<h2>地域おこし協力隊に応募した理由と、応募した地域を選んだ決め手について教えてください。</h2><p>応募のきっかけは、感染症の大流行でした。前職では、カラオケ店舗を運営する企業で働いており、私は店舗マネジメントを担当していました。東京の渋谷区にある基幹店に配属され、これからもっと頑張ろうと思っていた矢先、緊急事態宣言が発令され、休業を余儀なくされました。</p><p>宣言が解除され営業再開となったものの、その後もすぐに休業となることが繰り返され、次第に転職を意識するようになりました。就職活動には苦い思い出もありましたが、改めて自分の興味関心ややりがいについて考えたとき、教育に挑戦したいという気持ちに気付きました。</p><p>ちょうどそのタイミングで、尊敬する恩師がFacebookでシェアした記事を目にし、「これだ！」と感じて応募を決意しました。仕事に対する魅力だけで応募したため、地域についてはその時点ではあまり深く考えていませんでした。</p><h2>協力隊への応募を考える際に参考にした情報源は何でしたか？</h2><p>インターネット情報です。</p><h2>ミッションの具体的な内容を教えてください。</h2><p>私のミッションは、高校魅力化です。具体的には、公設塾の講師として、嶺北高校の生徒たちの自己実現をサポートする役割を担っていました。特に、理系科目の教科学習を補助することが期待されており、生徒一人ひとりの学力向上と目標達成に向けた支援を行いました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/02/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/lisjBp3EzHlnw-Vcpx_Om.webp"><figcaption>授業風景</figcaption></figure><h2>現役時代に印象に残っている出来事や成功体験について教えて下さい。</h2><p>最初は「教えよう」「教えられるようになろう」と必死に考えていましたが、地域唯一の高校であり、全国から集まる生徒たちの学力は非常に幅広く、一様ではありませんでした。</p><p>最初は無理に講義を進めていましたが、次第に「一緒に考える」というスタイルにシフトしました。特に、いわゆる勉強が苦手な生徒たちに対しては、視点を合わせてかみ砕きながら、「わかる」ように伝える能力を磨くことができたと思います。このアプローチが、生徒たちに気づきを与える大きな力になったと自負しています。</p><p>当初、採用担当者の期待していたパフォーマンスではなかったことを直接言われたこともありましたが（笑）、上位層をサポートできる仲間が加わったこともあり、結果的には非常に良かったと感じています。生徒たちとの対話を通じて、自分自身の成長も実感できた貴重な経験となりました。</p><h2>活動中に直面した課題や、それをどのように乗り越えたかを教えてください。</h2><p>当初、理系専門科目や難関大に通用する数学の指導を期待され、それに応えようと愚直に努力しましたが、すぐに限界を感じるようになりました。熟達するにはかなりの時間を要すること、そして何より、学生時代に教科学習が苦手だったことを思い出したからです。このままでは生徒たちに十分な指導を提供できないと感じました。</p><p>そこで、改めて自分が生徒たちに提供できる価値とミッションの本質を考えました。すると、教科学習の重要性はあまり重視せず、むしろもっと大事なこと、つまり生徒一人ひとりの自己実現に資することが必要だと気付きました。具体的には、面談やキャリア教育に力を入れることがその一歩だと考え、方向転換を決意しました。</p><p>直属の上司に相談したところ、教科学習よりもそのアプローチを期待していたと言われ、背中を押してもらったことで、自分のスタイルを確立することができました。この経験を通じて、生徒一人ひとりに寄り添った支援がいかに重要かを学びました。</p><h2>地域の人々や自治体との関わりの中で、学んだことや感じたことはありますか？</h2><p>地域の学校教育が廃れることは、地域全体の衰退を加速させると強く感じました。この地域は、子育て世代の移住者が多いことが特徴です。その背景には、自然豊かな環境で子育てしたいという思いがあり、行政からの手厚い支援も重要な役割を果たしています。しかし、それだけではなく、高校が地域内にあることの重要性も大きいと感じています。</p><p>もしもこの地域から高校がなくなってしまえば、高校進学のタイミングで、子どもを一人暮らしさせるか、家族全体で引っ越すことを選ばなければなりません。その際の経済的なコストを考えると、最初から高校まで整った地域に住んだ方が良いという判断をする家庭が増えるでしょう。