移住者プロフィール
山田 一貴さん
移住時期
2013年
出身地:愛知県犬山市、現住所:京都府南山城村、しいたけ栽培農家。
目次
INDEX
しいたけ栽培の道に入ったきっかけは?
山田一貴さん(以下、山田):もともと中学生時代から農業をやりたかったんです。大学を卒業したら農業に関係するところに就職しようと、最初は長野の青果市場に就職しました。その後“もっと生産者さんに近いところで働きたい”と思い、東京で農業資材のスプリンクラーを売る会社に転職しました。
そこで茨城県のしいたけ農家さんへ営業に行くようになり、もらったしいたけがすごく美味しくて感動したんです。
しいたけ栽培に不安はありませんでしたか?
山田:僕は大学で微生物を学んでいますし、青果市場勤務でフォークリフト、スプリンクラーの扱い方や力仕事も経験しています。温度湿度制御も自分で設計施工からしていましたので、「しいたけ栽培なら自分の経験が活かせる」と思いました。しいたけ栽培は農地もそんなにいらないということも魅力でした。
過去の経歴を生かすことができたのですね
山田:大学と就職した2つの会社で身につけた知識を、すべてしいたけ栽培につなげることができました。“過去の経験の集大成”のようですよね。
南山城村に移住を決めた理由を教えてください
山田:茨城で研修中に「東日本大震災」があり、その影響から近隣で独立できなくなってしまったんです。そんな時、しいたけ菌メーカーの知り合いが、南山城村の生産者さんを紹介してくれました。
その方は後継者を探していたので、連絡をとってみたのです。すると、今度は役場の移住担当の方を紹介してくれて、その方が家もハウスも探してくれました。一応、他にも何箇所か当たっていましたが、ここで条件が揃ったので決めました。
実際に南山城村でしいたけを栽培してみてどうでしたか?
山田:南山城村はしいたけ栽培の環境がいいですね。温度差が栽培に適していて、良いしいたけができます。それから、(植菌する)原木が近くにあって伐採できるというのは、他の地域にはないと思います。なかなか自分で木を探して切るのは難しいんです。
山の持ち主もよく分かってくれていて、しいたけ栽培に使うとお願いしたら、結構切らせてくれます。現在は、原木しいたけのほか、さまざまなキノコを生産するとともに、一般の方向けに「原木しいたけ植菌&しいたけ狩り体験」も行っています。
地元の人とのつながりについてはいかがですか?
山田:この村の魅力のひとつは「人」だと思います。近所の方や直売所の方は、移住した時から何か困ったことがないか気にかけてくれていました。“適度な距離感”で見守ってくれているので助かっています。
地域に溶け込むために心がけていたことはありましたか?
山田:最初に移住した時に、周りとの接し方やどこに挨拶に行ったらいいかなど、地域での暮らしについて教えてくれる人を1人でも見つけて、聞いたほうがいいと思います。
それから、地域行事や消防団などには積極的に参加するようにしています。最初は会話の中に入るのが難しかったですが、活動を重ねていくうちに自然と会話できるようになり、友達みたいに距離が近づいていったと思います。
移住者同士でのつながりはありますか?
山田:移住前から、役場の方を通じて知り合った先輩移住者と何度か会っていました。移住して最初の頃は、頼りにしていましたね。移住の苦労を分かち合う人がいたというのは本当に良かったです。
まずは移住者同士でつながり、そして徐々に地域とのつながりへとシフトしていきました。このように、最初から移住者同士がつながる土壌があるというのも、知らない土地へ移る時には心強いです。
移住を検討している方へアドバイスをお願いします
山田:農業に関しては、何も知らない状態で入ってくると大変です。病気や怪我をすると収入が一時的になくなりますし、収入が不安定になります。そうなった時のことも考えておいたほうがいいと思います。
私自身も移住した最初の頃は、夏に茶農家のバイトをしたり、塾講師、家庭教師などもしながら、なんとか生活していました。生活面でも収入面でも困ったことがあったら、地元の人に頼ると力になってくれますよ。
例えば『仕事はありませんか?』と聞いてみてもいいでしょう。一生懸命やっていたら周りが助けてくれます。全て自分でなんとかしなければ、と頑なになるよりも、周りに上手に頼ることが、「人同士のつながりが強い」田舎で上手に暮らしていくコツだと思います。