移住者プロフィール
三島 卓也さん
長野県木曽町の地域おこし協力隊、趣味・特技:デジタルデトックス・ブッシュクラフト
目次
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地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
私の地元だった村が平成の大合併時に吸収され、村ならではのイベントがなくなりました。地域から人が出てしまい廃れていったことから、「地方をなんとか盛り上げたい」という気持ちが応募の根底にあります。
協力隊以前はコンサル会社に勤めており、地方の活性化にも遠からず繋がる仕事をしていました。
ただ、直接的に地方に関わることがなかったので、現場で活躍したいと思い退職を決意しました。地元と同じような思いを他の地域で起こさせないために地域おこし協力隊の道へ飛び込みました。
長野県木曽町を選んだ理由について教えて下さい。
木曽町を選んだ理由は2つの点です。
- 山々の存在感と歴史の深さの調和
木曽町は、東に中央アルプスの一角木曽駒ヶ岳、西に霊峰御嶽山が聳え立つ谷の町です。初めて木曽福島駅に降り立った時驚かされました。
近くに3,000m級の山がすぐ近くにあります。こんな場所は日本中探しても他にはない、そう感じました。身の回りに目には見えないエネルギーが、自分を包み込んできてワクワクしたことを覚えています。
さらにその深い谷の中には、歴史ある町並みの中山道が通っています。険しい山の中にも関らず、古くから街道文化が残っています。なぜこんなところに道をつくったか疑問しかありませんが、歩いているだけで楽しめる場所であり、初めて訪れた時は一歩一歩が弾む場所でした。
- 地域の人に惹かれ・憧れて
私は協力隊着任以前に木曽町の地域おこし協力隊のインターンの制度を利用していました。その際に地域の方の地域愛の凄さに驚き、惹かれました。
町のために運営されているイベントにはみなさんボランティアで集まっています。特に毎日氷作りをする「雪灯りの散歩路」の準備に参加したときには、その熱意には感動しました。
そんな地域の方々が魅力に感じ、こんな人たちと関わりたい・支えになりたいと思い木曽町への移住を決意しました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
移住交流促進が大きなテーマになっています。大きく分類すると2つです。
「日本で最も美しい村」連合の活動促進
「日本で最も美しい村」連合とは、2005年にできた組織であり、2023年5月現在は61町村の自治体が加盟をしています。
失ったら二度と取り戻すことができない地域の保護や、地域の持続可能に向けた自立をさせるために各町村が日々活動をされています。
木曽町では、2022年加盟町村の多良間村とのコラボを実施しました。
多良間村は沖縄県で唯一加盟をしている村です。多良間村は宮古島と石垣島の中間にある島国で、なかなか気軽に行けるところではありません。
しかし、そこだけにしかない素晴らしい美しい村ならではの風景を見ることができました。コラボの内容は、特産品の交換物産展を行い、木曽町からは普段は現地の市場に流通しない「半生そば」や「すんきスープ」など地元の名産から郷土料理の品物を用意しました。
現地の方々は、普段手に入らないものということもあり、多くの方にお越しいただきました。おかげさまで持ち込んだものは完売し、とても良い交流になりました。
また木曽町での物産展では、お互いの特産品を使ったコラボ商品を制作しました。多良間村の名産サトウキビから生成される黒糖と木曽町の小池糀店のお味噌を使ったフィナンシェをカフェ茶房松島に制作をしてもらいました。
全国でもこうした取り組みはまだ少なく、注目を集める商品となりました。フィナンシェは現在も販売をしており、島と山のフィナンシェとして茶房松島でお買い求めいただけます。引き続きた町村コラボを加速させていきたいと考えています。
2022年10月には、全国の美しい村の町村が集まるイベント「日本で最も美しい村まつり」が東京駅付近で開催されました。「伝統芸能披露」や「マルシェ(特産品販売)」「暮らしと体験」をテーマに美しい村を知ってもらうきっかけとなりました。
初開催ということもあり、お客さんに来てもらえるか不安でしたが、当日は天気も良くたくさんの人に来場いただきました。木曽町からは、全てのテーマで参加しました。
