移住者プロフィール
七尾 有紀さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
秋田県能代市の地域おこし協力隊、趣味・特技:読書、園芸、アロマアドバイザー資格
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
急な体調不良(原因不明の腰痛)により、やむを得ず退職しました。その後、半年が過ぎても療養が長引いていたため、移住(Uターン)を検討し始め、東京で開催されている移住相談会に参加するようになりました。
相談会では、故郷である能代市の移住定住推進窓口「のしろ暮らす」にて、丁寧なアドバイスやサポートをいただきました。その結果、東京での再就職をやめて、移住を決意しました。
移住体験ツアーなどに参加する中で、「のしろ暮らす」の担当の方から、地域おこし協力隊という就業の選択肢を紹介され、応募することを決めました。
秋田県能代市を選んだ理由について教えて下さい。
故郷を離れて30年以上が経過していたため、移住先としては他県も候補に考えていました。しかし、「のしろ暮らす」の担当職員の方々による相談会での丁寧な対応や、移住・定住のために尽力されている姿に触れるうちに、次第に能代市を選ぶ動機が固まりました。
また、当初は故郷とはいえ、すでに馴染みのない土地に来ているような感覚がありました。しかし、移住体験ツアーを通じて地元のさまざまな方々に紹介していただき、多くの話を伺う中で、次第に「ここなら生活していける」と感じるようになったことも、移住を決めた理由の一つです。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私自身も、移住相談でお世話になった移住定住推進課・移住定住相談窓口「のしろ暮らす」に、移住定住支援担当として配属されています。
東京や能代市で開催される「移住定住相談会」や「あきた就職フェア」、「のしろの暮らしと仕事フェア」、「能代山本移住定住相談会」などに参加し、「能代市移住体験ツアー」にも同行させていただくことがあります。また、能代市への移住(Uターン含む)を検討している方々に対して、私自身が移住前後に経験したことをお話しする機会もいただいております。
さらに、2ヶ月に一度ほど「のしろ茶話会(さわかい)」という移住後の女性を対象にした交流会を開催し、参加者の皆様から移住後のギャップや悩み、能代市の魅力、生活に関する情報交換などを中心にお話を伺っています。
また、日常生活の様子や能代市での暮らしについて、X(旧Twitter)やInstagramを通じて発信しています。
地域おこし協力隊のやりがいはなんですか?
協力隊になっていなければ、これほど多くの方々からお話を伺う機会はなかったのではないかと、日々感謝しています。さまざまな発見があり、それに喜びを感じる毎日です。自分自身の人生経験が、誰かの役に立つことがあるのも嬉しく思っています。
協力隊の活動に、これまでの経験をどう活かせるかを常に考えることが、自分にとってのやりがいへと繋がっている気がします。また、地域の方々に喜んで受け入れていただけるよう、馴染むまでの時間は「協力隊という名の移住者」であることを意識し、常に謙虚さを忘れないよう努めたいと思っています。
協力隊の活動の一環である移住定住相談会や移住体験ツアーで交流した方々から、実際に移住された後もご連絡をいただけることは、非常に嬉しいご縁だと感じています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
協力隊に限らず、地方に移住すると、思いがけない経費がかかることがあります。例えば、車の維持費や冬の暖房費、自治会費、寺社への寄進などは、東京での生活では想像もしなかったもので、これは実際に生活してみないと分からないことだと思いました。
また、協力隊としての活動方針がなかなか定まらなかったり、当初やりたいと思っていたことが、現地で本当に必要とされているか、実現可能か、協力が得られるかなど、不確かな面もあり、悩んだ時期もありました。
協力隊員それぞれで悩みの内容は異なるものの、根底に流れる問題点は共通しているのかもしれません。多様な相談先や相談相手を見つけることが、とても重要だと感じています。
それから、個人的な話ですが、腰痛が再発している今、協力隊に参加したのは早すぎたかな…と思うこともあります(笑)。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
現在、「のしろ茶話会」では会の後半にアロマのワークショップを取り入れています。回を重ねるごとに、アロマの魅力を実際に体験していただき、その魅力をもっと広めたいという思いが強くなりました。この経験を、卒隊後の仕事に活かせればと考え、アロマの体験型ショップやワークショップを開くことができたらと思っています。
