<h2>地域おこし協力隊に応募した理由と、応募した地域を選んだ決め手について教えてください。</h2><p>結婚して10年ほど経ち、子どもを授からなかったことで、「夫婦2人で生きていくなら、もっと自由に人生の選択肢を広げてもいいのでは？」と考えるようになりました。都市部にこだわる必要はないし、せっかくなら本当にやりがいを感じられる仕事に挑戦したい。そう思い、移住を決意しました。</p><p>「これから何をして生きていくのか？」と模索する中で、夫からまさかの提案——「牛飼いになりたい」。私はもともと動物が少し苦手でしたが、彼の情熱に感化され、次第に興味を持つようになりました。そして、「食べる側」から「生産者」へと立場を変えることの誇りや意義を感じるようになったのです。</p><p>移住先を探す中で、「牛飼いを目指せる地域」に焦点を当ててリサーチしたところ、茨城県城里町が和牛農家の後継者を募集していることを知りました。未経験から畜産の世界に挑戦できる環境が整っていること、そして町の規模感や雰囲気が自分たちの暮らしに合いそうだと感じたことが、ここを選んだ決め手となりました。 &nbsp;</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/30/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/Lw87lzNaX_xdp4Fw6X0q5.webp"></figure><h2>協力隊への応募を考える際に参考にした情報源は何でしたか？</h2><p>インターネット情報、本や雑誌、イベントを参考にしました。</p><h2>ミッションの具体的な内容を教えてください。</h2><p>私のミッションは、「城里町での定住・就農」でした。</p><p>任期中は、町内の農家さんのもとで研修を受けながら農作業を手伝い、基礎を学ぶことが求められていました。そして、将来的な独立に向けてスキルを磨くことが重要な役割だったと思います。</p><p>また、並行して地域の農業をPRする活動にも携わりました。農産物の販売をサポートすることで、農作業とは違った視点で地域と関わることができ、新たな発見やリフレッシュにもつながったと感じています。</p><p>単なる「研修生」ではなく、協力隊は自治体職員の一員であり、同時に地域の農業を支える立場でもあります。その意識を持つことが、このミッションにおいて大切だったと実感しています。 &nbsp;</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/30/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/EeWFNyAZqDVNrkMJW5aEg.webp"></figure><h2>現役時代に印象に残っている出来事や成功体験について教えて下さい。</h2><p>何か大きな成功体験があるわけではありませんが、「卒業後の道筋を明確に描き、それに向かってコツコツ積み重ねていけたこと」こそが、今の暮らしにつながっていると感じています。</p><p>着任直後から、「いつまでに何を準備するか」「卒業後にどのくらいの収入を確保できるか」といった具体的な計画を立てました。就農には農地や機材の確保、資金調達など多くの準備が必要なため、一つひとつ着実に進めることを意識しました。</p><p>この計画を実行していく中で、結果として事業計画の策定にもつながり、独立への大きな支えとなりました。改めて、日々の小さな積み重ねが今の生活を築く基盤になっていると実感しています。</p><h2>活動中に直面した課題や、それをどのように乗り越えたかを教えてください。</h2><p>もともとは「和牛繁殖農家の第三者承継」の募集に応募しました。しかし、着任後すぐにその承継の話がなくなってしまい、大きな戸惑いを感じました。</p><p>それでも、「牛飼いになりたい」という想いは変わらず、目標を「独立就農」へと切り替え、なんとか道を模索することに。しかし、縁もゆかりもない土地で、農地や機材の確保、資金調達をゼロから行うのは決して容易なことではありませんでした。</p><p>そんな中、大きな転機となったのは、心から応援してくれる地域の農家さんとの出会いです。単なる技術指導にとどまらず、地域のネットワークを紹介していただいたり、農地確保の際に間に入っていただいたりと、研修先の方々の信頼をお借りすることで、数々の課題を乗り越えることができました。</p><p>その支えのおかげで、一歩ずつ着実に準備を進めることができ、無事に営農をスタートすることができました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/30/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/2mFOpySxXe87JSs5CLCE6.webp"></figure><h2>地域の人々や自治体との関わりの中で、学んだことや感じたことはありますか？</h2><p>「誠実であること」「想いを伝えること」の大切さを学びました。</p><p>現在、私は和牛繁殖農家とリモートアシスタントの兼業をしています。移住当初に目指していた形とは少し異なりますが、それは我が家の事情や環境の変化を踏まえ、自分たちにとって最適な選択をした結果です。</p><p>しかし、その背景をきちんと伝えなければ、「和牛農家になると言っていたのに、裏切った」と思われることもあるかもしれません。