<h2>地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。</h2><p>高岡市に移住するまでの8年半、タイで駐在員として滞在していました。タイでは、日系企業の日本人駐在員をターゲットとしたサービスアパート兼ホテルで6年間勤務し、その後は、インバウンド需要をターゲットにしたホテルで2年半働きました。</p><p>その中で、日本からタイという異なる環境に身を置くことで、私たち日本人が社会的にマイノリティとなる経験をしました。文化や価値観の違いを受け入れながら、限られた数の日本人同士で助け合いながら暮らすなかで、日本人の懐の深さ、優しさ、真面目さ、そして責任感の強さといった、日本にいると見過ごしがちな日本人の魅力を、あらためて実感することができました。</p><p>こうした経験を通して、外から日本を見たときに、どこか元気を失っているように映る今の日本に対して、仕事を通じて何か貢献したいという思いが強くなりました。その中で調べを進めるうちに「地域おこし協力隊」という存在を知り、応募を決意しました。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/20/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198c6ab-c07b-700c-81fe-2cb9e22536d5.webp"><figcaption>立山連峰登山</figcaption></figure><h2>高岡市を選んだ理由について教えて下さい。</h2><p>およそ10件以上の地域おこし協力隊募集に関するカジュアルミーティングに参加する中で、特に心を動かされたのが、高岡市の対応をしてくださった2名の職員の方々（現在の上司）のお人柄でした。その温かさと誠実さに深く感銘を受け、高岡市ひとつに絞って応募を決意。タイから日本へ、面接のために赴きました。</p><p>実際の面接では、そのお二人以外にも素敵な方々が多くいらっしゃり、合否にかかわらず「この場所で面接を受けられたこと自体が嬉しい」と感じるほどでした。</p><p>また、前職の社長が富山県出身であったご縁から、3年前に高岡を訪れた際、雨晴海岸や重要伝統的建造物群保存地区（重伝建）に感動した経験がありました。その社長への感謝の気持ちも相まって、「富山で何か恩返しができたら」と思ったことも、高岡に決めた大きな理由のひとつです。</p><h2>地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。</h2><p>移住コンシェルジュとして、高岡市への移住相談の窓口を担当しております。私は東京都日野市の出身で、直近までタイで生活しており、「高岡を最も知らない自分が、高岡市の移住相談を担当するなんて」と、当初は正直戸惑いもありました。</p><p>しかし今では、「だからこそできる役割がある」と実感しています。自らが実際の移住者であり、土地に馴染む過程で感じた不安や戸惑い、そして小さな喜びや発見を経験しているからこそ、移住を考える方・移住を始めたばかりの方に、誰よりも寄り添える存在になれる――そう思いながら、日々この仕事に取り組んでいます。</p><p>自分自身がどのようにして高岡の人や文化・習慣と繋がり、どんな困難や温かさがあったのか。そうしたリアルな経験をお伝えしながら、支援金や制度など、移住者にとって嬉しい情報も“移住者目線”でご案内しています。</p><p>ご相談は、メールやお電話のほか、高岡市へ直接お越しいただいても大丈夫です。「暮らし」をイメージできるような高岡市のまち案内も、無料で行っております。どうぞ、お気軽にご相談ください。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/20/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198c6aa-93d4-700c-81fe-222acd08efdf.webp"><figcaption>移住者交流会で、ものづくり体験</figcaption></figure><h2>地域おこし協力隊のやりがいはなんですか？</h2><p>まず何よりも大きな魅力は、「たくさんの人と繋がれること」です。移住を希望される相談者の方々をはじめ、私の活動を支えてくださる地元の皆さん、同じ高岡市で活動する地域おこし協力隊の仲間たち、近隣や全国で活躍されている他地域の協力隊員の方々、さらには富山県や他市の職員の皆さんなど――数えきれないほど多くの方々とご縁をいただいています。</p><p>「一期一会」を座右の銘にしている私にとって、これほど嬉しいことはありません。</p><p>特に移住希望者の方々とは、同じ目線で課題や不安を共有しながら、一緒に前に進んでいける関係性が築けることが多く、お互いにとって貴重な出会いとなることもしばしばです。そうした“つながり”そのものが、私自身の人生を豊かにしてくれていると実感しており、本当に恵まれた仕事だと感じています。</p><p>ただその分、自分の知識や理解が足りなければ、せっかくの出会いが残念な形になってしまうこともあり得ます。だからこそ、一つひとつのご相談や出会いに真摯に向き合う責任の重さも常に感じています。</p><h2>地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。</h2><p>地域おこし協力隊について事前に調べた際、多くの先輩隊員の方が「何から手をつけていいか分からなかった」とおっしゃっていて、「そういうものなのだろう」と覚悟してスタートしました。ところが私の場合、「何から手をつけていいかが非常に分かりやすかった」というのが、良い意味での想定外でした。</p><p>これはひとえに、担当してくださっている職員の方の、想像以上の理解力・努力・伴走力のおかげです。正直、感謝を通り越して、もはや頭が上がらないほどです（笑）。</p><p>私は任用型の地域おこし協力隊として市役所で勤務していますが、市職員の皆さんの優秀さにも日々驚かされています。難易度の高い業務を、わずか1～3年ごとに担当が入れ替わる中でこなされているだけでなく、民間からふわっと現れた私のような協力隊のケアまで担ってくださっている…。その大変さは、想像をはるかに超えるものだと思います。</p><p>こうした環境に身を置く中で、地域のことだけでなく、行政をはじめとする社会のしくみ全体について「自分が本当に何も知らなかった」と痛感する日々でもあります。</p><p>正直に言って、何も知らない自分が「クリエイティブなことをやりたい」と意気込んでも、それはただの混乱を生むだけ。だからこそ、まずは1年目、与えられた業務にしっかりと向き合い、様々なことへの理解を深める期間にしたいと考えています。そして2年目以降、「自分なりの地域おこし」とは何かを、少しずつ形にしていければと思っています。</p><h2>卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。</h2><p>当初は、タイでの駐在経験を活かし、地域おこし協力隊としての3年間の中で英会話スキルをさらに磨き、高岡市でインバウンド観光客向けのサービス事業に携わることを目指していました。