移住者プロフィール
高橋 さん
移住時期
2019年
出身地:熊本県上天草市、前住所:熊本県熊本市、現住所:熊本県上天草市、職業:「おやつ家 菓音(かのん)」のオーナーパティシエ
移住前のお仕事について教えてください。
高橋さん(以下、高橋):生まれは上天草にある離島、湯島です。高校時代は定期船で上天草の学校に通い、卒業後は福岡の製菓専門学校に進学しました。
カフェやレストランなど飲食店で経験を積み、23歳で熊本に戻りました。そこから熊本市内の人気パティスリーの門をたたき、本格的なお菓子づくりをスタートしたんです。
オーナーが阿蘇の小国町出身で、とても熱い方で。そこで地元食材にこだわったスイーツをつくる姿勢に影響されました。
このパティスリーに所属しながらの独立という変わったスタイルでしたが、2018年夏に初めてのお店(「お菓子の扉〜私のガトーショコラ〜」)を熊本市にオープンしました。味にも見た目にもこだわった、これまでにないガトーショコラの専門店です。
ありがたい事にメディアの注目度も高く、口コミやSNSでも評判を呼び爆発的なヒットとなりましたが、寝る間も惜しむ多忙な日々が続きました。ひたすらつくることに追われ、毎日精一杯でした。
移住後に新しいお店をオープンした経緯を教えてください。
高橋:つくる原動力になったのは、『おいしかった』というお客さんからの反応を直接聞けたことです。お陰でより一層、独立したいという気持ちが強くなりましたね。
やっぱり地元で地産地消にこだわったお菓子屋さんをやりたいという夢を叶えたいと思いました。いまは、のびのびとお菓子作りに向き合えています。
2019年秋にオープンした店には、店内にカフェスペースを用意しました。子どもの頃から母と一緒にお菓子づくりをしていて、つくったものを友だちに配って喜んでもらうのが好きでした。
高校生のとき、上天草にもっと気軽に立ち寄れてお茶をしたりお菓子を楽しめる場所があったらいいなと思っていて。いつか、そういう場所を自分でつくろうと思ったのが夢のはじまりだったと思います。
天草への思いは年々強くなり、看板商品のガトーショコラには、お好みでつけられるよう「天草産の塩」を添えています。
天草郡苓北町・山下果樹園のみかんジャムソース、天草市枦宇土・井上製茶のブレンドティーでつくったお菓子など“島の味”も楽しんでもらっています。
独立について不安はありませんでしたか?
高橋:貯金のほか、地銀からの融資をうけて実現した独立ではありましたが、地元の銀行さんがとても親身になってくれました。
他にも上天草市には創業・起業を目指す人たちの応援やサポートを行う「上天草市小規模事業者支援ネットワーク」という起業したい移住者のチャレンジを応援する支援制度があります。
移住していみていかがですか?
高橋:2020年はコロナ禍で在宅時間が増加し、全般的にスイーツを求める人が増えたと思います。やっぱり甘いものは心が癒されると思いますね。
お菓子の力で何か役に立てればという思いから、私の意思を尊重し、いつも一番近くで応援してくれる夫とともに、焼き菓子とジュースを子どもたちに無償配布しました。
また、かき氷とガトーショコラを人吉市のボランティアセンターで配ったりなど、お菓子屋さんとしてできることを続けてきました。
小さな島から海をわたり、船で通学していた学生時代でした。その時胸に抱いたぼんやりした夢が、いまこうして大きな形になっていると思います。
今後の夢などはありますか?
高橋:やっぱり甘いものって人をホッとさせる力があると思います。これからも自分の信じるものをとおして、お菓子づくりを続けられたらしあわせです。
ふるさとの湯島とも積極的に交流をとりながら、観光面でも力になれたらと思っています。
※ インタビューの内容は2020年12月の取材時のものです