実際に、借りた畑やプランターでハーブの栽培を始めており、将来的には蒸留体験などもできる場所にしていきたいと考えています。また、能代市二ツ井町で活動しているラズベリー研究会にも参加し、国産では珍しいラズベリーの栽培にも挑戦しています。
日常を豊かに支えてくれるアロマやハーブ、そして自然に囲まれた体験型の場所作りを目指しており、いつか能代市の「行ってみたい場所」のひとつになれたら嬉しいです。また、さらに可能であれば、民泊やゲストハウスとしてお試し移住体験ができる場所も作れたらと夢を描いています。
能代市の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
私が住んでいるのは能代市の中心市街地ではなく、東能代です。この地域には「鰄渕番楽」があり、伝統を復活させ、次世代に受け継ぐための保存会の皆さんが活動されています。
また、自治会もあり、地域のために地区会の皆さんが熱心に尽力されています。この東能代には親身になってくれる方々が多く、私はこの地域が大好きです。古くから住んでいる方が多い地域と、移住者が多い地域が交わる自治会は、移住者に対してとても寛容な雰囲気があるのも魅力です。
引っ越してきた当初、自治会の仕組みがよくわからなかった私は、回覧板に掲載されていた地区総会に突然参加しました。「誰???」という空気が漂う中、それでも皆さんは温かく迎えてくださり、総会の準備や参加を快く手伝わせていただきました。
鰄渕神明社の祭事の参道飾りについても、回覧板で知り、またしても飛び入り参加。初対面の地元の紳士たちが、ここでも快く仲間に加えてくださいました。
今年度は、住んでまだ1年少しの私に、婦人部の部長という大役をお任せいただきました。婦人部の皆さんも親切に何でも教えてくださり、おかげさまで滞りなく行事を開催できています。
櫓を組める方がいなくなり、盆踊りがなくなった夏祭りですが、今年は新たに「鰄渕番楽」の体験コーナーを設けることになりました。子どもたちに鰄渕番楽の魅力を伝え、かっこいい伝統を少しでも多くの人に受け継いでいただけたら本当に嬉しいです。
(ちなみに、私は鰄渕番楽の熱心なファンです。本当に素晴らしいので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです。毎年8月13日、鰄渕神明社でお待ちしております!)
能代市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
能代市は、空が広くて美しい街です。天高く広がる空と劇的な雲の美しさが特徴で、遠くには白神山地を望むことができます。積雪は比較的少ないものの、風が強い地域でもあります。
かつて「木都」と呼ばれた歴史あるこの街には、最近では※洋上風力発電の大きな風車が景色の一部として定着してきました。また、「風の松原」は砂防の松林でありながら、見事な景観を誇り、散歩にも最適な場所です。
観光スポットとしては、旧料亭「金勇」がおすすめです。天然秋田杉をふんだんに使用した美しい建物で、国の有形文化財に登録されています。その近くには、バスケットボールファンにとって聖地とも言える「バスケミュージアム」があり、バスケットの強豪校・能代工業(現在の能代科学技術高等学校)の歴史や、バスケットボールの魅力を全国から訪れるファンと分かち合うことができます。
夏には、七夕灯籠「天空の不夜城」が街を彩ります。最大24メートルにもなる幻想的な巨大灯籠が、能代市の夏を代表する風物詩です。お酒好きの方には、地元で有名な「酒どこべらぼう」がおすすめで、移住者の中にはお気に入りの飲み屋を探すのが楽しみだという方もいらっしゃいます。
美味しいお店やカフェもたくさんありますので、能代市へお越しの際はぜひお声がけください。
※洋上風力:風力発電のうち、海上や湖面に建設されたものを指す。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
地方への移住は、憧れや勢いだけで決めてしまうと、実際の生活でギャップを感じることが多いものです。まずは、各種移住相談会や地方の就業フェアに参加し、ぜひさまざまな自治体や企業、地域の方々から話をたくさん聞いてみてください。
その中で、「ここかな」と気持ちが少し固まってきたら、何度かその土地を実際に訪れてみることをおすすめします。知り合いが増えてくることで、移住前後の心の支えになります。相談できる人を増やしておくと安心です。
また、移住には思った以上にお金がかかることがあります。各自治体の支援金や助成金は年度ごとに変わることがあるので、相談会で確認し、無理のない計画を立てて進めることが大切です。
どの地域でも、移住を選んだあなたはその土地にとって大切な一員になるはずです。素晴らしい選択と素晴らしい人生を願い、お互いに頑張りましょう!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2