また、ホテルの仕事が大好きだったこともあり、将来的にホテル業界へ復帰することも選択肢のひとつとして常に意識していました。</p><p>しかし、実際に高岡でさまざまな人と出会い、関わっていく中で、自分の中に新たな発想や可能性が広がってきています。正直なところ、今では3年後にどのような展開を迎えているのか、自分自身でも予測できません。だからこそ、将来についてはあまり形を決めすぎず、柔軟な姿勢で進んでいきたいと考えています。</p><p>現在担っている「移住コンシェルジュ」というミッションについては、しっかりと次の方にバトンを渡したいという思いが強くあります。一方で、卒隊後に移住促進に関する明確なビジネスプランがあるわけではなく、「自由なプレイヤー」として高岡市と関わり続けたい、という理想を持っている段階です。</p><p>本業を持ちながらでも、高岡市の移住促進に何らかの形で関われるのであれば、それもまた、自分にとってとても幸せな未来のかたちのひとつだと感じています。</p><h2>高岡市の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。</h2><p>高岡での暮らしの中で、まず印象的だったのは、地元の方々との“距離感”が東京での人間関係に近いということでした。</p><p>いい意味で「あっさり」していて、でも関わりを重ねるうちに、じんわりと伝わってくる「奥ゆかしい優しさ」がある。都会的な距離感に慣れている方にとっては、とても心地よく感じられる関係性かもしれません。</p><p>人間関係の“重さ”をあまり感じにくいのも、高岡市の特徴だと思います。特に私が暮らしているエリアでは、集合住宅で自治会や回覧板もなく、まるで移住したことさえ忘れてしまいそうになるほど、自由な生活を送ることができています。こうした環境から、私の周囲では、地域との関わり方に柔軟さがあり、自分のペースで無理なくつながっていける雰囲気を感じています。</p><p>とはいえ、たまに集落で開催される地域のイベントに顔を出すと、「和田さーん！」と笑顔で声をかけてくださる方がいたりして、ちゃんと見守ってくれているのだな、と温かい気持ちになります。そんなふとした瞬間に感じる“濃密な人とのつながり”こそ、高岡での暮らしの醍醐味なのだと実感しています。</p><p>ちなみに、高岡市内でも私とは別の地域――たとえば太田地区という集落に住んでいる地域おこし協力隊の方は、「雨が降るとご近所さんが洗濯物を取り込んでくれていた」と喜んでいました。そんな日常の中に自然と溶け込む深い愛情がそっとあるのも、高岡という地域の面白さのひとつだと思います。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/20/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198c6a9-613f-700c-81fe-1818eab89e38.webp"><figcaption>移住イベントで案内する様子</figcaption></figure><h2>高岡市の魅力について教えて下さい。（自然やグルメ、オススメスポットなど）</h2><p>東京近郊の暮らしの便利さを損なうことなく、高岡市ならではの風情ある落ち着いた生活ができるところが、高岡の大きな魅力です。</p><p>空気や水がとても美味しく、高いビルが少ないため空が広く感じられ、雄大な立山連峰の景色を日常の中で当たり前のように眺められる幸せは、言葉にしがたいものがあります。言うまでもなく、食の魅力も格別です。</p><p>また、雨晴海岸や五位山、二上山といった海や山の自然にも、市街地から車でわずか20分ほどでアクセスできるため、都市機能の便利さと、自然の豊かさの両方をバランスよく享受できる環境が整っています。</p><figure class="image"><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/posts/2025/08/20/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/0198c6a8-35e6-700c-81fe-1158a4a8fd50.webp"><figcaption>まちから見える立山連峰</figcaption></figure><h2>移住を検討している方にメッセージをお願いします。</h2><p>高岡市は、海や山といった豊かな自然に加えて、都市機能も兼ね備えた、さまざまな方が理想の暮らしを実現できる環境が整ったまちです。</p><p>私自身、移住において最も大切だと感じているのは、「そこに自分の居場所があると感じられるかどうか」という点です。</p><p>仕事や住まい、地域の方々との関わりの中で、「ここにいていいんだ」と思える場所ができたとき、それこそが理想の移住だと感じます。</p><p>美味しいごはん、豊かで美しい自然、優しい人々——それらの魅力は観光でも十分に体験できます。でも、移住とは「観光」では得られない、他にはない“自分の居場所”を見つけること。そこが何より大事なポイントだと思うのです。</p><p>だからこそ私は、移住を考える方や、移住して間もない方にとっての「最初の居場所」になりたいと願い、日々この仕事に向き合っています。</p><p>高岡市に少しでもご興味をお持ちいただけたら、どうぞお気軽にご相談ください。お会いできる日を楽しみにしています！</p><p>&nbsp;</p><p><strong>地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓</strong><br><a href="https://warp.city/features/2" target="_blank" rel="nofollow noopener noreferrer">https://warp.city/features/2</a></p>

ワープシティ公式

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その地域への定住・定着を図る、総務省の取り組みです。

自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。
地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。

ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやりがいなどについてヒアリングをいたしました。
地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください！

「地域おこし協力隊に聞きました！」第206回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、富山県高岡市の和田 庸さんです。

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高岡市の地域おこし協力隊、趣味・特技：サッカー鑑賞、将棋

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高岡市の移住体験談一覧：1件

#206 「この人たちと働きたい」高岡市に導かれた出会いと決意