっては、北海道からの移住で初めての土地ということもあり、出産も子育てもすべてが初めての経験でした。そのため、漠然とした不安を多く抱えていたと思います。</p><p>そうした中で、「移住・出産・子育て」に関する相談窓口の存在や、経済的な支援制度、そして地域コミュニティにスムーズに入っていける環境が整っていることは、大きな安心材料となりました。</p><p>また、小児科をはじめとする医療機関の有無や、保育園、小・中学校、高校といった教育機関が近くにあること、さらには中心部へのアクセスの良さも、子育てをしながら長く暮らしていくうえで非常に重要だと感じています。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/21/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198cbae-e26c-7444-aaa9-b716b6b9e5d0.webp"></figure><h2><span style="color:#000000;"><strong>地方で子育てをして、「ここは良かった！」と感じる点は何ですか？&nbsp;</strong></span></h2><p>出産や育児に関する支援はもちろんのこと、移住に伴う引っ越しや住宅の紹介、さらにはその後のマイホーム取得に至るまで、子育てをしながら暮らしていくうえでの生活基盤を整えるところから、切れ目なく手厚い支援制度や相談窓口があったことは、本当に心強く、助かりました。</p><p>雫石町の自然の豊かさも大きな魅力です。すぐそばには御所湖があり、その周辺には自然公園も点在しています。岩手山では登山が楽しめ、小岩井農場では動物と触れ合うこともできます。</p><p>また、地域の方々が小学生の登下校時に横断歩道で見守り活動をされている姿を目にし、地域全体で子どもたちを温かく見守り、大切にしてくださっていることを実感しました。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>教育環境や医療体制について、移住前と比べて感じた良かった点／不安だった点の両面を教えてください。</strong></span></h2><p>雫石町の教育環境については、町内に小・中学校、高等学校がそろっており、また運動公園もあることが、移住を決めるうえでの大きなポイントになりました。</p><p>医療体制の面では、特に小児科に関して、雫石町内に上原小児科医院の上原先生がいらっしゃることが大きな安心につながっています。定期健診はもちろん、子どもが体調を崩した際にも、子ども一人ひとりに寄り添いながら、時に厳しくも誠実に対応してくださり、大変お世話になっています。雫石町で子育てをする上で、上原先生の存在は欠かせないものだと感じています。</p><p>一方で、そうした子どもたちの「元気」を、現状では上原先生お一人で支えてくださっているという点については、長期的な視点で見ると、やや不安を感じる部分もあります。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/21/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198cbb0-2754-7444-aaa9-bbcd9d540446.webp"></figure><h2><span style="color:#000000;"><strong>実際に暮らしてみて、予想外だったことや、課題だと感じていることについて教えてください。</strong></span></h2><p>盛岡近郊とはいえ、やはり地方であるため、車がなければ不便に感じる場面は多々あります。スーパーやドラッグストアなど、日常生活に必要なものは近場で一通りそろいますが、例えばベビー用品の専門店や、病院でいうと耳鼻科などは盛岡市内まで足を運ぶ必要があり、いざというときに距離があることに不便さを感じることもあります。</p><p>また、以前は北海道の中でも比較的温暖な地域に住んでいたこともあり、雫石町の真冬の降雪量は想像以上で、雪かきにはかなり苦労しました。夏の暑さについては、盛岡に比べれば涼しいものの、それでも真夏はエアコンがないと厳しく、一年を通して寒暖差が大きい地域だと実感しています。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>移住後、ご家族の暮らし方や時間の使い方はどのように変化しましたか？</strong></span></h2><p>私たち家族は、移住と同時期に結婚し、その後すぐに妊娠・出産を経験したため、移住してからのこの2年間は本当に慌ただしい日々でした。移住直後は、転職して間もなかったこともあり、仕事や生活を軌道に乗せることが中心となり、出産後は一転して子ども中心の毎日となりました。</p><p>当初は、雫石町の定住促進住宅に住んでいましたが、出産から半年ほど経った頃に、同じ町内で中古住宅を購入し、リフォームを経て現在はその家で暮らしています。一軒家になり、以前より部屋も広くなったことで、親も子どももよりのびのびと生活できるようになりました。家の横には小さな畑をつくり、家庭菜園にも挑戦しています。