移住者プロフィール
藤原 裕史(ひろふみ)さん ・美智代さん
利用した支援制度
空き家バンク制度
前住所:広島県福山市、現住所:山口県阿武町、職業:「よつばでんき」代表
目次
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阿武(あぶ)町へIターンしたのはいつですか?
藤原裕史さん(以下、裕史):2013年の12月です。それまでは、広島県福山市の会社で、自動車工場や鉄鋼所の生産ラインなどの電気工事をしていました。
Iターンするきっかけについて教えてください
裕史:長女のアレルギーがきっかけですね。生後9ヶ月のときに煮魚を食べさせたら、全身にじんましんが出てしまって。それまでも湿疹はよくできていたのですが、お医者さんからは、『乳児湿疹なので、大きくなったら治りますよ』と言われていました。
ところが、詳しく調べてみたところ、卵、乳製品、青魚、牛肉、鶏肉などの食物のアレルギーだということがわかったんです。
藤原美智代さん(以下、美智代):当時、母乳で育てていたんです。離乳食も始まり、「食べるって楽しいね!いろんなものを食べようね!」と、食の幅を広げていきたい時期でのじんましんでした。アレルゲンが判ってからは、母乳とそれらを除く食生活になりましたが、それでも湿疹はなかなか治まってくれませんでした。
結局のところ、私が食べた卵や乳製品が、母乳を介して彼女の体に入ることで、湿疹をつくり続けていたんです。 「食べるもので体がつくられている」こと、「食べものの大切さ」を改めて実感しましたね。
それからは、自分で無農薬野菜を作ったり、着るものを化繊のものから綿100%に変えたりなど、生活スタイルを全て見直しました。“空気と水がキレイなところで生活をしたい”という想いはあったのですが、主人の仕事のこともあって、本格的に移住を考えるようになったのは、移住する半年あたり前からです。
移住先を阿武町に決めた理由は?
裕史:インターネットの「空き家バンク」の情報を元に、福山市から近くの“広島県内”、“岡山県内”で探していたんですが、なかなかピンとくるところがありませんでした。それで、“山口県”までエリアを広げて探していたところ、今住んでいる物件を紹介していただくことができたんです。
物件を探すときに一番大切にした事は、「子ども達が学校まで歩いて通うことができる」ということでした。色々な物件を紹介してもらったんですが、車で送り迎えをしないといけないところが多かったですね。
あとは、小学校は近いけど、中学校は遠いとか。ここは、保育所・小学校・中学校が近くにまとまっていますし、自然環境もとても良かったので、私たちの希望にぴったりでした。
移住に際して、不安はありませんでしたか?
裕史:役場の担当の方の対応がとても良かったので、不安はありませんでしたね。メールを送るとすぐにお返事をいただけたので、不安や疑問に思っていたこともすぐに解消することができました。また阿武町は、「移住者の受け入れ」に力をいれているので、サポート体制も割としっかりしている町だと思います。
まずは、私が先に阿武町に入ることに決め、2013年12月21日に越してきました。それから約2ヶ月ほどかけて、家の改修工事を行いました。床の一部分だけに手直しが必要かと考えていたのですが、築100年も経つ母屋は傷みが激しく、想像以上の労力と改修費用がかかりました。
美智代:主人が改修工事をしている間、私と子どもたちも週末には手伝いに来ていました。
出来上がりの様子を想像しながら、みんなで壁を塗ったり、フローリングを貼ったりを繰り返す中で、少しずつこの家に愛着を持つようになったと感じます。
阿武町での暮らしはいかがですか?
裕史:移住にあたっては、“定住アドバイザー”の方が色々と声をかけてくださり、相談に乗ってもらうことも多く、とても心強かったですね。
また、子どもの姿が少なくなっている地域柄、「子どもの声が聞こえるのはうれしい」と声をかけてもらって、ご近所の方々にも大変良くしていただいてます。学校帰りの子ども達が、いただきもののお野菜を、両手にたくさん抱えて帰ってくるなんてこともありますよ(笑)。
美智代:田舎暮らしは、不自由なことや不便なことも多いですが、子どもたちの成長には、とてもプラスになったと思います。
長女の通う中学校は全校生徒6人、次女の通う小学校は全校生徒13人と、どちらも小規模校です。少人数ゆえ、一人ひとりが多くの役割や係の仕事を受け持たなければならない環境でもあります。
当初は、そのことに負担を感じている様子もありましたが、次第に自分が必要とされていることへの“自覚”が芽生え、役割に対しての“責任感”や“やりがい”をもてるようになってきたようです。
阿武町での暮らしで驚かれたことはありますか?
裕史:冬の積雪量には本当に驚きました。移住を決める時に冬場の様子を聞いたところ、『雪は降りますよ』と言われてはいました。でも、山口県の積雪量なんてたかが知れてるだろうと勝手に思っていたんですよ。
それがまさか、こんなにも降るとは思ってもいませんでしたね(苦笑)。移住してきて、人生で初めて“かまくら”を作りました(笑)。
移住をお考えの方へ、メッセージをお願いします
裕史:田舎暮らしへの漠然とした憧れがあるだけでは、生活を維持していくことは難しいと思います。 生活を始めてから気づく、不便や不安も多くありますからね。“どのような生活をしたいのか”を具体的に想像して、明確な“目標”や“目的”を持つようにしないと、逆境になったときに踏ん張りが効かないような気がします。
また、移住に迷う時こそ、地元の人の話を聞いたり、現地に宿泊したりすることは、良い指針になると思います。色々な角度から、その町の「日常」を感じることで、より深く自分たちの生活をイメージできるでしょうから。 「いいところ」も「案外違った!」なんてところも、自分たちなりに受け入れつつ、前向きに暮らしをつくっていけたらいいですよね。