移住者プロフィール
堀川 愛理さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
香川県土庄町の地域おこし協力隊、趣味・特技:絵日記・イラスト
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
私は元々、大学病院の医療ソーシャルワーカーとして働いていました。病気やケガが原因で生活に困りごとを抱えた方の相談に応じ、その人がその人らしく生きていくための環境を整えるお手伝いをする仕事です。
やりがいもあり不満はなかったものの、経験を重ねるにつれて「病気や怪我になる前に、出会えていれば…」と思うことが増え、社会福祉士としての活動のフィールドを〈医療〉から〈地域〉へ移行したいという気持ちが芽生えていました。
そんな頃、新型コロナをきっかけに地方移住を決意しました。移住先を〈小豆島 土庄町〉と決めた後、「さて、仕事はどうしよう?」と。一旦無職になってもいいか…なんて思っていた時に、移住相談に乗ってもらっていたNPO法人トティエから一通のメールが届きました。
そのメールに導かれるまま、地域おこし協力隊のオンライン説明会に参加すると、自分のやりたかった〈地域福祉〉に関係が深そうな求人がありました。「自分のやりたかったことで、移住をサポートしてくれた島の方々へ恩返しができるならば、やらない選択肢はない!」そんな気持ちで、即決し、締め切りギリギリに履歴書を送りました。
香川県土庄町を選んだ理由について教えて下さい。
地方移住を希望するよりずっと前に、友人と、たまたま小豆島に旅行に来たことがありました。離島というワクワク感、目に飛び込んでくる美しい景色、島で出会った島民の人柄など…今振り返っても「あれ以上に楽しかった旅行があっただろうか?」と顔がほころぶくらい、本当に楽しかったんです。
それから月日が経ち、世の中にやってきた新型コロナウイルス感染症、大阪市内の小さなマンションの一室で暮らしていた私たち家族にとって、これからの生き方を考えるきっかけとなりました。毎晩のように夫と家族会議を重ね、「地方移住をしよう」と覚悟を決めました。
移住先を考える際、条件をあげていきました。『実家(大阪)に半日で帰れるところがいい。』『せっかくなら海も山も捨てがたい。』『田舎で暮らしてみたいけど、ポツンと一軒家すぎるのは怖い。』などです(笑)。
そんな私たち夫婦の希望を全て叶えてくれた場所が、ここ土庄町でした。SNSで繋がった友人のサポートもあり、まさに「エイ、ヤー!」の気持ちで飛び込みました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私が担当している内容は〈空き家の掘り起こしおよび有効活用〉と〈移住定住促進〉の2つです。子育て移住・空き家コーディネーターという肩書で活動をしています。
空き家に関する活動では、隣町の地域おこし協力隊である山本さん(宅地建物取引士)やNPO法人トティエの仲間たちと共に、空き家所有者向けの総合相談窓口『空き家お悩み相談室』を立ち上げました。開設直後より「空き家を活用したいが何からどうしていいか分からない。」「片付けができていないので活用を諦めている。」などの相談を多数いただいています。
「お家=家族の思い出の詰まった大切な財産」ということを大切に、相談者の想いに寄り添い、納得のいく活用ができるよう伴走支援を行っています。今後は、終活の視点も織り込んだ出張講座やイベント企画にも力を入れていく予定です。
移住定住促進に関する活動では、特に「子育て世帯」にフォーカスして活動をしています。子連れの地方移住はなかなか大変だったからです(笑)。
そんな自身の経験を生かして、子育て世帯の移住を全面的にサポートしたい!と強く思っています。具体的には、島の子育てを紹介するガイドブックの作成や、SNSを活用した情報発信、子育て世帯の繋がりを創出するための交流イベントの企画運営などです。
どちらも自分の興味関心に深く関連するものなので、毎日がとても充実しています。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
地域の多方面の方と繋がり、自分の活動を応援してもらえることです。
大阪にいた時は、自分の存在なんてあってもなくてもいいような、ちっぽけなものだと思っていました。でもここにきて、地域おこし協力隊になって、その気持ちは大きく変化しました。
まず、地域をまとめ引っ張っているような、俗に言う「えらい人たち」との面識ができました。「期待してるよ。」なんて声をかけていただくと嬉しく、気合が入ります!
