移住者プロフィール
原田 哲也さん
移住時期
2019年3月
出身地:山口県防府市、前住所:神奈川県川崎市、現住所:山口県防府市、職業:ウェブエンジニア・IT塾経営
目次
INDEX
山口へ移住したきっかけを教えてください。
原田哲也さん(以下、原田):山口県防府市出身、妻は山口市出身です。子どもふたりと今年3月(2019年)に、神奈川県川崎市から地元防府市にUターンしました。山口市じゃないんですけど、良いんですか?って感じです(笑)。
山口大学大学院理工学研究科、感性デザイン工学専攻科卒業後、東京でIT系の仕事をしてきました。妻とは、山口にいずれは帰る約束で神奈川に引っ越したので、いつかは帰るつもりでいました。
40才を、人生後半の大きな流れが決まる大切な節目と捉えていました。夫婦ともに山口出身で、いずれ帰ろうと話していましたし、子どもにとっても小学生が良いタイミングと考えたことが、移住に向けて背中を押したと思います。様々な問題が差し迫っている地方のピンチを身近に感じていて、東京に留まるより、故郷に戻る方が意味があるし面白いと思って、移住を決断しました。
移住前は、家族のタイムスケジュールを貼って、移住したら、いつ頃どんな風になっている、みたいなのが見えるようにして、家族全員が移住に前向きになれるようにしていました。
山口でどんな仕事をしていますか?
原田:2019年6月に株式会社スオウを設立、同年11月に「スオウパーティ」というIT塾を開業しました。スオウ(Thwoo)は、山口県の昔の地名(周防)であるのと同時に、自分のイニシャルTHと、「せがむ」とか「言い寄る」、「得ようと努める」という意味のwoo(ウー)を合わせた造語でもあるんです。
ウェブエンジニアとして東京でやってきた仕事を、山口で継続して請け負っています。それと並行して、中小企業の業務改善やIT推進コンサルティングも始めました。
そして、自社事業の「スオウパーティ」は小学生(高学年)・中学生を対象としたIT塾で、パソコン・インターネット・プログラミングの制作を通してITの知識や使い方を身に付け、将来の仕事の基礎となる創造力と実務能力を育む場です。子どもたちに学んで欲しいのは、自律的に考え行動する「論理的思考」「企画力」「応用力」です。
これに加えて、3ヶ月毎に自分の目標を立てて制作活動を行い、期の最後に発表会をするので、プレゼンテーション力も身に付けられます。こんな良い塾は他には無いと思っています(笑)。
現在の状況と移住した感想をお聞かせください。
原田:家も買い、親も近くにいて家族も安心なので、思い切り仕事に振り切れています。ウェブエンジニアとして継続している仕事を月16日、それ以外の時間で「スオウパーティ」やその他の仕事をしています。
土日も仕事のことが多いですが、東京から山口にシフトしたくてやっているので、この1、2年が頑張りどころだと思っています。
妻は看護師で、週4日訪問看護の仕事をしています。彼女にとっては、子どもの日々の成長が一番で、家族を応援してくれています。
上の子はイラストを描くのが好きで、下の子はサッカーが大好きで2つのクラブに入ってます。
来年(2020年)4月からプログラミング教育が必修化されることもあり、山口市からプログラミングを使った課外クラブ活動で子ども達と何かを作って欲しい、という依頼を、株式会社アワセルブスの河口さんを通じて受けまして、大内小学校パソコンクラブの子ども達、約35人の4〜6年生を対象に、9月から11月にかけて5回のコースをちょうど終えたところです。
子ども達からは、難しかったけど楽しかった、身の回りのことがこうやって動いているんだと分かった、などの感想をもらいました。
地方への移住にあたり不安だったことは? 実際はいかがでしたか?
原田:移住=独立起業と振り切ったので、悩むというか「仕事が急にゼロになったら…」という不安は抱えていました。周りの反応は、なんで地方に帰るの?!」と疑問を投げかけられるものから、「勇気ある決断、応援する!」というポジティブな反応まで幅広くありました。
実家の母はすごく喜んでくれる反面、仕事の独立には不安を感じていました。
家族に関しては、子どもたちが友達と離れてしまって、転校してうまく馴染めるかは不安でした。妻や子どもは川崎の友達と離れるのが悲しくて、引っ越しの時には新幹線の中で泣いたそうです。
暮らしに慣れるのに時間はかかりませんでした。地元ですし。ご近所づき合いはほどほどで、良い感じに過ごせています。
妻は、川崎にいた時には年に1、2回しか会えなかった古くからの友人がすぐ近くにいて毎月会えるし、実家も近くて嬉しいようです。子どもたちは「川崎に帰りたいー!」と言うこともありますね。
仕事は、想定していたよりもIT塾「スオウパーティ」をかなり前倒しで開業できたり、仕事に集中できています。自分の仕事の供給と、地方の需要がまだマッチしていない感じはあるので、絶賛掘り起こし中です。
でも、移住に求めていたことは夫婦ともに実現しているので満足しています。
山口の魅力を教えてください。
原田:街の規模がちょうど良い感じですし、子育てするにはとても環境が良いです。学校の登校班が防府市にはあるので、朝が早くなりました。
働いているお母さんにとっては、子どもを早く送り出せるのは、置いて出かけなくて良いからかえって良いかもしれませんね。
それと、子どもに対して地域の見守りなどが手厚くて、地域で子育てをしている感じがします。
山口に住んで戸惑ったことはありましたか?
原田:ゴミ、特にペットボトルなどの資源ごみの回収回数が少ない。でも、これは慣れていくと思います。
基本的に車の生活で、夫婦それぞれに車がないと不便です。自分は時々歩くし、妻も頑張って自転車通勤をしていますが、近所の人からは珍しがられます。
今後の展望を教えてください。
原田:仕事は、しばらくの間は東京の仕事を継続してやりつつ、コンサルティングやIT塾をしていく、という今のペースを続けていこうと思っています。山口にシフトするにしても、刺激やスピード感のある東京の仕事は大切にしています。
「スオウパーティ」の「パーティ」は、集団や同志という意味をベースにしつつ、みんなでワイワイガヤガヤ時間を忘れて楽しむパーティのようににしたいから、という思いで付けました。山口の子どもたちが将来を逞しく豊かに生きるためのトレーニングを、ここ山口でワイワイと楽しくやっていきたいです。
移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスをお願いします。
原田:同業の人、エンジニアの人には気軽に声をかけて欲しいですね。今は県外にいる人でも、帰省した時とかに会ってお話しできるし、協力できることがあれば一緒にやっていきたいです。
平凡かもしれませんが、穏やかな日常が送れます、というのが妻のコメントです。新しいことが好きな人も多いので、都会に行かなくても山口で新たなことを体験できるようなお店や仕事を始められれば、応援してくれる人はいると思います。
出典: 先輩移住者の声 原田哲也 さん