移住者プロフィール
長尾 良子さん
出身地:長崎県壱岐市 、前住所:福岡県、現住所:長崎県壱岐市 、職業:畜産農家
目次
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島外から戻ったきっかけは何ですか?
長尾良子さん(以下、長尾):高校を出て、福岡で美容師として働いていました。その後アパレル業に憧れ、転職を決意。人気ファッションブランド入社までの道のりは甘いものではありませんでした。就職が決まるまでは、飲食店や花材屋などの職を経験しました。
そして最終的に狭き門であった大好きなブランドの洋服屋店員になることができました。 そんな中、島外に出て約10年経ったころ父を亡くしました。その時に壱岐にいる家族のことを考えたり、現在の夫が壱岐にUターンしていたこともあり、仕事をスパッとやめて帰りました。
Uターン後には結婚し、長男の嫁として夫の実家に入りました。
どんな仕事をしているのか教えてください
長尾:義父・義母と畜産をしています。 3年程前、近所に住む親と同じ年代の方が突然亡くなり、親もいつまでも元気に仕事を続けられる訳ではないと実感しました。そして今後の長尾家について家族で話し合うことになりました。
夫は勤めていて定年まで20年以上あり、私も子育てと仕事を両立していたのですが、私が手伝うのがベストだという結論になりました。夫が定年後に畜産業を継ぐと考えたときに、今のうちに少しでも義父から学んでいた方が良いですよね。
農家育ちではないので農作業自体が新鮮で楽しいし、とにかく昔から生き物が好きで握力も52もあるので、この仕事は向いていると自負しています。懐いてくる牛もとってもかわいいです。
普段のタイムスケジュールは?
長尾:朝、子どもの送り出しや家事が終わってから牛の仕事をします。牛舎の清掃、餌の準備、草切りや牧草をロールにする仕事など、やることは山ほどあります。ルーティーン仕事に加えて突然牛のお産が始まったりと、忙しくも充実しています。
用事があるときには自分自身で時間を調整したり、義父に仕事をお願いします。義母は「子どものことを優先していいよ」といつも言ってくれています。家族だから仕事面でも生活面でもお互い支えあえています。もっぱら頼る方が多いですが(笑)。
夕方は小学生2人と中学生1人の子どもの習い事(サッカー、ピアノ、塾、太鼓など)の送迎で出たり入ったりしながら晩ご飯を作って食べさせてと、まさに分刻みに動いています。
そんな中ですが、私自身も週2でソフトバレーをしていてその日ばかりは夫が帰ってくると「晩ご飯はこれだからー!」と言い残してダッシュで出かけます。慌ただしい中でも自分が楽しむことを忘れません。
島外で暮らした経験で今の暮らしに生きていることはありますか?
長尾:壱岐は狭くて、少しでも家を出ると必ず誰かに会います(笑)。 そんな時に接客業で身につけたことがとても役に立っています。
お客さまに話しかけるとき「この人は今話しかけても大丈夫かな」とか「どんなテンションで話そうかな」とか考えます。相手の様子を観察することが大事です。
だから人に会った時に相手の様子を見てからコミュニケーションを取るように心がけています。つい楽しくなっておしゃべりしすぎてしまうことが多々ありますが(笑)。
また、子どもの学校や習い事などで、親同士で顔を合わせることが多くあります。特にその場所に初めてくる人って不安だと思うんです。
そんな時にはこちらから積極的に話しかけます。最初は知らなかったのに徐々にお互いを知ってだんだん仲良くなる、そのようなことが嬉しく大好きな瞬間です。
あなたにとっての壱岐を一言で表すと?
長尾:「宝の島」だと思います。自然環境や人と人との繋がりが宝です!島外に出た経験があったからこそ、そんな壱岐の良さが分かったと思います。高校時代、友人と福岡へショッピングに行くようになり、都会への憧れが強くなりました。
どうして壱岐には何もないんだ、早く都会へ行きたいという気持ちが抑えられませんでした。 生まれた時からこの環境だと海をみて穏やかになることや、地域が繋がっていることの安心感が貴重なものだと気付かないんですよね。
だから子どもたちにも一度は島外へ出てほしいんです。
いつか子どもたちが帰ってきたいと思った時に、このような素晴らしい環境、宝を残していきたいと思います。自分が帰って来た時に残してもらっていたように。