つまり、地域に高校が残ることは、地域の活力を保つために非常に重要です。そのためには、高校の魅力化を進め、進学者数を維持・向上させていくことが必要だと強く感じています。</p><h2>卒隊後のお仕事について教えてください。</h2><p>卒隊後、私は高校魅力化を推進する一般社団法人に継続雇用され、事務局次長として活動しています。協力隊の途中から、塾の仕事に加え、事務局の仕事も担当するようになり、現在は主に全国の中学生やその保護者に向けた嶺北高校の紹介や体験プログラムの構築を行っています。また、進学し入寮した県外生の研修や面談でのフォロー、さらに地域向けのプログラムの企画・実施も担っています。</p><p>一方で、地域おこし協力隊の空いた時間を活用して、高知県の特産である柚子の未利用部分を使った精油の製造・販売を個人事業として行っています。オンラインでの販売に加え、最近では地域の道の駅にも商品を置いていただけるようになりました。地域資源を活用しながら、持続可能なビジネスを展開しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/02/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/yhKImonfzGlGtbxJiOsvO.webp"><figcaption>ゆず収穫</figcaption></figure><h2>卒隊後の進路に、最も影響を与えた出来事や考えは何ですか？</h2><p>最も影響を与えたのは「人との出会い」です。職場の仲間や先生方、役場の方々、そして地域の方々との出会いはもちろん、何より未来ある高校生たちとの関わりが今の自分を作り上げていると感じています。</p><p>関わった生徒たちに少しでも力になりたい、送り出した生徒たちが遊びに来る場所を作りたい、そして生徒たちのロールモデルの一人でありたいという思いが、私を高校魅力化の仕事へと導きました。この思いを大切にしながら、今も高校魅力化の仕事を続けつつ、個人事業を行っているのもその一環です。</p><h2>協力隊時代の自分と今の自分を比べて、どのような成長を感じますか？</h2><p>協力隊時代と今を比べると、「協力者をつくり、一緒に作っていく」という点で大きな成長を感じます。以前は、一人で抱え込み、一人で考え、一人でなんとか実行することが多かったですが、それでは誰にも届かない、インパクトのないものばかりを生み出していたと感じています。</p><p>しかし、時間が経つにつれて、応援してくれる人や、一緒に楽しんでくれる人が増え、卒隊直前くらいにはやっと「協働」という形で活動できるようになったと実感しています。この変化が、私にとって大きな成長の証だと感じています。</p><h2>今後の展望や目標があれば教えてください。</h2><p>本業では、県外からの進学者募集については方法がだいぶ見えてきましたが、地域内の中学生たちへの関わりがまだ希薄だと感じています。そこで、地元中学生たちが「行きたい！」、保護者が「行かせたい！」、地域の方が「応援したい！」と思うような魅力的なプログラムや施策を作り出し、彼らにとっても手に届く存在となるよう努力していきたいと考えています。</p><p>個人事業においては、商品開発に注力していきたいと思います。現在の精油商品は購入のハードルが高く、特にアロマを使う文化が根付いていない地域では、さらにその障壁を感じます。そこで、より身近に感じてもらえる商品作りを進めていき、プレゼントにも適したアイテムを開発することで、より多くの人に手に取ってもらえるようにしていきたいと考えています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/04/02/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/-NkWkJJE3emtUhijma097.webp"><figcaption>柚子精油</figcaption></figure><h2>今後地域おこし協力隊を目指す人にアドバイスをお願いします。</h2><p>もし「田舎でスローライフ」を目的としているのであれば、地域おこし協力隊はお勧めできません。協力隊の活動は、自分の熱量を注げるミッションや業務に取り組むことが求められます。そのため、自分の志や熱意に共感できる仕事かどうかをしっかり見極めることが非常に重要です。志のある方々は地域に長く根付きますが、そうでない場合、長続きしない可能性が高いです。</p><p>また、合うか合わないかは実際に生活してみないとわからない部分も多いので、やってみたい業務があれば、まず飛び込んでみるのが一番です。最初は不安もあるかもしれませんが、一緒に楽しみながら、地域の魅力を実感していきましょう！</p>

