移住者プロフィール
髙田 望さん
移住時期
2020年4月
出身地:東京都 、前住所:東京都、現住所:長崎県壱岐市、職業:写真家
目次
INDEX
壱岐に来るまでは何をしていましたか
髙田望さん(以下、髙田):写真作家を育成するコースがある渋谷の写真専門学校に進学し、3年間写真の勉強をしていました。卒業後はこのまま作品を作り続けようと思い、特に就職活動はせず、5年ほどアルバイトを掛け持ちしながら生活していました。
2017年に、祖母の家がある青森県三戸町の風景をテーマにした作品が公募で入選し、新宿と大阪のニコンサロンで1週間ずつ個展を開催しました。
個展を開催したのが27歳、この時までは写真の職歴がありませんでした。前職の美術品オークション会社が、 未経験でもOKなカメラマンの募集をしていたのでアルバイトとして入社し、契約社員を目指して働いていました。
仕事や職場はとても楽しかったのですが、体力的にとてもしんどくて……。2年勤めて履歴書に書ける職歴ができたので、30歳を機に転職をしようと考えていました。
約6年の歳月を経てようやく目標としていた個展を開催できた ※本人提供
どのような経緯で壱岐を知りましたか
髙田:2019年4月に、福岡に住む友人に会うための旅行を計画していて、博多から行ける観光地を調べていた時に壱岐を見つけました。初めて壱岐に来島してから、東京に戻った後も「また壱岐に行きたいな」と思い出すほどお気に入りの場所になりました。
当時は「いつか暮らせたらいいな」くらいだったのですが、だんだんと移住に気持ちが傾いた時に、パートナーと2019年11月に1週間お試し移住も兼ねて滞在しました。この時に地域おこし協力隊の募集を知りました。
滞在中に壱岐の仕事も色々探してみましたが、医療や福祉など資格が必要な仕事が多く、自分が持ってるスキルを活かして壱岐で働けるのではと思い、協力隊に応募しました。
壱岐の写真作品。どこか“懐かしさ”を感じ、よく見るとその土地特有のストーリーがある。 ※本人提供
島外で暮らした経験が今の暮らしに生きていることはありますか
髙田:さまざまな人に会って色んな意見を聞いたことですかね。人と出会う機会が多いのは都市部ならではですよね。私は場所や出来事よりも、人と関わったことで人生が変わってきてるんだろうなぁと、振り返って気づくことが多いです。
例えば写真を学ぼうと思ったのも、高校生の時に仲が良かった同級生が、美大のオープンキャンパスに行こうと誘ってくれて、その時に「やっぱり私はこういうのが好きなんだな」というのを思い出したことがきっかけでした。
小さい頃から美術が好きで、手を動かして物を作る時間も好きだったので、こうして写真を続けられているのは楽しいし、嬉しいです。
あなたが思う壱岐のイチオシの場所はどこですか
髙田:印通寺港から久喜漁港を抜けて海沿いを走り、海豚鼻から初山に向かうルートが好きです。 海も山も好きなので、「島」はその全部がある。岩がゴロゴロしてて、海があって、木が茂っていて、私がイメージするような島の風景をこのルートを通る時に感じます。島っぽさを感じたい時によく通りますね。
これから壱岐でどんなことをやっていきたいですか
髙田:デザインや写真の仕事が「よく分かんない」じゃなくなるといいなと思ってます。 移住当時、クリエイター系の職業が壱岐にあまりなかったんですよね。
なので、自分達が出来ることをやり続けて「壱岐でこういうことやってる人がいるんだ」と外から人が来てくれたり、島内で興味を持って「やってみたいです!」という人が増えたり、そんなきっかけになったらいいなと思っています。
ゆくゆくは、キンコーズのようなちょっとした作業の出来るスペースが作ったり、「こういうことやりたいんだけど……」と気軽に相談に来てもらえるような場所作りをしていきたいなと思ってます。パートナーが画家なので、子どもたちが絵を習いに来たりとかも良いかなと考えています。
あなたにとっての壱岐を一言で表すなら
髙田:始まる場所かな。 壱岐に来てから色んなことが始まったので、壱岐に来たらきっと何か始まると思います(笑)。誰かや何かが、人と人のハブになってどんどん繋がって、3人以上集まったら何かが始まる。そんな気がします。ゆっくりしたいと思って来たけど、想像よりゆっくりしてないですね。
あと、壱岐に来てから発想の軸が自分以外になったと思います。昔は「お金も大事だけど、自分の写真が撮りたい」という己の欲求を常に優先させていたけれど、今は「こういうことをやったらいいのかな」と他の人と一緒に動けるようになりました。大人になりましたね(笑)。