<h2>地域おこし協力隊に応募した理由と、応募した地域を選んだ決め手について教えてください。</h2><p>生花店に勤めていた際に、花の栽培に興味を持ちました。<br>秋田県ではダリアなどの栽培が盛んだと知り、求人を検索していたところ、偶然、小坂町のぶどう栽培の募集を見つけました。小坂町は、母親の故郷でもあり、何か縁を感じたのを覚えています。</p><p>結婚後、妻と子どもを連れて小坂町を訪れたことはなかったのですが、家族で初めて旅行で訪れた際に飲んだワインがとても美味しく、これが協力隊に応募する大きな決め手となりました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/28/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/wMXd8PLpeOSpWatiqhdsy.webp"><figcaption>十和田湖</figcaption></figure><h2>協力隊への応募を考える際に参考にした情報源は何でしたか？</h2><p>インターネット情報です。</p><h2>ミッションの具体的な内容を教えてください。</h2><p>主なミッションは、ぶどうの栽培作業、ワイナリーでの醸造作業、出荷作業を担当することでした。<br>また、ワインを通じた各種イベントへの参加にも取り組んでいました。</p><p>年間のおおまかなスケジュールとしては、</p><ul><li><strong>4月から9月までは、ぶどうの栽培作業とワインの出荷作業</strong></li><li><strong>9月から3月までは、ワインの醸造作業</strong></li></ul><p>と、季節に応じた業務に携わっていました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/28/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/V4yJ8SbFkp4Biy0RuWpsd.webp"><figcaption>作業の様子</figcaption></figure><h2>現役時代に印象に残っている出来事や成功体験について教えて下さい。</h2><p>ワイナリーでは、醸造担当が基本的に一人しかいない環境でした。<br>2年目の醸造期間中、醸造担当の方が忌引きで一週間不在となった際に、私が一人で醸造作業を担当したことが、特に印象に残っています。</p><p>大きな責任を任されるプレッシャーもありましたが、無事に作業をやり遂げたことで自信につながり、大きな成長を実感できた経験となりました。</p><h2>活動中に直面した課題や、それをどのように乗り越えたかを教えてください。</h2><p>活動地域は雪が非常に多い土地だったため、ぶどう棚が雪の重みで潰れないようにすることが大きな課題でした。<br>特に雪が多く降った日には、休日であっても棚の雪下ろし作業に出向き、対策に取り組んでいました。</p><p>冬場ならではの厳しい環境でしたが、ぶどうを守るために地道な積み重ねを大切にしながら乗り越えてきました。</p><h2>卒隊後のお仕事について教えてください。</h2><p>卒隊後は、そのままワイナリーに就職しました。さらに、小規模ながら自分自身のぶどう園を持つこともできました。<br>現在は、ワイナリーでの仕事を終えた後に畑に立ち寄り、ぶどうの管理や作業を続ける日々を送っています。</p><h2>卒隊後の進路に、最も影響を与えた出来事や考えは何ですか？</h2><p>私の進路に最も影響を与えたのは、小坂町で出会ったぶどうと、ワイン造りへの情熱、そしてぶどうの持つポテンシャルの高さでした。</p><p>日本の気候風土に適したヤマブドウ系品種から造られるワインは、お刺身や魚卵、醤油や出汁の効いた料理など、日本の食卓に非常によく合う味わいがあります。<br>海外のワインのような強いインパクトはありませんが、飲めば飲むほど奥深さを感じられる、味わい深いワインです。</p><p>私自身も、そんな小坂町のワインにすっかり魅了され、この地に残ることを決意しました。</p><h2>協力隊時代の自分と今の自分を比べて、どのような成長を感じますか？</h2><p>まだ卒隊して間もないですが、協力隊時代は、作業を覚えることと、ワインの出荷作業に追われる毎日でした。<br>それに対して今は、ワインをどのように売り出していくかを考えるようになり、視野が広がったと感じています。</p><p>作業をこなすだけでなく、商品をどう届けるかまで意識できるようになったことが、自分にとって大きな成長だと思います。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/28/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/QnYCYhCajM9bTHdJCzZCK.webp"><figcaption>成田醸造長と7周年記念ワインの梱包作業</figcaption></figure><h2>今後の展望や目標があれば教えてください。</h2><p>現在、ワイナリーでは原料となるぶどうの不足が課題となっています。そのため、今後はワイナリーのぶどう農園をさらに広げ、自ら管理していきたいと考えています。</p><p>また、後継者のいない農家さんの農園をワイナリーで引き継げる体制を整え、この地域の農地とぶどうづくりの文化を未来へとつなげていきたいという思いも抱いています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/28/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/cBC4xJgjMibUz-m2_p3c9.webp"><figcaption>町最大のイベント「アカシアまつり」でワイン販売</figcaption></figure><h2>今後地域おこし協力隊を目指す人にアドバイスをお願いします。</h2><p>地域おこし協力隊として活動するうえでは、地域の方たちと積極的に交流することが大切だと思います。<br>私自身も、地道に交流を重ねるうちに少しずつ地域に馴染み、居心地がよくなっていきました。</p><p>初めは緊張することもあるかもしれませんが、地域の人とのつながりを大切にすることで、きっとうまくいくと思います。</p>

