移住者プロフィール
石元 大稀さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
宮崎県諸塚村の地域おこし協力隊、趣味・特技:読書・音楽鑑賞・運動
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
大学に入学した途端にコロナ禍が始まり、知り合いもできず、ひとり下宿先で過ごす日々が続きました。その孤独な時間の中で、自分と向き合うことが多くなり、当初なんとなく目指していたIT系の進路に疑問を感じ始めました。
自分が本当にやりたいことは何かを改めて考え抜いた結果、「自然を活かし、人々が豊かに暮らす技を学び極めたい」という思いに至りました。具体的には、農林業など幅広く学べる手段を探していたところ、地域おこし協力隊の存在を知り、大学卒業後の進路として決意しました。
宮崎県諸塚村を選んだ理由について教えて下さい。
「自然を活かす技」の中でも特に林業に興味を持ち、林業を軸にしつつも、一つの分野に縛られず自由に活動できる自治体を探し始めました。多くの募集が森林組合や林業事業体への従事を前提としている中で、幅広い活動が可能な自治体に魅力を感じました。
まず、試しに情報を集めてみた結果、諸塚村に注目しました。現地で心動かされる出会いを経験し、「ここなら自分の考えを実現できるかもしれない」と感じ、その場で応募を決めました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私の役割はフリーミッション型の任務であり、自治体から特に定常業務が指示されることはありません。自分で農林業振興に繋がる活動を考え、提案し、自ら動くのが私の仕事です。
最初のうちは、中山間地の産業や山暮らし全般について広く学ぶため、各分野で活動する方々のもとで見習いを続けました。畑仕事や山でのきのこ栽培、林業、建築、木工など、多岐にわたる経験を積みました。
見習いを重ねるうちに、自分自身で土地や材料を使って試してみたいという思いが強くなり、荒れ地を借りて畑を開墾したり、木工の腕を磨くために能面づくりを始めました。協力隊に就いて3、4か月が経ち、今まさにこれらの取り組みを進めているところです。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
一つは、「自然を活かして人が豊かに暮らす技を学び極めたい」という目標に着実に近づいていると感じることです。
ここには、多くの知恵や技術が詰まっています。
農業を学び、食を大地から生み出す方法を理解し、林業や建築を学び、木から住まいを作り出す技術を習得する過程で、少しずつ自分の進歩を実感することが何よりのやりがいです。
もう一つは、自分を受け入れ、支えてくれる地域の方々の存在です。常に気にかけてくれる方々や、自分の思いに共感し心から応援してくださる方々がいます。こうした方々への感謝の気持ちを忘れず、心に報いることも大きなやりがいとなっています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
良い意味での予想外の発見がありました。それは、秘境の地でありながらもコンビニがあり、アマゾンの配達が滞りなく届き、私自身には全く不便を感じないことです。田舎の暮らしを見下していると誤解されるかもしれませんが(笑)。
移住前には、生活の利便性が下がるのは仕方ないと覚悟していました。しかし、実際に暮らしてみると、道が空いているなどの利点が多く、むしろ快適に過ごせることが嬉しい予想外の結果でした。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
協力隊の任期終了後には、任期中に習得した「自然を活かす技」を活用して社会課題の解決や人助けに貢献したいと考えています。具体的には、農林業を中心に多様な事業を展開し、誰もが受け入れられるようなコミュニティを築きたいと思っています。
かつての自然に頼る暮らしは減少し、現代社会は飛躍的に便利になった一方で、豊かな生活を送るには人を選ぶ側面があると感じています。そのため、自然と共にある暮らしを見直し、より良い社会を模索することが私の目標です。卒業後には、そうした目標に向けて尽力することを夢見ています。
諸塚村の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
地域の方々の印象は、一言で言うと「お節介なほどに世話焼きで心優しい」ということに尽きます。引っ越して間もない頃、家の手続きの影響で温水が出ず風呂に入れなかったとき、隣の家の方からお声がけをいただき、湯船に浸からせてもらったことがありました。困ったときには細かいことを考えず、まず手を差し出してくれる地域性に触れ、心が温かくなりました。今では、多くの方にお世話になっており、恐縮してばかりです(笑)。
諸塚村の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
私がいる諸塚村は、宮崎県北部の中山間地に位置し、見渡す限り山々に囲まれた、まさに絵に描いたような山村です。大規模な観光産業はなく、近隣自治体の方々にもあまり知られていない村ですが、豊かな自然と昔ながらの暮らしが残る心地よい場所です。
この村の魅力は何と言っても「人」です。面白い方や素晴らしい技を持つ方々が多いのはもちろんですが、何よりも皆さんが心優しく、どんな人でも温かく迎えてくれる雰囲気があります。伝統を大切にしながらも、興味を示す人には心を開いて親しみを持って接してくれる、その姿勢がこの村の大きな魅力だと感じています。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
移住については、人それぞれ異なる捉え方があると思います。具体的な目標があってそれを実現できる場所を求めている方もいれば、現在の居場所に不満を感じて不安ながらも新しい場所を探している方もいるでしょう。
移住によって生活は大きく変わり、期待通りに進むこともあれば、後悔する場合もあるかもしれません。
私自身の移住経験から言えるのは、結局は「めぐり合わせ」が大きいということです。地元や人々との縁は、実際に住んでみて初めて感じることが多いですが、試しに訪れてみた時の直感も重要な指標になることがあります。
もし移住を考えているのであれば、一度勇気を出して目的の土地に足を運んでみることをお勧めします。皆さんに良い「めぐり合わせ」があることを心から願っています。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2