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>移住前と比べて、人付き合いや地域との関わり方に変化はありましたか？ 地方特有の「人付き合いの濃さ」について、率直なご感想をお聞かせください。</strong></span></h2><p>一般的に「地方」と聞いてイメージされがちな、息苦しいほど人との距離が近いというようなことはありませんでした。かといって、よそ者としての疎外感を覚えることもなく、顔を合わせれば自然と笑顔で挨拶を交わすような、ちょうどよい距離感の中で、気持ちよく日々を過ごさせていただいています。</p><p>一方で、勤務先の方々とのつながりはとても深く、育児休暇中や私生活においてもさまざまな面で支えていただくことが多く、大変ありがたく感じています。</p><p>また、自主的に雫石町の消防団にも所属しています。入団前は少し不安もありましたが、実際には仕事や私生活とのバランスがとりやすいように配慮されており、活動頻度もパトロールや訓練が任意で月1〜2回程度と、無理なく続けられています。仕事や育児の合間にも継続して参加できており、地域との関わりを深める良い機会となっています。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>利用されている子育て支援制度や、実際に使ってみて「ありがたかった」と感じる市町村や地域の取り組みがあれば教えてください。</strong></span></h2><p>妻の妊娠中には、パパママ学級を通じて同じような境遇のご家族と交流することができ、はじめての妊娠・出産で不安の多い時期にも、気軽に相談できる場があることをありがたく感じました。</p><p>出産後には、産後ケア事業をはじめとするさまざまなサポート制度があり、一人で育児の不安や孤独を抱え込まずに済むという安心感がありました。</p><p>経済的な面でも、妊娠期には「出産・子育て応援給付金」、出産時には「出産祝い金」をいただき、また、子どもが1歳になるまでは自宅で子育てをしていたため、「在宅子育て支援金」も活用させていただき、大変助かりました。</p><p>妻の仕事復帰にあわせて保育園の利用を始めましたが、3歳未満の保育料も無償であるため、日々の生活の中でも非常に心強い支援だと感じています。</p><h2><span style="color:#000000;"><strong>休日は、ご家族でどのように過ごすことが多いですか？</strong></span></h2><p>子どもたちはまだ1歳で、出かける場所も限られていますが、アルペン記念公園やファミリーランド、御所湖周辺の公園など、自然が豊かで広々とした場所によく足を運びます。のびのびと歩かせたり、おやつを食べさせたりして、ゆったりと過ごすことが多いです。</p><p>小岩井農場へもよく出かけており、春は桜を見ながらお花見、夏は羊などの動物たちとの触れ合い、冬にはイルミネーションを楽しみました。また、子どもたちを乗せて、のんびりとドライブに出かけるのも我が家の定番です。</p><p>最近では、子どもたちも少しずつ一人で歩けるようになってきたので、今後は地域のお祭りやイベントなどにも参加して、いろいろな場所へ連れて行ってあげたいと思っています。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/27/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198e8e6-c3fa-7998-bf03-1b57b0f35424.webp"></figure><figure class="image"><img></figure><h2><span style="color:#000000;"><strong>これから移住を検討している子育て世代の方々に、メッセージをお願いします。</strong></span></h2><p>やはり「移住する」というのは、大きな決断です。暮らす環境が変わることは、子育てだけでなく、仕事や私生活、人間関係など、人生のさまざまな面に影響を与えるものだと思います。</p><p>だからこそ、家族全員で「移住するうえで何を大切にしたいか」を話し合い、お互いの価値観を確かめ合うこと。そして、役場の窓口で相談したり、インターネットで情報収集をしたり、実際に現地を訪れて、暮らしの現実的なイメージを持つことがとても重要だと感じます。</p><p>とはいえ、正直に言うと、私自身も移住前にすべてをしっかり考え抜いていたかというと、そうではありません。たとえば、移住前は「古民家を購入して自分たちで修繕しながら暮らしたい」という憧れがありましたが、実際に移住して新しい仕事が始まると、自分にはそこまでの時間や体力、そして熱量がないことに気づかされました。</p><p>何を重視するかは、家族のライフステージや環境によっても変わってくると思います。だからこそ、その都度、家族でしっかりと話し合う時間を持つことが、なにより大切なのではないでしょうか。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/21/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198cbac-5448-7444-aaa9-a67909d77d65.webp"></figure>