実際、同じ決断でも、選択の背景を伝えるかどうかで、地域の方の受け取り方が大きく変わる ことを実感しました。</p><p>たくさんの方々に応援していただいたからこそ、「伝える努力」を怠らず、誠実に向き合うことで、より良い関係を築いていきたい と思っています。</p><h2>卒隊後のお仕事について教えてください。</h2><p>夫の名義で和牛繁殖農家として独立し、家族経営協定を結んで夫婦共同経営 としています。</p><p>また、私自身も個人事業主としてフリーランスのリモートアシスタント業をスタート。オンラインでの事務サポートや資料作成などを行っています。</p><p>現在は被雇用者としてオフィスワークにも携わっていますが、将来的には「和牛農家 × リモートアシスタント」に絞り、より自分たちらしい働き方を実現できればと考えています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/30/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/u-c53EsmPmflXZIwaZBjE.webp"></figure><h2>卒隊後の進路に、最も影響を与えた出来事や考えは何ですか？</h2><p>先にも述べたように、地域で応援してくださる先輩方の存在が、私たちの卒隊後の進路を大きく支えてくれました。</p><p>特に、実際に農業を営む先輩農家の方々が、独立に向けたアドバイスをくださったり、農地確保や経営面での相談に乗ってくれたりしたことは、とても心強かったです。</p><p>また、農業という業種の特性上、自治体職員や県の職員の皆さんが卒隊後も変わらず支援してくださったことも、大きな支えとなりました。例えば、農業制度の活用について教えていただいたり、地域のネットワークをつなげてもらったりと、今でも多くの場面で助けられています。</p><p>こうした関係性が卒隊後も続いていくのは、農業ならではの魅力かもしれません。</p><h2>協力隊時代の自分と今の自分を比べて、どのような成長を感じますか？</h2><p>「おかげさま」という言葉の意味を、これまで以上に自分ごととして深く実感できるようになったと感じています。</p><p>地域の方々、農家の先輩方、自治体の職員の方々——本当に多くの方の支えがあったからこそ、今の暮らしが成り立っているのだと、心から言えるようになりました。</p><p>だからこそ、これからは「いただいたものを次へとつなげていく」ことを大切にしたいと思っています。私が受けた恩を「恩送り」という形で次世代へつなげ、少しでも地域に貢献できるよう努めていきたいと考えています。</p><h2>今後の展望や目標があれば教えてください。</h2><p>和牛繁殖農家としての目標は、地域で活躍し、一定の評価を得ることで、業界の発展に貢献できるスタートラインに立つことです。そして、和牛の持つさまざまな可能性を探りながら、日々の営みを通じて食と農の未来に少しずつ貢献していきたいと考えています。</p><p>一方で、リモートアシスタントとしての目標は、都市部の仕事をローカルに持ち込み、地域の仕事の選択肢をより多様にしていくことです。現在はまだ経験を積んでいる段階ですが、まずは自分自身がその働き方を実践し、「地域で暮らしながら都市部の仕事を請け負う」選択肢を広げることを目指しています。将来的には、この働き方を自分だけでなく、地域の他の方にも共有できるよう、挑戦を続けていきたいです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/30/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/MGZuZo6TwRv_70f9OcJJO.webp"></figure><h2>今後地域おこし協力隊を目指す人にアドバイスをお願いします。</h2><p>移住先では、価値観や文化の違いに驚くこともあるでしょう。思うようにコミュニケーションが取れず、もどかしさを感じることも、一度や二度ではないかもしれません。</p><p>そんなときに大切なのは、「自分が将来どうなりたいか」という明確なビジョンを持つことです。自分の目指す姿をしっかり描くことで、その想いに共感し、応援してくれる人が、きっと最初の支援者になってくれるはずです。</p><p>地域おこし協力隊の任期は3年間。限られた時間だからこそ、「卒業後の姿」を早い段階で思い描き、そこに向かって一歩ずつ進んでみてください。あなたの目指す未来が、多くの人に届くことを願っています。</p>

ワープシティ公式

地域おこし協力隊の経験は、その後のキャリアや人生にどのような影響を与えるのでしょうか？

ワープシティでは、OB・OGへのインタビューを通じて、現役時代の業務内容や得たスキル、卒隊後のキャリア、地域との関わり方についてご紹介します。

地方での起業や就職、地域コミュニティとの関係など、リアルな体験談をお届けし、これから協力隊を目指す方や、受け入れを検討する自治体の参考となる情報を発信します。

協力隊の「その後」を知ることで、あなたの未来のヒントが見つかるかもしれません。ぜひ、ご覧ください！

城里町

茨城県

出身地：埼玉県狭山市、地域おこし協力隊として活動していた自治体名：茨城県城里町、任務期間：2018年5月～2020年12月、協力隊になる前の仕事：カスタマーセンターSV、現在の仕事：和牛繁殖農家・リモートアシスタント

城里町

城里町の移住体験談一覧：1件

#1 「牛飼いになりたい」和牛繁殖農家として城里町で始めた新しい人生