移住者プロフィール
芦田 健介さん
移住時期
2017年
出身地:広島県、前住所:カナダ、現住所:山口県長門市、職業:カフェ「NaNaya Farm」店主
目次
INDEX
Iターンされる前は、どちらにいらしたのですか?
芦田健介さん(以下、芦田):広島県出身で、大阪の大学から東京の会社に就職しました。4年半ほどで退職し、その後、カナダで14年間暮らしました。帰国後、どこに身を置くか考えながら、家族みんなで車で日本中を回って、辿り着いたのが長門市でした。
学生の頃は、都会への憧れや、人とか物への執着心もそれなりにありました。でも、東京に就職して2年目ぐらいから、疑問を持ち始めたんです。もちろん東京には東京の良さがあるんですけど、「なんか、嫌だな」と違和感を持つようになって、心に余裕がなくなっていきました。
でも会社を辞めるのは、自分にとっては一大決心で、「辞めるからには何かしないと」と思ったんです。その頃、大学で始めたスノーボードに夢中だったので、語学留学も兼ねて、カナダに行くことにしました。 妻とは、カナダでスノーボードを通して出会ったんですよ。
子どもを授かるまでは、2人でカナダから世界中を旅しました。新しいものに出会う楽しさは、カナダで教えてもらいましたね。 カナダの生活は、何より自分に合っていたんだと思います。働くことも遊ぶことも、楽しくて仕方ありませんでした。
働き方や、生き方、食へのこだわり、自然環境への意識の高さなど、大きな影響を与えられましたね。価値観が変わるというより、どんどん広がっていきました。
どうして日本に戻ろうと?
芦田:カナダで過ごしているうちに、「彼らのように気持ちよく生きていたい」と強く思うようになりました。やりたいことが14年の中でだんだん固まってきて。 ところが、その当時カナダは不動産バブルで、土地がとても高かったんです。
一方で、日本の田舎に目を向けてみると、家や畑はあるし、安いし、海も山もある。 「日本に帰るのもいいんじゃないか」と考えるようになり、タイミングも良かったので、帰国しました。
移住先を長門市に決めた理由は?
芦田:何かちょっと引っかかるものがあったんですよね。 日本に帰ってきてから、移住先を探すために、家族みんなで日本中を車で旅したんです。 僕がカナダで管理していたシェアハウスには、ワーキングホリデービザを使ってやってきた日本人が毎年たくさん訪れていて。
日本に帰ってからは、彼らを訪ねながら、4ヶ月ぐらいかけて日本中を巡りました。 長門市にたどり着いたのも、友人に“先輩移住者”がいたからです。それまで移住先の候補は北海道や長野県で、他はどこも変わり映えしないような気がしていたんですが、長門市はどこか頭の隅に引っかかっていました。
その後も九州の方まで行ったんですが、長門市が忘れられなくて、「じゃあ戻ろうか」と長門市に戻ってきたんです。
長門市に移住を決めてからはどのように動きましたか?
芦田:先ほど話した“先輩移住者”の友人に、色々と助けてもらいました。 まず畑と田んぼと、築60年の古民家を借りたんですが、家の方は住めるような現状ではなかったので、別の家を借りて、通いながら改修作業を行いました。
今は古民家の方で暮らしていますが、今でも改修は続いています。 これまで出会ってきた人との“つながり”と、新しく長門市で出会えた人たちの“助け”と、あとは自分の“情熱”で突き進みましたね。
カフェ「NaNaya Farm」をオープンしたきっかけは?
芦田:「NaNaya Farm」は2019年にオープンしました。カフェも、長門市で出会ったオーナーとの“つながり”から始まったんです。繁忙期にお店を手伝っていた縁で、飲食の方を任せたいと言っていただいたことがきっかけで。
カナダにいた頃から、“自分の畑で育てた野菜を使って店をやりたい”と思っていたので、引き受けることにしました。現在は、自分の畑で採れた無農薬野菜をカフェで出しています。
学校から帰ってきた娘がここで宿題して、そのまま海で遊ぶ姿を見ていると、「ここに移住してきてよかった」と思いますね。 周囲に心配をかけたりもしましたが、焦らず、無理せず、自分たちのタイミングで決められてよかったと思います。
これから移住を考えている方へメッセージをお願いします
芦田:僕は日本を離れてみて、今まで自分を縛っていた“常識”や“価値観“から自由になった気がしました。「人間ってこれでいいんだ」と、実感したんですよね。 だから、そういう仲間を増やしたいし、みんなにも“早く踏み出してほしい”と思っています。
価値観は人それぞれですから、しがらみの中でも頑張りながら、小さな楽しみを見つけるのも一つの生き方だと思います。でも、思い切って抜け出してみると、視界が広がって自由になります。
楽しいことや気持ちいいこと、本当にやりたいことが見えてくる。 もちろん、暮らしを大きく変えることには、覚悟も労力も必要です。だけど、変えてみないとわからないですから。
あと、“一人じゃない”ということは絶対に忘れずにいてほしいですね。同じように苦労した仲間や先人たちが、必ず助けてくれます。 だから、まずは最初の一歩を、臆せず、動かしてみて欲しいですね。自分の心に素直になって、踏み出してみてください。