移住者プロフィール
林 美香さん
神奈川県横浜市から福井市へ移住した林美香さん。以前から田舎暮らしには興味があり、2019年に福井市へ移住。現在は、福井駅前にあるカフェ&レストラン「ULO」で運営に携わる傍ら、自宅の庭で家庭菜園を行うなど田舎暮らしを満喫中。
目次
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移住のきっかけ
主人の仕事の関係で、福井に出店が決まったことが移住のきっかけですね。私自身は神奈川県の横浜生まれ横浜育ちで、移住する前は「NHK」で技術者として番組制作などに携わっていました。主人は福井市出身で、恵比寿や銀座の飲食店を経営していました。ある時、福井でもお店を出さないかってお声がけ頂いて、福井市の高木に「カードル」というお店を出すことが決まりました。最初は、主人の部下にそのお店を任せようかと思っていたのですが、福井の県民性を考えた時に、福井市出身の自分がお店をやった方がいいんじゃないかって思って、主人が行くことにしたんです。それが福井に引っ越す2、3カ月前のことですね。結構直前の話でしたが、ちょうど前の仕事を退職した時期だったので、私も主人についていこうと思って、家族全員で移住することを決めました。
移住に対する不安はあったか
不安は全くなかったですね。移住する前から、主人の実家のある福井には何度も訪れていたので、福井の良さは知っていました。いつか住んでみたい、いつか田舎暮らしがしたいって思っていたので、いいきっかけでしたね。
ただ、子どもが中学3年と小学6年の歳だったので、卒業を待たずに転校することだけは心配でした。
福井へ戻ることを子どもに伝えた時はどんな反応だったか
めっちゃ嫌だって言われました。友達と離れることになるし、今まで住んでいたところが渋谷まで電車で20分の場所だったので、「109で遊びたいんだ」って。だから絶対嫌!って言っていましたね。
移住前に誰か相談した人はいるか
主人の友達もみんな福井を出てしまっていたので、周りに相談できる相手がいなかったですね。なので、YouTubeなどで活躍している「村上姉妹」さんに相談したことがあります。子どもの通う学校の学区などを調べていた時にInstagramで福井を調べていたら「村上姉妹」さんが出てきて、ちょうど質問コーナーをやっていたんです。そのコーナーを利用して「子どもと一緒に引っ越す場合、住むならどこがいいですか」って質問したんです。そしたら、すごく丁寧にお返事をいただいて。しかもアンサー動画まで作成していただいたんです。それにすごく感動して。今、その時にお薦めされたエリアに住んでいるんですけど、本当に住んで良かったなって思っています。
移住前、福井にはどんな印象を持っていたか
典型的な「田舎」って感じですね。都会の人が思い描く通りの里山というか田舎というか。海も近くて、山もあって、道も空いていて、信号が少なくて。本当にもう絵に描いたような田舎って思っていました。
移住後、その印象は変化したか
住んでみたら、意外と事足りるなって感じましたね。あんまり困ることがないって感じです。横浜に住んでいる時から、買い物とか洋服とかを全部ネットで済ますタイプだったっていうのもあるけど、福井でも同じように出来るし、何にも困らないなって思います。
実際に福井に住み始めて感じたこと・良かったこと
やたら長い満員電車がなくなって、通勤も15分で済むようになったので、時間にゆとりが持てました。1日が長いなぁって感じます。ゆとりの時間は自分の趣味だったロードバイクに乗る時間に充てたりしています。趣味の時間を持てるようになったのは移住して良かったと思えることの一つですね。
移住後、福井での生活はどうか
カルチャーショックはありましたね。家族全員のお弁当を作っているので、移住する前からスーパーには頻繁に通っていました。こちらでも同じようにスーパーに行くのですが、お店に売っているものが違います。まず油揚げコーナーが広い。あと、さつま揚げのことを「はんぺん」っていうんですよ。はんぺんって白いものなのに、、、って戸惑いましたね。(笑)
それから、意外と田舎の方だから物価が安いというわけではないんだなって感じました。例えば飲食店のランチ。東京だと1,000円で済むことが多いんですけど、福井だと1,500~1,600円ぐらいかかります。意外とちゃんと値段取るなって。大量に仕入れることが出来て大量に売ることが出来る都会との違いを値段で感じましたね。自身も店を経営しているので、原材料費の違いなどは身近に感じます。