ワープシティ公式

地域おこし協力隊の経験は、その後のキャリアや人生にどのような影響を与えるのでしょうか？

ワープシティでは、OB・OGへのインタビューを通じて、現役時代の業務内容や得たスキル、卒隊後のキャリア、地域との関わり方についてご紹介します。

地方での起業や就職、地域コミュニティとの関係など、リアルな体験談をお届けし、これから協力隊を目指す方や、受け入れを検討する自治体の参考となる情報を発信します。

協力隊の「その後」を知ることで、あなたの未来のヒントが見つかるかもしれません。ぜひ、ご覧ください！

土佐町

高知県

出身地：神奈川県横浜市、地域おこし協力隊として活動していた自治体名：高知県土佐町、任務期間：2021年9月～2024年8月、協力隊になる前の仕事：カラオケ屋の社員、現在の仕事：教育・アロマ製造販売

菅原 和仁

#8 地域の高校の魅力化 ― 若者の未来を支える教育活動の重要性

<h2><strong>高知県への移住から土佐町に住むまで</strong></h2><p><span style="color:rgb(38,38,38);">東京都渋谷区で育ち、大学卒業後、メーカーの営業として東京で就職しました。約５年間勤務しましたが、仕事にも慣れ、変化のない毎日にモヤモヤしていました。</span><br><br><span style="color:rgb(38,38,38);">そんな時、高校時代の友人が東京から高知県四万十市に移住したことを知り、その友人に会いに行くことに。この時初めて高知県を訪れました。友人は、夏は川のガイド、冬は林業と季節ごとに仕事を組み合わせていて、それが私には「<mark class="marker-yellow">人間らしい暮らし</mark>」に思えたことを覚えています。</span><br><br><span style="color:rgb(38,38,38);">友人の勧めもあり、2015年、四万十市で地域おこし協力隊として働くことを決意し移住しました。協力隊の活動として、地元の農産物の販路拡大、炭焼き、藁編み、竹編みなどの伝統的な地域資源を後世に残す手伝いをする傍ら、プライベートで林業に携わり、地元の方に協力していただきながら間伐現場を1件仕上げました。</span><br><br><span style="color:rgb(38,38,38);">地域おこし協力隊3年目に、同じく協力隊として本山町で林業に従事していた夫と結婚。私は四万十市の協力隊を卒業して本山町に移り住みました。夫の協力隊の活動任期終了後についてどうするかを話し合い、夫婦で林業をすることを決意しました。</span></p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/26/qARYnBe5dUEiLksYfZrAt/hBD1tH32YN0xIeUJz4MQM.webp"></figure><p><span style="color:rgb(38,38,38);">翌年、夫の協力隊の任期も終了。時期を同じくして、お隣の土佐町の方から林業を営んでいくのにピッタリな空き家を紹介してもらい、土佐町へ移り住みました……</span></p><p><span style="color:rgb(38,38,38);"><strong>👇インタビューの続きは、高知県移住ポータルサイト「</strong><mark class="marker-yellow"><strong>高知家で暮らす。</strong></mark><strong>」でご覧ください😉</strong></span><br><a href="https://kochi-iju.jp/interview/details_1372.html"><strong>https://kochi-iju.jp/interview/details_1372.html</strong></a></p><p>&nbsp;</p>

ご夫婦で理想の林業を実現するため、土佐町へ移住された久松さんにお話を伺いました✨

東京で営業職を経験後、友人の影響で四万十市の地域おこし協力隊として活動。伝統文化の継承や林業に携わり、夫と出会い結婚。現在は土佐町に移り住み、集落支援員として活動しています。

土佐町

土佐町の移住体験談一覧：2件

#8 地域の高校の魅力化 ― 若者の未来を支える教育活動の重要性

【高知県土佐町】理想の林業がそこにあった。夫婦で林業に関わる暮らし。

#8 地域の高校の魅力化 ― 若者の未来を支える教育活動の重要性

【高知県 土佐町】理想の林業がそこにあった。夫婦で林業に関わる暮らし。

【高知県土佐町】理想の林業がそこにあった。夫婦で林業に関わる暮らし。