移住者プロフィール
坂田 まことさん
移住時期
2021年5月
出身地:愛知県、前住所:東京都、現住所:宮崎県宮崎市、職業:株式会社オーガニックマザーライフORGANIC MOTHER HOUSE®︎ -植物調合研究所-代表
目次
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現在のお仕事を始めるきっかけを教えてください
坂田まことさん(以下、坂田):私は愛知県出身で、19歳の時に結婚を機に都内へ移住しました。その後、オーガニックコスメの仕事を自宅の一室で始めました。当時は子育てをしながら、ブログを使ってお客さんを集め、オーガニックエステとコスメのサロンを運営していました。
ブログを始めたのは2005年くらいで、ちょうどSNSの始まりの時期でした。SNSそのものの注目度も非常に高かったと思います。
お仕事を始めて何か感じたことがあったのですか?
坂田:そんな仕事をしているうちに、私のように働く意思があっても、子育てや家庭の事情などで働けない女性を支援したいと思うようになりました。
セラピストとして施術をしながら、その技術を同じような環境下に生きる女性に継承して活躍してほしい、手に職をつけて家庭でも働けるようになるためのエステ技術者を養成する学校「コットンハウス®︎」を2015年から始めました。
宮崎県での活動をするきっかけは何でしたか?
坂田:宮崎を初めて訪れたのは、2020年7月でした。宮崎に住む友人に「有機農産物がたくさんあるから来てみたら」と誘われたのがきっかけでした。そこで紹介されたいろいろな農家さんたちが面白い人ばかりで。
他県と比べ、有機農業への意識が高いことに驚きました。2度目の宮崎訪問の際には、生活拠点を作るために家探しをしたんです。そしたらエネルギーを感じる家があって。宮崎県産の杉100%の自然無垢の家に出会い、迷わずここでもの作りがしたいと思いました。
デュアルライフのきっかけはこの家との出会いだったのですね
坂田:この家で、ちゃんと顔の見えるオーガニック・エシカル化粧品の開発を思いっきりやろうってひらめきました。 (※エシカル:人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動のこと)それから2021年5月に国富町にこの「ORGANIC MOTHER HOUSE®︎」を設立しました。この家を「植物研究所」兼生活拠点として、東京と宮崎のデュアルライフが始まりました。
宮崎市ならではの強みなどはありますか
坂田:私達のオーガニック・エシカル化粧品の原料は、有機農家さんが手掛ける生産物や農業残渣、耕作放棄地の未収穫植物、自社農園の薬草などから作られています。収穫の段階で取りきれなかったり、取っても捨ててしまったりしたもの。
例えば柑橘だと、果汁を絞って他の部分は捨ててしまうところが多い。それを「残渣」と言います。そういった残渣を、農家さん達から原料として仕入れています。
地元の農家さんとも繋がって商品の開発をされているのですね
坂田:ORGANIC MOTHER HOUSEでは、そんな残渣から精油や蒸留水・植物エキスなど抽出し、化粧水や美容オイルなどに使用しています。オーガニックをいいものと思ってくれる人が喜んでくれると嬉しいんです。
9月にはこの家のお風呂場にオリジナルの植物蒸留器も設置します。100Lの大型蒸留設備は基本男性の力が必要なんですが、クレーンをつけているので女性でもできる仕事なんです。
女性に活躍してほしいという感覚は「コットンハウス®︎」開校時と変わらず持っています。自宅でもできる小さな作業だから色んな人がこの仕事をできると思っています。
移住後に大変だったことはありましたか?
坂田:初めはうまくいかないこともありました。東京に出た時もそうでしたが、デュアルライフを始めたばかりのときは、身寄りも友だちもいないので、その地域のルールやマナーが分からなかったのが大変でした。地域を盛り上げるために何ができるかと動こうとしていたんですが、上手くいきませんでしたね。
どのように対処し乗り越えたのですか?
坂田:何かしてあげようとか、何かしてもらおうっていう感覚がダメだったと思うんです。地域のルールやマナーを学んで、感謝の心を持って地元の方々と接するようになりました。
一度溶け込んでしまうと、本当によくしてもらえました。おかげで、初めての所でもなんか頑張っている人がいるって知ってもらえたんです!そこから多くの仲間が集まるようになっていき、同じ志を持つ女性たちと一緒に地方と都心が繋がる仕事を始めました。
これからチャレンジしていきたいことはありますか?
坂田:オーガニックってマイノリティだと思うんです。もっと開放的にして、公共性を高めたいと思います。これからは宮崎にコミットして、どこまでできるか試したいと思っています。地域への公共性を高めていきたいんです。具体的には、残渣をどこまで減らせるか、地域に雇用を生み出せるかとかですね。
商品の開発で喜んでいただくだけでなく、地元への貢献にもなりますね
坂田:オーガニックはクローズなイメージが強いですが、できる限りオープンにしたいと思っています。例えば、オーガニックに興味のある人へのツアーや、興味のある学生や不登校の学生対象のインターンなど。
こういった発信や行動ができたら、就職のための人口流出を少しは減らせるんじゃないかなと思っています。人が来れば関係人口は増やせますし、移住にも繋がっていったら嬉しいですね。
そして、宮崎県の有機農業や自然栽培への意識の高さを知ってもらえるような製品づくりを、地元の女性たちと一緒に行っていきたいと思っています。