日々の暮らしの中でも、ご近所のおばちゃんや、娘が通うこども園の先生に「広報の記事読んだよ!頑張ってるね!」と声をかけてもらったり。これまでの人生では考えられないことです…(笑)。
私にとっては、ただ自分のやりたい仕事をしているだけなのに、それを喜び、応援してくれる人がたくさんいるんです。「この地域の役に立てることがあるのかも」そう思えるということは、「この地域に居ていいよ/居てほしい」と受け入れてもらえている気がします。
私にとっては何よりの支えであり原動力になっています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
同じ“地域おこし協力隊”でも、活動ジャンル、エリア、所属などによって活動内容や体制が大きく違うことには驚きました。これまでの私は、仕事というものは上司や先輩に業務を習い、こなすというイメージでした。
でも地域おこし協力隊は、「自分で道を切り開き、周囲を巻き込みながら、問題に立ち向かっていく」という感じです。自身に課せられたミッションや課題意識、目標、自分の立ち位置などを常に意識してアンテナを張っておかないと、何をしたらいいのかを見失い、流されてしまうだろうな…と思います。
そこはいつも忘れないように意識しながら、活動することを心がけています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
まだまだ構想段階ですが、コミュニティーソーシャルワーカーとして活動したいという夢があります。社会福祉士として、年齢や性別、病気や怪我、障がいの有無に関わらず…小豆島に暮らす全ての人が、自分らしく安心して生きていくためのお手伝いができないかな、と考えています。
また、今地域おこし協力隊として担当している空き家の利活用や移住定住支援もその中に含まれると思っているので、立場は変われど、継続して取り組んでいくつもりです。
そのためにもまずは、地域おこし協力隊として人脈を広げ、地域の実態や課題、強みなどを正しく知るところから始める必要があります。真のニーズは何なのか?自分にできること、求められていることは何なのか?をしっかりと情報を集めて、準備をしたいと思います!
土庄町の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
これを言うと「なんで田舎暮らしに憧れたんや」とツッコミを入れられそうですが(笑)、私は虫が大の苦手です。覚悟はしていたけれど、田舎の虫は、想像以上に大きく生き生きとしていて、移住直後は「とんでもないところにきてしまった…」と毎晩枕を濡らしていました(笑)。
それでも私がこの暮らしを続けてこられたのは、寄り添ってくれるご近所さんの存在があったからです。私が家に虫が出た話をする度に「また洗礼受けたんか~!(笑)」と笑い飛ばしてくれて、「大丈夫かー?」とスキマ時間に様子を見に来てくれたり、たまらずSOSを出したら虫を退治しに駆けつけてくれました。
小豆島の人は、みんな本当に穏やかで面倒見が良いです。困っていたら、いつも「えいえい。なんちゃない。」(方言で「いいよ。このくらいどうってことない。」という感じ)と、不安や悩みを解消してくれる温かさがあります。
そんな人がたくさんいるこの島が本当に心地良くて、絶対に恩返しするんだ!と気合いが入ります。
土庄町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
香川県小豆島は、瀬戸内海に浮かぶ2番目に大きな島です。完全離島でありながら高松、神戸、姫路、岡山と結ぶ航路があり、利便性も抜群です。
私の住む土庄町は、スーパーはもちろんホームセンターや100円均一なども揃っていて、離島とは思えないくらい暮らしやすいです。観光業も盛んで、年間を通してたくさんの方が観光に訪れます。オリーブや醤油、そうめんなどが有名です。
そんな便利で賑わいがある一方で、豊かな自然環境にも恵まれています。穏やかにキラキラ光る海、山々、農村、漁村、採石場、棚田など…エリアごとに全く違った景色が見られるのも魅力のひとつです。
農村歌舞伎や虫送り、太鼓台巡り等の伝統文化が大切に継承されているのも島の自慢です。「自然の豊かさ」と「便利さ」、「古き良き文化」と「新しい風」。これらの絶妙なバランスが、小豆島・土庄町の魅力だと思います!
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
小豆島・土庄町には魅力がいっぱいあります!私は、本気でそう思っています。
でも感じ方は人それぞれで、実際に経験してみれば良い面も良くない面もきっとあると思います。移住した後にトラブルはきっとあると思います。
体調を崩すこと、思わぬ出費がかさむこと、不便を感じること、窮屈なこと、予期せぬ天災に合うことだってあるかもしれません。それは誰にも予測しきれないし、保証はできません。あなたの人生はあなたのもので、やっぱりそこは自己責任です。
でも…そんな運命を受け入れる覚悟と、「おかげさま」の謙虚さと、「ピンチをチャンスに変える」前向きな気持ちがあるならば、私は『大丈夫、何とかなるし、何とかしてあげるからとりあえずおいで。』と心から伝えたいです。
これを読んでくださったあなたと、ここ小豆島・土庄町でお会いできることを楽しみにしています!!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2