ワープシティ公式

地域おこし協力隊の経験は、その後のキャリアや人生にどのような影響を与えるのでしょうか？

ワープシティでは、OB・OGへのインタビューを通じて、現役時代の業務内容や得たスキル、卒隊後のキャリア、地域との関わり方についてご紹介します。

地方での起業や就職、地域コミュニティとの関係など、リアルな体験談をお届けし、これから協力隊を目指す方や、受け入れを検討する自治体の参考となる情報を発信します。

協力隊の「その後」を知ることで、あなたの未来のヒントが見つかるかもしれません。ぜひ、ご覧ください！

小坂町

秋田県

出身地：神奈川県平塚市、協力隊として活動していた自治体名：秋田県小坂町、任務期間：2022年4月～2025年3月、協力隊になる前の仕事：生花店、現在の仕事：ぶどう栽培、ワイン醸造

熊澤 圭祐

#15 小坂町のぶどうに魅せられて。ワインと共に歩む新たな人生

<h2>地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。</h2><p>当時住んでいた兵庫県で転職活動をしていた際、秋田県在住の家族から「新聞に小坂町のまちづくりサポーターの募集が載っていたよ。お前に合いそうな仕事だった」と教えてもらったのがきっかけでした。</p><p>私は約10年間、医療相談員や心理師として働いていたため、当初は医療関係の仕事を探していました。しかし、最も長く携わっていたのは企画や編集の仕事でしたし、小坂町は以前から好きな町でもありました。さらに、鹿角地域振興局で観光や教育旅行誘致の仕事をしていた経験もあったことから、「挑戦してみよう」と思い切って応募を決めました。</p><h2>小坂町を選んだ理由について教えて下さい。</h2><p>私は小坂町の隣、大館市の出身で、レトロで美しい街並みが広がる小坂町は、子どもの頃からよく知る大好きな町でした。</p><p>十和田湖やその周辺の山々といった自然が好きで何度も訪れていましたし、康楽館で歌舞伎を観たり、アカシアはちみつを買ったりと、秋田県外に住んでいた時期も含め、小坂町は毎年必ず訪れる場所でした。</p><p>さらに、父方・母方の祖父や曽祖父が旧小坂鉄道に関わっていたこともあり、どこか特別なご縁を感じていました。そんな大好きな町の人口が減り、元気を失いつつあると知り、「何か自分にできることがあれば」と強く思うようになりました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/02/17/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/aRzFeLStF0yHtfCUE4FSM.webp"><figcaption>　　　　　　　　　　　　康楽館</figcaption></figure><h2>地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。</h2><p>私のミッションは、移住・定住の促進をサポートし、デジタルスキルを活かしてまちづくりを支えることです。</p><p>具体的には、空き家・空き地バンクの管理や移住・交流イベントへの参加、町の公式サイト・SNS・LINEの運営を担当しています。さらに、地域おこし協力隊の活動をSNSやかわら版で発信したり、移住体験住宅の管理も行っています。</p><p>今後は、「移住定住ガイドブック」の改訂版制作にも取り組む予定です。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/02/17/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/-AYMBqI12ePXCMcKwsGAp.webp"><figcaption>　　　　　　　　　　　あきた地域おこし協力隊出張相談会</figcaption></figure><h2>地域おこし協力隊のやりがいはなんですか？</h2><p>現在、町役場の会計年度任用職員として働いていますが、一般の職員とは異なる「特殊なよそ者」という立場だと感じています。だからこそ、「ここでの当たり前」にとらわれず、よそ者ならではの視点を活かし、自由で柔軟な情報発信をしていきたいと思っています。</p><p>常に「地域の魅力とは何か」を考え、行動すれば、小さなことでも必ずプラスになるはず。そう信じて日々を過ごせることに幸せを感じています。</p><p>また、「わざわざ来てくれた」と、地域おこし協力隊に対して温かい言葉をかけてくださり、協力や応援をしてくださる方々がいることも、とてもありがたく、心強いです。</p><h2>地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。</h2><p>想定外だったことは特にありません。良いことも悪いことも、おおむね予想の範囲内でした。</p><h2>卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。</h2><p>「小坂町にあったらいいもの」は何か？ そして、自分が関われることは何か？ そう考えながら、小坂町ならではのお土産品の開発や、カフェの可能性などを模索しています。</p><h2>小坂町の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。