移住者プロフィール
尾前 翔平さん
出身地:宮崎県椎葉村、現住所:宮崎県椎葉村、職業:林業
尾前(おまえ)翔平さん(以下、尾前):大学を卒業後、椎葉村の実家へ戻り、近隣の美郷町にあるみやざき林業大学校へ通って1年間の研修を受けました。その後、椎葉村内にある株式会社尾前林業へ入社し、今年で4年目を迎えます。基本的な業務は、スギやヒノキを切り倒して丸太にし、市場まで運ぶこと。
椎葉は特に山が急で機械が入れないので、木を手で切り倒します。今後もそれはずっと変わらないと思います。重たい資材を人力で運んだりもします。林業でも機械化が進む一方で、急峻な椎葉の斜面で、一般的な山と同じように機械を導入するのは困難なことが多いです。どうしても「人の力」が不可欠です。
今はドローンで架線張りなどはやっています。将来的には、もう少し人の負担を減らすような、例えばドローンで重たい荷物も運べるようになったらいいですね。
林業は大変そうなイメージがあります。お仕事の満足度は?
尾前:100点です!体を動かすことが好きで、山も好き。本当に好きな場所で好きなことを仕事にしているという感じです。大学4年生の時、周りの友人たちのように就活をせずに、椎葉へ戻ることを決めました。
「山で仕事がしたい」という思いを強く持っていたからです。役場の農林振興課に勤めていた父に相談したところ、林業の若い担い手が少なくなっていることをよく知っていた父が、林業大学校で学ぶことを勧めてくれ、後押ししてくれました。会社の待遇が良く、給料や作業服もかなり支給してくれ、仕事の車も1人に1台用意してくれています。
尾前林業の尾前社長は、「林業をしに若い人が来てくれるんだから、他に劣らない十分な待遇を」という思いで体制を整え、迎え入れてくれました。こうした手厚い受け入れ先があるということはとても心強く、同時に安心して故郷に帰れるきっかけにもなりました。
休日はどのように過ごしていますか?
尾前:休日の楽しみは、渓流釣りと、猪狩り。最近のお気に入りはフライフィッシングです。近くの川まで降りて、エノハ(ヤマメのことを椎葉ではこう呼びます)を狙います。
猪狩りに関しては、猟友会にも所属していて先輩方と一緒に活動しています。犬を先輩たちが※養っていて、その犬たちがイノシシを見つけて追い詰めて、獲る。やっぱり獲った瞬間が一番おもしろいですね。
※椎葉では、犬を「飼う」のではなく、「養う」といいます。それは、人と動物の関係が「可愛がる」ことだけを目的とした「飼い主とペット」ではなく、犬や牛や鶏などが猟犬や家畜として、ずっと昔から人の生活を助ける糧となってきた証とも言えます。
椎葉での暮らしで不満に感じていることはありますか?
尾前:やっぱり街まで遠いところですね。専門の病院に行くにも1日休みをもらって行かないといけないし、買い物も不便です。近隣の市街地に出るには、車で最低1時間半。
その距離が時には大変だと感じることもあります。しかし、逆に言うとそれが椎葉の魅力でもあります。遠くて隔離されているけど、それが良いというか。唯一無二じゃないけれど、独自のこの感じがいいですね。
やっぱり人と人がみんな知り合いで、そういうところが一番いいです。私が住んでいる尾向地区は、椎葉村の中でも、特に地域の結束が強く、活気のある地域性を持っていると思います。
地区独自の行事も多く、村内でも指折りで飲み方(飲み会のこと)が多いことで知られるほど、酒豪揃い。地域の行事には全部参加しています。ここに居るからには参加せんといかん!それに、みんなで会うことが楽しいんです。
間違いなく、椎葉で一番飲んどるはずです(笑)最近はコロナ禍でなかなか集まる機会を持てないのが、本当に残念です。
この地に生まれ、この地を愛する、未来の子どもたちへ
尾前:椎葉は広いけど、ほとんど知り合い。そこがいいです。街の人からしたら、絶対住みたくないっていう人もいるかもしれませんが(笑)私は生まれ育った椎葉という土地を、心と体、両方で愛しています!
椎葉村の未来、どうなっていくといいですか?
尾前:子どもが多くて、ワイワイしてればいいですね。自分が小さい時は子どもが結構いて、休みの日は小学校で遊んでいました。やっぱり活気がありましたね。
今は子どもが少なくなっています。地域全体が子どもたちで溢れるようになればいいと思います。