移住者プロフィール
コガワ 健太さん
移住時期
2020年
出身地:青森県青森市 、前住所:東京都、現住所:長崎県壱岐市、職業:画家
目次
INDEX
壱岐に来るまでは何をしていましたか?
コガワ健太(以下、コガワ):専門学校を卒業した後、京都のゲーム会社に入社して10年間ゲームの2Dグラフィックデザインでキャラクターデザインや画面デザインをしていました。その後はIT企業に転職してアートディレクターを務めました。
その流れで東京へ上京、東京時代はUI/UXデザイナーとしてWebやアプリの画面設計を行っていました。デザイナー歴でいうとトータル14年ですかね。 小さい頃から絵を描くのが好きで自由帳にオリジナルゲームを描いては友達にやってもらっていました。
これが原体験となり、絵を描くことと人を楽しませる事が大切な価値観として持っていますね。 細かい作業が昔から好きで、高校時代は情報系の学校でドットを使って絵を描いていたんですよね。
高校の卒業制作で作ったドット絵のゲーム。これがきっかけで憧れだったゲーム業界へ就職した
ゲーム業界ではさまざまなキャラクターを扱う仕事させてもらったのですが、それぞれレギュレーション(規則)を守らないといけないんですよね。その時に線の取り方とか色の扱いを学び技術の幅は広がりました。
でもやっぱり一番好きなのはペン画ですね。ウォーリーを探せとか迷路が好きで真似して描いたり。2〜3歳くらいから、この絵のテイストは変わってないんですよ。これが1番自分の発想を表現しやすいんです。
代表作のペン画「3cmの塔」。作家と作品の関係性は「対話」であり、対話した結果、作品が生まれる。
これから壱岐でどんなことをやっていきたいですか?
コガワ:自分もそうでしたが、子供の頃に絵を描く環境が整っていたり、画材の使い方を教えてくれる人がいたり、描いた絵を見せあったりすると、どんどん成長していくじゃないですか。これからの時代は一芸を持つことが大事になると思うし、「得意な分野を伸ばす」そういうところの手助けがしていきたいなと思っています。
僕も昔から絵が上手かった訳ではなくて、最初は人よりちょっと上手いくらいだったんですよ。そこから成功体験の積み重ねで今に至っただけなので。多様性の時代、もっと色んな事をやってほしいな。
絵を描くってオタクっぽいとか地味っぽいっていうイメージがあるかもしれませんが、人を笑顔にしたり大きな仕事につながったり、すごい可能性のある能力だと思うんです。その可能性に蓋をするっていうのはもったいないですよね。
コガワ家の家訓は「手に職」だという。
壱岐に来て良かったなと感じる瞬間はいつですか?
コガワ:通勤の満員電車から解放された事かな(笑)。あと、健康的な生活になりましたねぇ、なんかおじいさんみたいだな(笑)。 あとは事業を経営してる人が多いので、いいねって思ってくれる人がいたら、すぐ仕事に繋がって話が早いです。
それは壱岐に来てとても良かったことですね。人同士が繋がってるから信頼もしやすい、おかげで出来る事がたくさん増えました。 他に良かったと思うのは、災害が少ない事ですね。地盤がしっかりしていて歴史に残るような大災害は少ないので、古い文化が何年も残っている。それも壱岐に移住した理由の1つです。
その時の気分によって、見る場所が変わり常に新しい発見があるように描いているという。 「絵と対話する」という気持ちで絵に親しんでもらいたい。(オススメはトイレの壁に飾ること)
島外との違いを教えてください
コガワ:独特な「島時間」が流れているなと感じますね。あとは空気が綺麗、人よりも動物の声が聞こえるところですね。 あとスーパーに行ったら知り合いに5人くらい会っちゃう(笑)。
なんかその身近さ、人との距離感に安心感を覚えますね。人との交流が少ないっていう今の都会が異常なだけで、よく考えたら人類ってそうやって進化してきましたからね。本来の人間の形に戻れる場所じゃないかな。
壱岐は僕の描く世界のように「中心の無い世界」みたいだなと、今は感じています。後付けかもしれないけど、初めて訪れた時にどこか感じていたんだと思います。
自宅のアトリエ。ここで絵と対話しながら作品を生み出している。自分の思想を言語化することも画家の仕事の1つだという。
あなたにとっての壱岐を一言で表すなら?
コガワ:気付かせてくれる島かな。色んなものがあるっていうのは、何もないというのと似ていると思うんです。 故にどこに行って何をするかで、自分に返って来るものが変わる。壱岐の島も、無中心的である僕の絵と同じように見るたびに新しい発見がある。
良くも悪くも何もないし、すべてあると思います。 空の表情ひとつとっても同じ表情はないし、釣りにしても釣れる魚はいつも違う。その都度違うからこそ、変化を楽しめる島かなぁ。都会みたいに情報量が多くないシンプルな生活なので、日常の変化に気づきやすいですよね。