移住者プロフィール
粉川 妙さん
出身地:兵庫県加古郡播磨町、前住所:イタリア、現住所:山口県山口市、職業:地域おこし協力隊
目次
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山口市へ移住した経緯を教えてください。
粉川妙さん(以下、粉川):出身は兵庫県加古郡播磨町です。大学卒業後、製薬会社に就職し、営業として充実した忙しい日々を過ごしてきましたが、転勤、残業、週末の付き合いなどで時間を拘束されることも多く、「この仕事を一生続けられるのだろうか…」と考えるようになりました。
そんな時に旅行で訪れたイタリアで、人と人との繋がりを大切にする文化に触れて興味を抱きました。3ヵ月後、イタリア中部の町、シエナに短期の料理留学に行き、帰国後イタリア語の勉強を始めました。
1年半後には本格的な料理留学のために、再度イタリアを訪れ、その中で、イタリア人の夫との出会いもあり、2016年8月までイタリア中部の町、スポレートに暮らしていました。
アーティストである夫の仕事で日本を訪れたことをきっかけに、夫の方から日本に移り住んでみたいと言われ、以前から気になっていた地域おこし協力隊を、山口市で募集していることを見つけて応募。
面接で訪れたのが初めてだった山口市でしたが、一の坂川周辺の歴史ある文化的な街並みを見て、「私がイタリアで得た料理や観光ガイドの経験をまちづくりに活かせる場所だ。主人もきっと気に入ってくれるはず!」と直感し、移住を決意しました。
現在の状況と移住後の感想を教えてください。
粉川:地域おこし協力隊員としての自分のテーマは、大殿地区にて「アートで交流人口を拡大する」こと。そのために、得意の“食”を活かした取り組みを行うこともあります。
12月に大路ロビーで行われた「大路あかりさんぽ」では、イルミネーションとフィンランドの伝統的な装飾品である”ヒンメリ”の手作りワークショップの組み合わせを、プロジェクトマネージャーとして企画し多くの方に参加していただきました。
山口の魅力を教えてください。
粉川:山口市は教育機関や文化施設が充実していて、かつ、人がゆったりと過ごすことが出来る街。歴史も長く、自然も豊富で魅力的なスポットがたくさん。
同時に、そういった観光資源をまだ活かしきれていないのがもったいない。山口の人は、とても勉強熱心で、東京など他都市の良いところを吸収しようとするけれども、反対に自分たちのことを発信するのが苦手な奥ゆかしいタイプが多いのでは?もっともっと外に向けて山口市の魅力を宣伝して、より多くの人に知ってもらいたいと思っています。
山口に住んで戸惑ったことはありましたか?
粉川:家に帰ったら、おばあちゃん達が縁側でお茶を飲んでいたこと(笑)。後で聞いたら、大家さんの庭の手入れを手伝っていた方々で、おかげさまで綺麗な日本庭園を楽しんでいます。
山口に来てよかったことは?
粉川:最近蛍かご作りのワークショップで訪れた徳地の串地区が、とても素敵でした。地元の方による「ゆたかな串を育てる会」は、月に1回イベントを催していて、地域のコミュニティーが活発。市の地域交流センターの職員さんのフォローも厚く、地域の自治組織と市がしっかりと協力できていると実感しました。
今住んでいる大殿地区にある自宅の庭もお気に入りです。日本家屋の離れを借りていますが、日本庭園に癒されます。
今後の展望についてお聞かせください。
粉川:12月の「大路あかりさんぽ」でのワークショップからアイデアを得て、5月には麦わらを使った蛍かご作り、6月3日のほたる祭りでも、「大殿ホタルを守る会」とのコラボレーションイベントも予定しています。蛍かごは、かつて農村などで麦わらを使って作った虫かごで、蛍が飛び交う時期には蛍を入れては、その灯りの趣を楽しんだようです。
”ヒンメリ”の材料である麦わらは、南部の名田島から別の協力隊員が提供してくれたもの。蛍かご作りは北部の徳地 串地区で89才のおばあちゃんから教えてもらったもの。
山口市内の異なる地域にある、それぞれの資源や技術をつないで、新しい文化を創っていく「つむぎプロジェクト」。これに今後は、自分の専門である「食」を加えていったり、自分のプロジェクトに加えて、他のプロジェクト運営者とも協力してイベントを企画していき、それを文化として定着させることで、交流人口の増加、更には定住人口の増加にもつなげていきたいと考えています。
移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスをお願いします。
粉川:移住を決意する前に現地を訪れて、「この街と自分は合いそうか」まずは心で感じてみてください。その際、市の定住促進課の職員や近所の方、もしくはそのエリア在住で親身に相談にのってくれる人がいたら良いと思います。
出典: 先輩移住者の声 粉川妙さん