移住者プロフィール
田中 克典さん
大分県宇佐市の地域おこし協力隊、趣味・特技:書店巡り、読書
目次
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地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
幼少期までは埼玉で暮らしていました。社会人になってからは名古屋で生活をする中で、食べ物やエネルギーを消費する側の都市部での生活に疑問を感じ、人任せにしないで自分の手で食料やエネルギーを生み出したいという思いが強くなりました。
そのため、食料やエネルギー面で都市部を支えている地方に移住したいと考えるようになりました。
前職の転勤で岐阜での田舎暮らしを4年間体験し、地方では公務員という肩書きの信用度が高いことを実感し、まずは、移住先の地域に溶け込む為に地域おこし協力隊という職業を選んだんです。
大分県宇佐市を選んだ理由について教えて下さい。
小水力発電の会社を立ち上げて事業として成立させることが目標であった為、その条件である「川」があり高低差がある中山間地であること、まだ、小水力発電が産業として成り立っていない場所を探していました。
候補地としては四国、奈良、北海道と全国にあったのですが、妻が北九州出身で実家に近いということが決め手となり宇佐市を選びました。
- 「小水力発電」とは、一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道などで利用される水のエネルギーを利用し、水車を回すことで発電する方法です。 一般的には、河川に流れる水をダムに貯めることなく直接取水し、利用する「流れ込み式」の発電方式が採用されます。 「小水力発電」について厳密な定義はありませんが、出力10,000kW~30,000kW以下を「中小水力発電」と呼ぶことが多く、出力1,000kW以下の比較的小規模な発電設備を総称して「小水力発電」と呼ぶこともあります。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
宇佐市では過疎化が進む地域の活性化を目的とした「まちづくり協議会」という地域コミュニティ組織が設立されています。その組織の運営サポートが主な業務になります。
マルシェなどのイベント企画運営から、チャレンジ教室という小学生を対象とした放課後教室の運営まで業務内容は多岐に渡っています。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
地域おこし協力隊に就任してすぐに、担当地区のまちづくり協議会の会長に上院内分校という小学校が廃校になった場所を紹介頂きました。「ここで何かやってくれないか?」というお話を頂いたんです。
山奥の静かな谷間に佇むその分校を訪れた時に「私はこんな場所に行ってみたかった!」という強い感銘を受けました。同じ感覚の人に来てほしいと思い「山の中の、その奥の小さな校舎のマルシェ」というイベントを企画しました。
過疎化が進む中、最初は地域の人々もイベントに消極的な姿勢の方が多かったのですが、とにかく最初の感銘を伝えたいという思いでイベントを実施しました。するとイベントは初回に関わらず、100名以上のお客様にご来場頂き、遠くは東京からもお客様が来場し、イベントは大盛況に終わったんです。
そして、イベント終了後に最初は消極的であった地域の人々も「空き家バンクを活用してみたい」「農家としてのノウハウを伝えてみたいがどうしたらいいか?」などという前向きな問い合わせを頂くようになり、地域の人の意識が変わったという実感と協力隊だからこそできることのやり甲斐を感じました。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
現在は、院内という地域で暮らしているのですが、最初は隣の安心院という地域で暮らす予定でした。
しかしながら、院内という地域に暮らしてみると、とても自分の肌にあっており心地の良い場所であったことが良い意味で想定外でしたね。
院内の方たちは真面目な方が多く、とてもコミュニケーションがとりやすかったです。
そして、この谷筋の手を伸ばせば自然に触れられるような集落の景色がとても気に入っています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
現在は協力隊員として活動しながら、「森と水エナジー株式会社」という会社を院内町の空き家を事務所に構えて立ち上げました。「灯したいのは未来です」という経営理念の元、小水力発電などの再生可能エネルギーで街を面白くすることが今後の目標です。
都市部で生活していた時は、エネルギーを消費する側でしたが、今後はクリエイトする側に回りたいと考えている。これは元技術者の私だからこそ挑戦できることであると考えています。
また、私の活動を通して同じように都市部で疑問を抱きながら暮らしている人々の行動する勇気につながってくれたらとも考えています。
宇佐市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
先ほどの上院内分校についてですが、地域の方にとって最初そこは、子どもがいなくなってしまったしまった寂しさの象徴というような場所であったと思います。それに対して私は、初めてその校舎を見たときは希望の象徴であるように感じました。
その希望を信じて、熱狂しイベントを実行しましたが、イベント終了後、地域の方の学校に対する考え方が前向きに変わり、自分の勇気が地域の方の勇気に繋がったことが印象的でした。
宇佐市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
青い空と緑の山、田園風景、滝など自然を近くに感じられます。移り変わる自然を楽しんでいます。雨の日でさえも楽しめるのが宇佐市の魅力です。
また、からあげ発祥の地ということもありからあげが本当に美味しいです。市内には多くのからあげ屋があり、お店ごとに食べ比べて味の違いがあるのも面白いです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
移住する上でまず心配になるのは、職業であると思います。私が地域おこし協力隊を選んだのも、起業というチャレンジをする為にまずは、生活の保障が必要だと考えて協力隊を選びました。
実際に移住してみると都市部とは全く同じ生活は出来ませんが、主体的にやりたいことをやれる土壌が地方にはあると感じています。都市部の生活では燻ってしまっていた「会社経営をしたい」という思いが今実現していますし、地方は主体的に何かをしたい人を求めているように感じます。
このインタビューが読者の方の行動する勇気に繋がれば幸いです。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