出身地：岩手県盛岡市、居住地：岩手県雫石町、移住時期：2023年6月、家族構成：4人家族

古里 琢磨

#4 初めての土地・初めての出産でも安心！雫石町の充実した子育てサポート

<h2>地域おこし協力隊に応募した理由と、応募した地域を選んだ決め手について教えてください。</h2><p>趣味であるスノーボードを楽しめる環境の中で、自分のスキルである動画制作を活かした仕事がしたいと考え、それに合った市町村を探していたところ、雫石町に出会いました。<br><br>これまでのキャリアとはまったく異なる分野に挑戦し、人生をリスタートしたいという思いも強くありました。<br>そんな中、雫石町で地域おこし協力隊の募集があり、業務内容が情報発信であったことから、自分にぴったりの仕事だと感じ、応募を決めました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/01/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/E3QPu0EZw7NgW743Yq8WF.webp"></figure><figure class="image"><img></figure><h2>協力隊への応募を考える際に参考にした情報源は何でしたか？</h2><p><span style="color:#000000;">インターネット情報です。</span></p><h2>ミッションの具体的な内容を教えてください。</h2><p>ミッションの主な内容は、雫石町の中心市街地、特に商店街を中心とした情報発信業務と、観光イベントへの参加・運営サポートです。<br>また、商店街の活性化を目的とした商店街グループの運営・維持にも携わっています。</p><h2>現役時代に印象に残っている出来事や成功体験について教えて下さい。</h2><p>現役時代に特に印象に残っているのは、知人がまったくいない土地でのスタートだったことです。<br>そのため、自分から積極的に地域のイベントや行事に参加し、多くの人と関わることで人脈を広げていきました。</p><p>地域住民や事業者の方々との日常的な雑談の中からヒントを得て、以下のような自身の事業立ち上げにもつながりました。</p><ul><li>スマホ教室・パソコン教室の開催</li><li>動画制作業の開始</li><li>農業用ドローンのオペレーター業務</li><li>水道メーターの交換作業</li></ul><p>地域に根ざした活動を通じて、多様な分野に挑戦できたことが、大きな成功体験となっています。</p><h2>活動中に直面した課題や、それをどのように乗り越えたかを教えてください。</h2><p>活動中に直面した課題のひとつは、町民性の違いでした。<br>移住者に対してやや人見知りな傾向があり、性格や価値観の違いを強く感じる場面が多くありました。</p><p>具体的には、</p><ul><li>自分の気持ちを100％相手に話さない風潮</li><li>デジタル機器に対する抵抗意識</li><li>町に対する強い郷土愛</li></ul><p>といった点が、活動を進めるうえでのハードルとなりました。</p><p>このような状況に対しては、会話の主導権を相手に委ねる姿勢を意識し、自分：相手＝1：9の比率で、とにかく相手に話してもらうことを心がけました。話すことに慣れていない方に対しても、こちらから積極的に質問を投げかけることで、徐々に心を開いてもらえるようになりました。</p><p>また、地域には「仕事よりも伝統文化や行事を優先する」という価値観が根強くあり、仕事で行事に参加できない際に非難される場面もありました。そうした場面でも、自分の仕事に対する考え方や立場を少しずつ丁寧に伝えていくことで、時間をかけて理解を得るよう努めました。</p><h2>地域の人々や自治体との関わりの中で、学んだことや感じたことはありますか？</h2><p>地域の人々や自治体との関わりの中で感じたのは、「関係づくりには近道をしないことが大切」だということです。<br>時間がかかったとしても、自分自身のキャラクターや価値観をしっかりと理解してもらい、また相手のことも丁寧に知ろうとする姿勢が、信頼関係の構築には欠かせません。こうした土台ができてから行動を起こすことで、後々のトラブルも少なくなります。</p><p>また、自分が間違ったとき、あるいは相手が間違ったときにも、誠意と敬意を持って注意し合える関係性を、初めから意識して築いていくことが大切です。そうした信頼に基づいた関係が、結果的にはもっとも確実な“近道”になると実感しました。</p><h2>卒隊後のお仕事について教えてください。</h2><p>協力隊として活動する中で、個人事業主として「町おこし支援かくや」を開業しました。<br>この屋号のもと、地域の困りごとの解決をはじめ、ドローンオペレーターや動画撮影など、情報発信に関わる業務を生業としています。</p><p>また、少し珍しい事業としては、地域の企業からの委託により水道メーターの交換業務も担っています。</p><p>さらに、雫石町の基幹産業である農業やスキー場においても、季節ごとに労働力として貢献しており、地域に根ざした多角的な働き方を実践しています。