移住者プロフィール
長谷川 翔亮さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
宮城県女川町の地域おこし協力隊、趣味・特技:磯遊び・潮干狩り・データ分析
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
私は現在、二枚貝の稚貝を養殖事業者向けに生産する技術、いわゆる種苗生産技術の確立に取り組んでおり、この技術を基に起業を目指しています。まだ商材として事業展開できる段階ではなく、まずは技術開発が必要です。そのため、目先の生活資金や運転資金の確保が喫緊の課題となっています。
さらに、このような事業を行うためには、海水と電気を使用する研究拠点を設立する必要があり、そのためには漁港の一角などの海辺の場所に根差すことが求められます。特定の海辺の地域に根を下ろすことは、私の事業成功にとって不可欠です。
地域おこし協力隊は、技術が確立するまでの間の生活資金を確保しながら、特定の地域に根差すための貴重な機会です。この制度は、私の技術開発と地域への貢献を同時に実現するための非常に有り難い支援となります。このような理由から、私は地域おこし協力隊に応募しました。
宮城県女川町を選んだ理由について教えて下さい。
女川町は、私が最も関心を持つ二枚貝種の研究と生産に最適な場所です。養殖事業者向けに稚貝を生産するためには、顧客である養殖事業者の近くに拠点を置く必要があります。
私が関心を持つ二枚貝は28℃以上の水温に弱いため、昨今の海水温上昇を考慮すると、日本の将来的な養殖拠点は東北以北に移ると予想されます。したがって、私自身も北日本に拠点を構える必要がありました。
女川町は東北地方における貝類養殖の中心地である三陸地域の玄関口であり、三陸地方の各市町村へのアクセスが非常に良好です。また、投資家との面談やビジネスのために東京や仙台へ出向く際にも非常に便利な場所です。
さらに、女川町には個人的な知り合いもおり、親近感があるため、女川町を選びました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
現在は着任したばかりなので、まずは研究拠点の立ち上げに勤しんでいます。使われなくなった海辺の倉庫を再利用するため、倉庫内の清掃と、顕微鏡など器具の設置を進めています。
研究拠点が完成した後は、拠点内で二枚貝の産卵実験を繰り返し行い、二枚貝の稚貝生産技術の向上を目指します。毎日、拠点に通って必要なデータを取得し、そのデータを分析しながら次の実験計画を立てています。
研究拠点の設立や運営と並行して、将来を見据えた近隣地域の漁業者や漁協との関係構築にも取り組んでいます。地域の水産関係者が参加するコミュニティに加わり、自分の活動を広め、連携を深めていこうと考えています。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
地域おこし協力隊への参加をきっかけに、これまでの人生で接点がなかった地域に深く根を張ることで、新たな発見や自己成長を遂げられる点が、地域おこし協力隊の大きな魅力だと感じています。
例えば、食べ物に関しても新たな発見がありました。女川町に来て初めて、本当に美味しいホヤを味わうことができました。
ホヤは鮮度が落ちるのが早く、私の出身地である千葉県では美味しいホヤを食べることが難しいです。しかし、女川で食べたホヤは衝撃的に美味しく、「ホヤはこんなにも美味しいものなんだ」と感動しました。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
近隣の漁業者の皆さまと交流する中で、想像以上に異なる文化や考え方があることに気づきました。例えば、漁業者の方々が話している言葉は、時には理解できないことも多く、まるで外国にいるような錯覚を覚えることもあります。
このような予想外の体験も、新しい発見や自己成長をもたらしてくれる毎日の楽しさの一部です。新しい文化に触れながら、日々刺激を受け、成長を感じることができています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
私が地域おこし協力隊として女川にやってきた理由は、二枚貝の稚貝を養殖事業者向けに生産する技術、いわゆる種苗生産技術の確立に挑戦するためです。技術開発が成功した暁には、その技術を活用して起業することを目指しています。
技術開発の進捗次第ではありますが、理想を言えばこの種苗生産事業を卒隊前に立ち上げたいと考えています。将来的には女川に自分の法人を設立し、近隣の漁業者の皆さまに毎年稚貝を提供している姿が、私が目指している将来のビジョンです。
女川町の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
女川町は、移住者を含む若い人たちがさまざまな分野で活躍し、イキイキと活動している印象があります。これは単なる印象ではなく、地域の人々の考え方がその活気を支えているのです。
地元の水産企業の専務の方が話していたのですが、女川では震災復興に際し、「還暦以上は口を出すな!」という方針を徹底したそうです。若い世代が今後を担うという考えのもと、彼らが意思決定の主役となっています。この考え方により、若い人たちは地域のしがらみや人間関係に縛られることなく、自由に活動することができていると感じています。
女川町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
まずは、ぜひホヤを食べてみてください。東京などでホヤを食べて「まずっ!笑」と思った方も、ぜひ女川で本場のホヤを試してみてください。今までのホヤに対するイメージがきっと覆されるはずです。
女川町は水産業が主要産業の一つであり、ホヤだけでなく、カキやホタテなど、さまざまな水産物が豊富に揃っています。ホヤに限らず、水産物は鮮度が命です。大都市の高級寿司屋で食べるよりも、産地で新鮮な水産物を安く楽しむ方が本当に美味しいと感じています。ぜひ、女川で本物の味を堪能してください。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
メディアでは「地方」と一括りにされがちですが、日本は縦長で中央部に急峻な山脈を持つため、気候や風土、文化、さらにはご当地グルメも全く異なる多様な自治体が存在しています。
移住を検討している皆さまには、多種多様なニーズがあると思います。ぜひ、さまざまな自治体の話を聞きながら、自分の目指しているライフスタイルに合った自治体を選んでください。そして、若い人たちによる意思決定が尊重される環境や、ホヤをはじめとした新鮮な水産物、夏でも涼しい気候を魅力的に感じたら、ぜひ女川町へお越しください!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2