なんにもなくて全部ある。ぼくの町おしえてあげる。

なんにもなくて全部ある。ぼくの町おしえてあげる。

コラム

ぼくの町にはなんにもなくて全部ある。

おおきなおもちゃ屋さんはない。
どうぶつ園もすいぞく館もゆうえん地もない。

でもね、ひろ~い砂場があるキレイな海がある。
そこには大きなクジラがいたり、ウミガメが赤ちゃんを産みにくる。
お魚やエビがつかみ取りできるキレイな川がある。
冷たくて気持ちよくて、夏はまいにち泳ぎに行くんだ。

おいしいモノがたくさん採れる山もある。
たけのこ、わらび、栗、ヤマモモ、ここぶ、いたどり、どれもとってもおいしいよ。
夜になると庭に蛍が飛んできてピカピカする。
お空にはたくさんのお星さまがキラキラして
天の川も見える。流れ星も流れるよ。

目をとじれば聞こえてくるのは、波の音。鳥の声。虫の声。
おいしい空気をお腹いっぱいすいこんで はきだして すいこんで はきだして・・・
あれ?どこかでお餅を焼くいい匂いがするぞ。

ね。イロイロないけど、い~っぱいあるでしょ?

ぼくの家族

ぼくのママはこの町の海に一目ぼれして遠くの街から引っ越してきた。
その海でパパと出会ってぼくが生まれた。

ぼくのじぃじとばぁばは近くにいないけど
近所のじぃじとばぁばたちがみんな仲よく遊んでくれる。
竹で笛を作ってくれたり、凧を作って飛ばしてくれる。

じぃじの畑はたくさんの野菜や果物がとれるんだよ。
甘くて、ピチピチして、固くて、大きくて、苦くて
すっぱくて、やわらかくて、シャキシャキで
どれも全部おいしいよ。

お芋を掘ったら、ばぁばが蒸かしてくれて、みんなで食べる。
みんなで食べるともっとおいしいんだ。

ぼくが大きな声で泣くと、となりの家のおじちゃんが
「もっと大きな声で泣け~」「まだまだ小さいぞ~」っていう。
ぼくはもっともっと大きな声で泣くけど
おじちゃんはもっともっともっと大きな声で笑ってる。
ぼくもなんだかおかしくなって、いつの間にか、おじちゃんといっしょに笑ってた。

近所のおじちゃん、おばちゃんが
おにいちゃん、おねえちゃんが
みんな仲よく遊んでくれる。
みんないろんなことをおしえてくれる。
みんながぼくの家族。

だからぼくは大家族なんだ。

天然の川のプールは夏の定番お出かけスポット。たくさんのお友だちに会えるよ。

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自然と遊ぶこと、自然と暮らすこと、たくさんの遊びを教えてくれる近所のじぃじ

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ぼくの町に遊びにおいで

聞こえる?
波の音、森の草木が風にゆれる音、鳥の声や虫の声。

感じる?
あたたかい潮風、田んぼを焼くすすの香り、お芋を蒸かしたいい匂い。

おしえたいけどおしえたくない。
ひとりじめしたいけど自慢したい。

ぼくの町に遊びにこない?
ぼくの家族もしょうかいするね。
ぼくのヒミツの場所、こっそりおしえてあげる。

ぼくの町にはなんにもない。
でもね、大切なモノはすべてここにある。
だいすきなぼくの町。

ぼくはこの町で育つ。
ぼくはここで待ってるよ。

ばぁばの手は硬くてシワシワ。でも、優しくて暖かい。たくさんの事を教えてくれるばぁばの手

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薪風呂を焚き、包丁を研ぐ。ぼくの家族には先生がたくさんいるよ。

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