</p><h2>卒隊後の進路に、最も影響を与えた出来事や考えは何ですか？</h2><p>卒隊後の進路に最も影響を与えたのは、コロナ禍による社会の変化でした。<br>会議や集会が減り、オンライン化が進んだことで、会議のライブ配信や記録動画のアーカイブといった新たなニーズが生まれ、高単価で受注できる業務のきっかけとなりました。</p><p>また、地域では農業の高齢化が進んでおり、農業用ドローンオペレーターの需要が高まっていたことも大きな要因です。もともと撮影用ドローンの操縦者として知られるようになっていたことから、町内の農家から声がかかるようになりました。</p><p>さらに、結婚と子どもの誕生を機に、働き方に対する考え方も変化しました。これまでのような時給単価で働くスタイルから、1つの事業に対していくら、という形で収入を得る働き方へとシフト。家族との時間を大切にするためにも、より効率的で柔軟な働き方を選ぶようになりました。</p><h2>協力隊時代の自分と今の自分を比べて、どのような成長を感じますか？</h2><p>協力隊時代と今の自分を比べると、お金に対する意識や地域との関わり方に大きな変化があったと感じます。<br>協力隊時代は毎月の給与があったため、個人事業に対して強い収益意識を持たず、ほとんどボランティアのような形で活動していました。</p><p>しかし、協力隊を終了し、生活の基盤を自分で支えるようになってからは、しっかりと収支を考えるようになり、適正な価格設定を意識するようになりました。実際に価格を見直しても仕事が減ることはなく、安心して続けられています。</p><p>また、以前は重要な情報を自分の中だけで抱え、自身の利益を優先していた部分がありましたが、コロナ禍をきっかけに考えが変化。現在では、地域の商店主などにも情報を積極的に共有し、一緒に課題解決や新たな事業につなげる姿勢を持つようになりました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/01/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/_XxIxiuxsGDT2DNNRidJE.webp"></figure><h2>今後の展望や目標があれば教えてください。</h2><p>今後の事業展開については、AIの進化によって動画制作が誰でも簡単にできる分野になりつつあることに懸念を抱いています。その一方で、ドローンオペレーターや水道メーター交換といった専門的な業務は、依然として人手不足であり、新規参入も難しい分野です。こうした背景を踏まえ、今後は事業のバランスを見直し、より専門性の高い分野に比重を移していくことを検討しています。</p><p>特に農業分野では高齢化が深刻化しており、大型特殊免許の取得などのスキルを備えることで、次世代として本格的に参入する意向です。これまでの経験と地域での信頼関係を活かしながら、将来的には農業分野でも持続可能な事業モデルを構築していきたいと考えています。</p><h2>今後地域おこし協力隊を目指す人にアドバイスをお願いします。</h2><p>地域おこし協力隊の活動は、単に「与えられたミッションをこなすこと」が目的ではありません。<br>本来の意義は、ミッションを通して地域の課題や資源を深く知り、その先に自分自身の事業を確立していくことにあると考えています。</p><p>地域で自らビジネスを立ち上げ、収益を上げることで、その地域での消費や納税が生まれ、結果的に地域サービスの向上や活性化に直結していきます。協力隊の立場を「地域への投資期間」と捉え、自立・定住の土台を築いていく意識が大切です。</p><p>また、事業を考える際には、商圏をその市町村内に限定せず、周辺の都市部まで視野に入れることがポイントです。広い視野で需要を見極めることで、地域内にとどまらず持続可能なビジネスモデルを構築できる可能性が高まります。</p>

地域おこし協力隊の経験は、その後のキャリアや人生にどのような影響を与えるのでしょうか？

ワープシティでは、OB・OGへのインタビューを通じて、現役時代の業務内容や得たスキル、卒隊後のキャリア、地域との関わり方についてご紹介します。

地方での起業や就職、地域コミュニティとの関係など、リアルな体験談をお届けし、これから協力隊を目指す方や、受け入れを検討する自治体の参考となる情報を発信します。

協力隊の「その後」を知ることで、あなたの未来のヒントが見つかるかもしれません。ぜひ、ご覧ください！

出身地：青森県中泊町、地域おこし協力隊として活動していた自治体名：岩手県雫石町
、任務期間：2017年11月～2020年10月まで、協力隊になる前の仕事：スーパーマーケット社員、現在の仕事：動画制作、農業ドローン

雫石町

雫石町の移住体験談一覧：3件

#9 雫石町で定住を決めた3つの理由。家族・アクセス・趣味の充実

#4 初めての土地・初めての出産でも安心！雫石町の充実した子育てサポート

#6 ドローン、動画、そして水道メーター！？多才な協力隊OBが描く“地域密着型”の未来