#49 「自分が求める暮らしを自分の手で作る」岩手県岩泉町の暮らし

体験談

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図る、総務省の取り組みです。 自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。 地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。 ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやり甲斐などについてヒアリングをいたしました。 地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください! 「地域おこし協力隊に聞きました!」第49回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、岩手県岩泉町の高田孝治さんです。

地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。

移住前は東京で仕事をしていたのですが、この先もずっと東京に住み続ける事に疑問を感じていて、特に時期は定めずに「良い所があったら移住しようか」くらいの考えで地域を限定せずに移住先を探していました。

移住を検討する中で「地域おこし協力隊」の制度を知り、3年間かけて生活の土台を築けるのは大きいと思い、地域おこし協力隊に絞って各地の募集を探しました。農林業や狩猟が出来る場所を探していて、複数の地域を見ている中で岩泉町を知りました。それまでは岩泉町の名前も知りませんでした。  

「畑わさび」は作物としても、農業としても少し変わっていて、そのマイナーな部分に挑戦しがいがあると感じて、応募することにしました

地域おこし協力隊の高田孝治さん

 

岩手県岩泉町を選んだ理由について教えて下さい。

時間をかけて複数の自治体を検討していた中で、以下のの2点は検討材料として大事にしていたところです。

  •  協力隊として活動した後にきちんと収入を得るイメージが湧くか
  •  移住者と行政が揉める話を何個もネットで見ていたので、中間支援組織がある事

私は数日間の移住体験をした上で岩泉町への移住を決めましたが、そこに至るまでのコミュニケーションでストレスを感じなかったのも大きいです。
加えて、その時の仕事や気持ち・家族の都合など色々なタイミングが合致したので移住しました。運命なのか偶々なのかは分かりませんが、それが岩泉町です。

紅葉の風景

 

地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。

まずは畑わさびの先輩農家さんの元で基本的な技術を学びます。その間に町や農家さんからの紹介を元にして使える圃場を探し、自分の圃場の開拓・栽培などで実践の繰り返しです。

農家ごとに色々と工夫やこだわりが違うため、色々と勉強させてもらっています。その点では協力隊という立場は非常に動きやすいです。

3年間の期間で、年々自分の圃場に割く時間を増やしてく感じです。一般的な畑作とは異なり林間で行うので、チェーンソーを使っての伐木や重機を使用しての作業を行うのも特徴かもしれません。

収穫した畑わさび

 

地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?  

自分が求める暮らしを自分の手で作っていける事です。「地域のため」とかカッコ良い事が言えれば良いのでしょうが、そんな意識はあまりありません(笑)。

畑わさび農業に関して言えば、自然相手の農業なので毎年100%同じ条件ということはありません。
なので、どこを工夫すれば良いものが作れるかを考えて実践出来るのは面白い所だと思います。

逆に、失敗してしまうと収入に直結する怖さとも言えますが、そこを苦労と取るか面白さと取るかですね。

 

地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。  

真冬に数日間留守にして帰宅したら、浴槽に大きな氷の塊(残り湯が凍結)が出来ていて、更にあらゆる水道管が凍っていた時は、「暖かい地方に住みたいなぁ」と切実に思いました。ある程度の寒さは想像していましたが、予想を遥かに超えていた出来事で印象深いです。  

仕方がない事ですが、協力隊の期間がコロナの時期と丸被りだったので、地域のお祭りも軒並み中止となってしまい、楽しむことが出来なかったのも想定外でした。

 

卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。

最近、地域おこし協力隊の任期を終了しましたが、引き続き岩泉町で畑わさび栽培を続けていきます。
なので、畑わさびの生産を安定させることに何よりも力を入れていきます。

地域おこし協力隊の時は色々と試行錯誤が出来たのですが、今後は働き方や収入面についてシビアに向き合っていかなければならないと思っています。

畑わさびを収穫する高田孝治さん

 

岩泉町の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。  

人口が1万人もいない町ですが、地域の事を知れば知るほど色々な活動をしている人に出会えるので、新しい事にチャレンジしたくなります。不便な土地だからこそ自分たちの知恵や技術で乗り越えてきた背景があり、そこが何よりも魅力ですし、継承していけたらと思います。  

特定の誰かと言うよりは、各々の生きる術や工夫に驚かされます。

茂師海岸

 

岩泉町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)  

前段の回答と似てしまうのですが「人」なのかなと思います。無いものは自分たちの工夫で作っていこうと言う精神には驚かされます。  

食べ物に関しては生産地ならではの贅沢さがありますが、そこは少し慣れてしまって感動も薄れてきたかもしれません。場所については、最近リニューアルオープンした「龍泉洞わっか」です。昔からの観光地で、新しい取り組みが始まったので期待しています。

龍泉洞

 

移住を検討している方にメッセージをお願いします。  

移住自体に関しては、そこまで難しく考える必要はないと思っていて、「同じ国内なので何とかなる」くらいの気持ちが大事だと思います。事前に数日間でも現地に行って見たり、話を聞く時間を作るべきだと思いますし、なるべく複数の地域で検討したら尚良いと思います。  

昔から地域おこし協力隊のトラブルは聞きますが、全てが思うようにいかないのは都会だろうが田舎だろうが当たり前なので、田舎に移住したから全て思い通りになるという考えは危険かなと思います。  

逆に、田舎の方が季節や天候、風習などに行動が制限されてしまう感じはあるので、そこも踏まえて楽しめるかが大事だと思います。

 

 

地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓

https://warp.city/features/2

 

岩手県

岩泉町

iwaizumi

本州一広い岩泉町は日本三大鍾乳洞の一つである龍泉洞と町の約92%を占める森林を中心とした自然豊かな町です。また、農業、林業、水産業、酪農、畜産等、ほぼすべての一次産業が行われている比較的珍しい町です。食では岩泉ヨーグルトや短角牛、マツタケや山菜等、美味しいものがたくさんあります。町民性は恥ずかしがり屋で静かな方が多いですが、皆さんとても優しいです。「森と水のシンフォニー」岩泉町にぜひお越しください。