ただ、良いほうに驚くことも多いです。旬のものが安く売られていて、タダ同然なのは本当に驚きました。それに、町自体がコンパクトでどこに行っても空いているのが良いですね。市役所も空いている、銀行も空いている、どこもかしこも空いている。横浜にいた頃は市役所に行ったら1時間待ちなんて当たり前でした。この前もパスポートの申請に行ったら、通常は2週間かかるところ、1週間で出来たんですよ。
あと、都会の方では行きたい場所が直線距離では離れていなくても、結局電車やタクシーで移動になってしまうから移動が意外と大変なんですけど、福井は車さえあれば全部回れちゃいます。
移住後の家族の反応など
移住してしばらくは、子ども達はやっぱり戸惑っていましたね。周りのお友達の喋る言葉の訛りとか。でも移住した後、たまに東京とか大阪に遊びに行くんですけど、子ども達は「疲れる」って言ってますよ。目も疲れるし、身体も疲れるしって。結局、”慣れ”なんでしょうね。
あと、学校の宿題がすごく多いんですね。その代わり塾に行かなくても成り立つなって親としては思いましたね。移住前は、塾ありきだったので、そういう意味では、教育費をそんなにかけなくてもいいなって感じました。
福井市の子育て環境に対する満足度
私には子どもが3人いて、移住前は幼稚園や保育園に預けるのにすごく苦労していました。やっぱり家から1番近い園に通わせたいんですけど、あまりに預けられる園がないので、園を選ぶことが出来ない状況でした。それでも定員から漏れてしまって預けられない、いわゆる待機児童ですよね。福井ではその待機児童がないって聞いています。それに、医療費の補助もちゃんとあるし、福井市の子育て環境はトータルの満足度はめっちゃ高いです。
今の生活で難しさや困ったことはあるか
雪はやっぱり嫌ですね。雪道の運転は慣れましたけど、雪かきはすごく疲れます。2018年頃、まだ横浜にいた頃に福井の大雪についてテレビで報道していたのを見たことがありました。国道でたくさんの車が立ち往生しているのを見て、「こんなとこ絶対住みたくない」って思っていたんですが、まさか翌年、自分がその場所に移住するとは思ってもいませんでした。(笑)
例えば、東京都で雪が降ると電車とか全部止まっちゃうんですけど、福井は雪に慣れているから当たり前のようにみんな動いていて、「これが普通なんだ」って思えます。それに引っ張られて嫌いな雪が降っても気が滅入ってしまうことはないです。
現在の仕事内容
東京と福井の両方でお店を経営しているので、そのサポートを行っていくこと、ですかね。事務的な仕事もしますし、接客も行います。前の仕事の時もお客さんとのコミュニケーションを大事にしていたので、元々接客とか人と関わる仕事が好きなんだと思います。
今後の生活における目標
田舎暮らしをとにかく満喫したいですね!その為に福井に来たので。広いお庭がある景色のいい家に住んで、日が昇ったら起きて、日が沈んだら寝る、極端に言ったらそんな生活がしたくて。仕事もやりながら、お家の庭で野菜育てて、採れた野菜が食卓に並ぶ、そんな生活に憧れています。実は、もう畑の準備は始めようと思っています(笑)。家の裏を全部畑にしちゃおうと思って。
それから、福井県内、県外の人を対象に“福井の良さ”を伝えていきたいですね。福井の人ってすごくシャイなので、自分の県の良さをなかなか自分から発信しないんですよね。奥ゆかしいというか。福井のみなさん言うんです、「よくこんな田舎に来てくれたね」って。でも私が福井はこういうところが良いって伝えると、みなさんだんだん口角が上がって「ほやろ(※)」っていうんです。それって絶対心の中では福井のことが大好きなんですよ。でもそれを表に出さないのはやっぱり県民性なのかなって。だからまずは私から福井の良さを発信していきたいですね。
※ 福井弁で「そうでしょ」の意味
福井市への移住を検討している方へのアドバイス
車の免許は絶対必要です。それから、ある程度の不便さを楽しむみたいな気持ちでいることですかね。私は割とどこでもやっていけるタイプだったので問題なかったのですが、不便さを楽しむ工夫は必要だと思いましたね。
福井は子育てにはほんとに良い場所なので、できれば子どもが小学校に入る前に移住できるといいかもしれませんね。
あなたにとって”福井”はどんな場所か
“ふるさと”ですね。どういう言葉にしたらいいかわからないけど、とにかく福井に住んでみてほしいです。遊びに行く場所ではないかもしれないけど、住むには最高だと思います。