#54 島根県隠岐の島町「地域密着型漫画家」が漫画で隠岐産品をPR!

体験談

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図る、総務省の取り組みです。 自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。 地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。 ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやり甲斐などについてヒアリングをいたしました。 地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください! 「地域おこし協力隊に聞きました!」第54回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、島根県隠岐の島町の酒井亜里沙さんです。

地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。

愛媛から島根県の離島、隠岐の島町に移住しました酒井と申します。『あーさ』というペンネームで漫画家業を営んでおります。

地域おこし協力隊という制度は、隠岐の島町に訪れた際、後の先輩となる、隠岐の島町役場地域振興課の協力隊の方に教えて頂きました。

地域おこし協力隊でまず魅力的だと思ったのが、副業がOKだということです。出勤日数も月17日だったため、これなら漫画家業を続けながら、安定した収入が得られると思いました。慣れない土地でお金の心配をしたくありませんでした。

また、知り合いが誰もいない状態で移住して来たため、仕事を通して色んな人たちと出会えるという点もありがたかったです。 そして「与えられたミッションに応じて企画を立てる」という仕事内容も、面白いと感じました。

役場に所属しているという立場上、想像していたより自由度は低かったですが(役場の世界に慣れるまで、ここが一苦労でした)それでも色々な企画に挑戦する機会を頂けました。

島根県隠岐の島町を選んだ理由について教えて下さい。

隠岐の島町を知ったきっかけは、普段からよく相談相手になってくださっていた先生からの紹介でした。その頃の私は漫画が大スランプでして、仕事も私生活も色々行き詰まりを感じておりました。

そこで心機一転、何処か新天地で新しいことにチャレンジしてみたい!と思いつき、先生に相談したところ、先生から「これからは都会ではなく、注目度の高い地方が面白い」「隠岐の島という面白い島があるんだ」と教えてもらいました。

敬愛する先生が面白いという隠岐の島…一体どんな島だろう?と実際に行ってみたところ、一度の旅行ですっかり気に入ってしまいました。

地球の歴史を感じる雄大な自然に、気さくで親しみやすい地元の方々、そしてフロンティア精神に溢れるUIターンの人たち…この人たちと一緒にここに住めば、この行き詰まりから脱却できるかもしれないと思い、帰りのフェリーの中ではもう移住を決断してました(笑)。

そして、その時の予感は的中しました。何しろ、協力隊として役場に出勤して2日目には、もう隠岐の特産品をテーマにした漫画を描き始めていました。

トレッキング参加者の並べた足

 

地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。

私が所属していたのは『農林水産課農林振興係』でした。
与えられたミッションは『隠岐産品の情報発信・販売促進』。私が得意とする漫画を使って、隠岐産品をPRすることを思いつきました。

しかし、ただ漫画を描いてSNSで公開するだけでは注目されません。そこで、毎月隠岐産品を一つ取り上げて、それをテーマに漫画を描き、Twitter上で公開する際「フォロー&リツイートしてくれた方の中から抽選で1名様に、漫画に出てきた食材が当たる」というリツイートキャンペーンを定期開催しました。

反応は上々で、協力隊のTwitterアカウントのフォロワーは、最盛期で3000人を超えました。漫画を通して「実際に食べてみたいと思った」「隠岐へ行ってみたい!」というメッセージを頂けたのも、大変励みになりました。

そして何より嬉しかったのが、地元の人たちがこの漫画を気に入って、喜んでくださったことです!

酒井亜里沙さんの描く漫画

 

地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?

自分のこれまでのスキルを活かして、地域おこしに携われること、 そこから色んな人と知り合いになれることです。

地域おこし協力隊活動のフリーマーケットの様子

 

地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。

着任前の面接時に、こちらがやりたいこと、町が求めていることを擦り合わせていたつもりが、いざ入ってみると全然食い違っていたり…ということは、隠岐の島町に限らず、協力隊あるあるだと思います。

実際私も着任してから「漫画で特産品をPRするのはいかがなものか」と言われ、「ならなんで漫画家を雇ったんだろう?」と疑問に思ったことがありました。最終的にはプレゼンと話し合いを重ねて、企画にGoサインをもらいました。

他にも、面接から着任までの間に人事異動があったため、部署の方針が大きく変わってしまった…なんてケースもあったりします。 ただ、隠岐の島町の素晴らしいところは、協力隊の意見を取り入れて、私たちが働きやすいよう年々ブラッシュアップしてくれているところです。

私がいた3年の間でも、協力隊の働き方やメンタルケアが、随分改善されたと感じております。困ったときは相談に乗ってくれる人(部署)がいてくれたからこそ、思いっきり仕事に打ち込めました。

 

卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。

任期後は、隠岐の島町で漫画スタジオ『Studio Artha』を立ち上げました。このネット社会、漫画やイラストの依頼は全国から(あるいは世界中から)受けることができます。

ですが私は依頼主と顔を合わせて、しっかりと思いを汲み取った作品作りを目指したいと考えております。そのため敢えて隠岐の島町・島根県内を中心に、ご依頼を承っております。『地域密着型漫画家』を目指します!

 

隠岐の島町の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。

隠岐の島町に移住して来て、最初に受けた衝撃は、ポリ袋いっぱいに生のわかめをおすそ分け頂いたことです。「嬉しいけど、こんなにいっぱい食べられない!」という私に、ご近所さんが「干したらええよ」「めかぶは冷凍したらヌメヌメがマシになるよ」と丁寧に教えてくださいました。

その時頂いたわかめが、まあ美味しかったこと!このエピソードがきっかけとなりまして、漫画で特産品をPRするという構想が生まれました。

 

隠岐の島町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)

景色が綺麗、ごはんが美味しいことはもちろん、一番の魅力はやはり『人』ではないでしょうか。隠岐の島町の人たちは、本当に気さくで親切な方が多くて、困った時は誰かしら親身になって助けてくださいます。

だからこそ、知り合いがゼロの状態でも、不安に思うことなく移住できました。
ただ、その優しさに甘えすぎず、私も自分に出来ることで、誰かを助けたり、町の活性化に貢献したいです。

また、離島でありながら意外と便利なことも、移住の決め手となりました。大きなスーパー・ドラッグストア・100円ショップ等があるので買い物には困りませんし、足りないものはネットで購入できます。

高速船や空港もあるのでアクセスしやすいです。隠岐の島町にご興味があれば、是非一度遊びにいらしてください。

隠岐の島町の乳房杉

 

移住を検討している方にメッセージをお願いします。

やはりまずは実際に1回は来てみてください。地方といえども千差万別です。

その土地の風土や人が自分に合うのかどうか、確認が大事だと思います。 協力隊になることを検討されているなら是非、現役の協力隊員に会って、話を聞いてみることをお勧めします。ネットや書面では分からない情報が得られるはずです。

あと最後に一つ。隠岐は山だらけなのでムカデが出ます。隠岐に移住される際は、ムカデと戦う覚悟を固めて、是非いらしてください。大丈夫!私も虫が大の苦手ですが、何とかなってます(笑)。

 

 

地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓

https://warp.city/features/2

 

島根県

隠岐の島町

okinoshima

島根県から北へ約80km離れた海上にある、隠岐諸島の中で最大の島です。2013年に世界ジオパークに認定され、国立公園にも指定されるほど自然豊かな島でありながら、フェリーや高速船に加え空港もあるため、 都市部からのアクセスも充実しています。