移住者プロフィール
松森 拓郎さん
移住時期
2018年3月
出身地:静岡県、現住所:富山県砺波市、農業法人「センティア」勤務
目次
INDEX
砺波市に移住した経緯をお聞かせください
松森 拓郎さん(以下、松森):以前、神奈川県茅ヶ崎市の「農業水産課」に所属し、農家さんへの「補助金申請のサポート業務」などを行っていました。農家さんと話をしたり、農作業をしているうちに、自分で農業をやりたくなってしまったんです。善は急げと、早速、農業をしながら暮らせる地域を探し始めました。
最初は、山梨や長野も候補に挙がっていましたが、妻の実家がある富山県に絞りました。東京で開催されている移住フェアに参加して、情報を収集しました。
並行して、富山県内の農業法人を探していたところ、砺波市にある「センティア」に出会いました。東京や神奈川の花屋を巡ると、同社のチューリップが店頭に並んでいて、衝撃を受けました。よく調べると、ボックス栽培や移動式ベンチの導入など、新しい技術に果敢に挑戦されていたんです。その姿勢に強く惹かれ、面接を受けました。
農業法人でのお仕事についてお聞かせください
松森:最初は、チューリップのウイルスチェックや米の育苗を教わることから始まりました。その後は田植え、球根の掘り取り、小菊の栽培・出荷、稲刈り、来春用の球根の植え込みなど、さまざまな農作業を経験しました。機械化がどんどん進んでいて、最初に自分が描いていた農業のイメージとは違いました。
戸惑いはありましたが、面白いです。ボックス栽培とは、大型のプランターに球根を植え、それを冷蔵庫で保管し、開花させたい時期に合わせて、温室の中に入れて、開花調整を行う栽培方法です。そしてつぼみが開く前の花を収穫し、箱詰めをして出荷します。今、行っているのは、花の収穫作業です。
次から次へと新しいボックスが目の前に運ばれてくるので、「時間との戦い」ですね。生産性を意識しているので、より少ない時間で、多くの花を収穫できたときが喜びです。昔から、公園や植物園が好きなので、土や植物に触るとリラックスできます。
仕事中はリラックスしている場合ではありませんが(笑)。住む場所、働く場所、周りの人、すべてが新しい環境の中、ゼロからコツコツと積み上げている最中です。
好奇心に従って挑戦し続けるバイタリティはどこから育まれたと思いますか?
松森:実は、生まれ育った静岡だけでなく、神奈川、千葉、京都と、さまざまな土地に住んだ経験があるんです。新卒で就職した会社が倒産し、「1年間休もう」と、バッグ1つ持って、身寄りもない京都へ行き、府庁の教育委員会でアルバイトとして働きました。
そこで、公務員の仕事の面白さを知り、大学時代に住んでいた神奈川県茅ヶ崎市の市役所職員の試験を受け、同市収納課に所属しました。東日本大震災の時には、被災地である岩手県陸前高田市に派遣され、1年間仮設住宅で暮らしながら、区画整理の仕事に携わったこともあります。これまでの経験がそうさせてくれているのでしょうか。
砺波での暮らしについてお聞かせください
松森:一言で言うと、移住してよかったですね。妻と共に暮らしているアパートの近くには、スーパーやドラッグストア、図書館などがあって、便利さでは神奈川に住んでいた時とそんなに変わりません。人ごみや満員電車がないのもいいですね。
道が広くて、気持ちがリラックスでき、余計な誘惑がないので、仕事と家族に集中できる環境です。「よりシンプルに生きられる場所」です。
今は、仕事を覚えることに精一杯で、まだ地元の人々とは触れ合う機会がありませんが、もっと地域の行事に携わってみたいです。何事もやってみないと分からないですから!