移住者プロフィール
中村明弘さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
岐阜県大垣市の地域おこし協力隊、趣味・特技:はり師・きゅう師、ファイヤーポイ
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
バックパッカーや自転車旅行をしているときに、田舎で暮らしたいなぁと思っていました。田舎で暮らすためには生活力が必要で、地域おこし協力隊の任期中に地域の方たちの生きた知恵や技術を学び、ネットワークを作りたいと思っていました。
また、子どもの教育環境を考えたときに、日本の原風景が残る場所で自然と向かい合って遊んで成長してほしいという思いもありました。
2016年に上石津出身の友人の紹介で、移住者を募集しているということで上石津町を訪れました。素敵な地域だったので移住も検討していたのですが、鍼灸院の経営が軌道に乗り移住の話は保留となりました。
2022年にコロナ禍で患者様が減っていき、鍼灸院の経営をどうしようかなと思っていた時に、ちょうど上石津地域で地域おこし協力隊の募集があったので応募しました。
岐阜県大垣市を選んだ理由について教えて下さい。
閉鎖的な田舎ではなく移住者を多く迎え入れていて、移住者も紹介して頂き、その方達がみんないい場所だと言っていたので、暮らすにはいい場所だと感じました。昔から伊勢街道や江州街道などがあり、人が行き来していたため移住者を迎え入れる文化があるのだと地域の方から教えて頂きました。
実家にも近く、学生時代によく上石津地域を通っていて親近感もありました。移住先は山間にあり近くに綺麗な牧田川があり、季節や時間帯で変る山の表情や虫や動物の鳴き声など、自然の中にいるなぁと日々実感できるのでここに来てよかったなぁと思います。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
伝統文化である時山炭(ときやまずみ)製炭の継承が主な任務です。地元住民によって発足された時山炭保存会に支えられ、師匠に教わりながら時山炭を作っています。
その他に、広報・販売などもしています。2023年には炭窯造りもしました。もともと炭づくりに興味があったわけではなく、師匠達の勇姿に刺激を受け、憧れになりました。やっていくうちにだんだんと時山炭の魅力にハマっていきました。
第一目標は、一人で炭を作れるようになり自活できること。第二目標は、24時間燃え続けるチンチン炭をつくること。第三目標は、択伐し山に風と光を入れて元気な森にすること。
また、活性炭・炭染め・炭石鹸作り・炭ポイなどいろいろなことができるといいなと思っています。まだまだ長~い道のりの途中です。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
一番のやりがいはいろんなことが学べることです。炭づくりは木を切って、割ったり整えたりして、木を並べて、火を焚いて、煙を観察して蓋をします。たくさんの工程があって奥が深いのでやっていて面白いです。
今までナタも使ったことがありませんでしたが、ヨキやチェーンソーの扱いなど、ナメクジのようなスピードですが、ゆっくりと成長していると実感できることも嬉しいです。
地域の方から、古くから続いている町での昔の様子や生きた話が聞けることも歴史を感じられてとても興味深いです。時山炭のお客様や応援してくださる地域の方がたくさんいて助けられてばかりです。このままでは地域おこし協力隊ではなく、地域おこし助けられ隊です・・・。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
80歳を超えた師匠たちが元気すぎてついていけないことです。今までの仕事では年配の方を労わる立場でしたが、心配される側になりました。山登りも登山道しか歩いたことがなく、斜面での仕事では私だけ転んでいます(笑)。
伐木作業や仕事の向き合い方など、技術から精神面までいろんなことを学ばせてもらっています。着任して1年と4カ月が経ちましたがまだまだついていくのにいっぱいです。ついていけているのかも疑問です。
早く一人前になりたいと思っていますが、一人前になるには10年も数十年もかかると聞いているので、焦らず安全に成長していきたいです。
田舎の暮らしというと、言い方が悪いかもしれませんが、村社会というイメージがあましたが、暮らしてみて「見守られているんだなぁ」と感じました。会う人会う人が皆知り合いという安心感はとても得難いものだと思います。想定外に良かったことの一つです。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
卒隊後は、今やっている製炭と鍼灸をやっていこうと考えています。製炭は択伐で環境保持に貢献できる他、炭そのものの魅力もあります。時山炭はその火持ちの良さから尾張の御用炭で地元の人たちからも愛されているので、続けていきたいと思っています。
また、炭焼き職人が少しでも増えたらいいなぁと思います。そのためにも広報活動や販路開拓にも力を入れていきたいです。
お百姓さんが百の仕事をこなしていたという説があるように、これからは複業の時代に移り変わっていくと思います。今までやってきた製炭と鍼灸の他にも社会貢献と稼業と興味が重なることをやっていけたらいいなぁと思っています。
大垣市の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
着任当初は、師匠たちの会話が同じ日本語であるのに理解できないことが多々ありました(笑)。今はだいたい分かるようになりました。三人称に「大将」と使うのは面白味と温かさがあるので気に入っています。
師匠と車ですれ違う時に、お互い窓から顔を出して話をしていました。田舎あるあるの一部に自分がなっていることに気付いて一人で笑ってしまいした。
着任して数カ月が経ってから、よくしてもらっていた方から「本当は都会の人が炭焼きなんてできるのかと見守ってきたけど、だんだん山男らしくなってきたね」と言われたときは初めて認めてもらった感じがしてとても嬉しかったです。
大垣市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
人だと思います。地域のイベントも地域住民が協力し合って実施しています。清掃も気づいた人が行っていてそれを当たり前のことのようにやっています。自治会の清掃やお祭りの準備など皆率先してされているのでやる気がでます。
製炭はゼロからのスタートだったので、支えられ教えられて少しずつ仕事がこなせるようになってきました。生活面でも野菜や花やしいたけなど頂いたり、子どものための道具やおもちゃを頂いたり、雪の対策など生活のアドバイスを頂いたりいろんな面でとても助けられています。
日本の支えあう文化が根付いている感じがします。「まじめが損しない」いい環境だと思います。広告ついでに、炭窯はとても風光明媚なところにあるのでオススメスポットです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
移住者が多い地域は、他所の人を受け入れる体制が整っていると思うので一つの目安になるかもしれません。移住者を紹介してくれる地域は、移住政策に自信を持っているはずなので、先輩移住者さんの話を聞いて、自分がその地域に合いそうかどうかの参考にしてみてください。
どこでも何でも一長一短ですが、いいところにスポットライトを当てられる余裕を持てれば好きになっていけると思います。私は地域の方のサポートのおかげでその余裕が生まれました。今はサポートされっぱなしですがいずれはサポートする側に回れたらいいなぁと思います。
自然を感じながら自分らしく暮らしたい方には移住はオススメです。きっとどこかであなたの力を必要としています!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2