</h2><p>現在は別の部屋に住んでいますが、移住当初は町の移住体験住宅で暮らしていました。そこは「中小坂」という、江戸時代から続く歴史ある集落。青森県へとつながる街道が通り、文化財の古民家や史跡が点在する風情あるエリアです。</p><p>その地域の自治会の方から神社のお祭りにお誘いいただき、他の協力隊員とともに直会（なおらい）に参加しました。お酒を酌み交わしながら、町の魅力や課題についてざっくばらんに語り合う時間は、とても貴重なものでした。特に、「何かあればいつでも力になる」と言ってくださる方がいたことが、心強く、うれしく感じられました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/02/17/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/HnuKX8V9MwPNCzmCWP5sv.webp"><figcaption>　　　　　　　　　　　　中小坂地区の直会</figcaption></figure><h2>小坂町の魅力について教えて下さい。（自然やグルメ、オススメスポットなど）</h2><p>現在の小坂町は人口が少なく、静かな町ですが、かつて鉱山で大いに栄えた歴史を持ちます。その名残として、明治時代の芝居小屋「康楽館」や「小坂鉱山事務所」など、レトロでモダンな建築物が町の各所に残り、独特の雰囲気を醸し出しています。</p><p>かつては鉱山の煙害によって自然環境が悪化した時期もありましたが、技術革新やアカシアの植樹によって克服。そして今では、ぶどう栽培やワイン醸造といった新たな産業が育まれています。特に、冷涼な気候と火山性土壌を活かした山ぶどうワインは、小坂町ならではの逸品でおすすめです！</p><p>そして、小坂町を訪れるなら、やはり十和田湖は外せません。新緑の季節、秋の紅葉、冬の厳寒期と、一年を通じて素晴らしい景観を楽しめます。特に、小坂町側にある静かな西湖畔は、ゆったりと散策を楽しむのにぴったり。湖上でのアクティビティとあわせて、ぜひ体験してほしい場所です。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/02/17/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/ADRy9zNp6NsuuT-BDn7Um.webp"><figcaption>　　　　　　　　　　　　十和田湖</figcaption></figure><h2>移住を検討している方にメッセージをお願いします。</h2><p>小坂町は小規模ながらも、独特の歴史と個性を持ち、他にはない魅力が詰まった町です。冬は厳しい寒さと多くの積雪に見舞われますが、それ以上に美しい雪景色や、春の訪れの喜びを実感できる、雪国ならではの特別な体験ができます。</p><p>また、夏は自然に囲まれ、涼しく快適に過ごせるため、暑さを避けたい方には特におすすめです。さらに、自家用車があれば青森や岩手などの近隣都市へのアクセスも良好。北東北を満喫する拠点としても、非常に魅力的な場所だと思います。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/02/17/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/GvT-_8DnI6XgR6rlQf8Nw.webp"><figcaption>　　　　　　　　　　　　小坂鉱山事務所</figcaption></figure><p><strong>地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓</strong><br><a href="https://warp.city/features/2" target="_blank" rel="nofollow noopener noreferrer">https://warp.city/features/2</a></p>

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その地域への定住・定着を図る、総務省の取り組みです。

自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。
地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。

ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやりがいなどについてヒアリングをいたしました。
地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください！

「地域おこし協力隊に聞きました！」第181回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、秋田県小坂町の猪野直子さんです。

秋田県小坂町の地域おこし協力隊、出身地：秋田県大館市、現住所：秋田県鹿角郡小坂町、趣味・特技：旅行、山歩き

小坂町

小坂町の移住体験談一覧：2件

#15 小坂町のぶどうに魅せられて。ワインと共に歩む新たな人生

#181 歴史薫る町並みと大自然が共存する小坂町の未来