伝統芸能披露では、特設ステージで木曽踊りの披露を行い、会場全体と一緒に踊りを楽しむ空間を演出しました。
マルシェでは、事業者の皆さんの協力のもと特産品の魅力を発信できました。
暮らしと体験では、ひのき箸づくりを体験いただき、子供たちが一生懸命に木を削り、箸を作っていました。どのテーマも大成功といえる祭りになりました。
移住・定住向けの活動
地域でのイベントを開催して、地元・移住者・観光客との交流の場を作っています。特にモルックを通じた交流が多くの方に満足をいただけています。
モルックは木の棒を投げて、数字の書いてある木の棒を倒して得点を重ねていくフィンランド発祥のスポーツです。老若男女誰もが楽しめるユニバーサルスポーツであり、激しい動きもありません。
初対面の人とも一緒にやっているうちに仲良くなれることができ、交流を行う時にはピッタリのスポーツです。
木曽町では、モルックのサークルを作り、月に2回ほど楽しむ場を作っています。ゆくゆくは大会なども開き、町内外からたくさんの人に木曽町に来てもらえるイベントを開いていきたいです。
また今後は、ブッシュクラフト・デジタルデトックスのイベントも行っていきます。ブッシュクラフトは、キャンプとサバイバルの間の遊びで、極力少ない荷物で必要なものは現地調達・現地制作で過ごすものです。
ナイフスキルやロープワークを駆使して、自然を生かしながら拠点作りなどを楽しみます。デジタルデトックスとは、デジタル社会の新しい休み方と言われています。
現在、デジタルを手放すことができない状態の人が多くいるかと思います。デジタルの中では感じられない自然の魅力を木曽町で感じてもらいながら、デジタルとの付き合い方を考えてもらいたい。
このようなイベントも開催し、木曽町への移住者・関係人口の創出に努めていきたいです。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
地域の魅力を引き立たせる助演男優であることです。協力隊はその名の通り、地域の協力をする存在であると思います。だからこそ、先頭を担うことはもちろん、先頭ではなく、地元の人のサポートをしていくことが大切であると思います。
特産品のPRや観光客との交流、地域のイベントの手伝いなどに積極的に関わることが大切です。そうすれば地域の魅力を自分でも気づくことができ、地域の人と人を繋ぐこともできます。
地域内で活躍している人はたくさんいます。主役である人が少しでも陽の光や地域に訪れた人と繋がれることで、地域の経済も潤い、全ての人がwin-winになれると思います。
また、木曽町は中山道の宿場町であったことから、大半の人が寛容な方であると思います。そんな心優しい人のために少しでもPRの支援ができればと思っています。
地域おこし協力隊は、助演。主役を引き立たせることがやりがいになっています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
地域おこし協力隊として「のけもの」にされなかったことです。
地域の方が協力隊という存在を認識されており、温かくして接してくれています。これも先代の協力隊の皆さんがしっかりと活動をされてきた賜物であると感じます。感謝の限りです。
どこかにも記載しましたが、木曽町は中山道の福島宿があった町です。江戸時代には、多くの大名が体を休める場所であり、それだけ「おもてなしの文化」が根付いていると感じます。
近所の方からは、作り過ぎたからと晩ごはんのお裾分けをもらったり、「困っていることがあればなんでも言ってね」と声をかけてくれたり、移住して困ったことはほとんどない状態です。
当初は、怪しい人が来たと思われるのではないかと心配しましたが、そんなことはなく、何不自由なく暮らせています。それが想定外だったことです。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
地域内外をつなぐ存在になりたいと考えています。
具体的には、
- 地域商社としての特産品のPRや開発を行うこと
- 地域内でのイベントを開催して、町内への関係人口を増やすこと
地域で頑張っている人の応援をしたいし、自分が主役になることもしたい。欲張りであると思いますが、こんなことをビジョンにしたいと思っています。木曽町の魅力を世の中に届け、感じてもらいたいと思っています。
地域商社としては、食べ物や木工製品を通じて木曽の魅力を伝えていきたいと思います。ものはあるが販路がない。どうやって販売したら良いかわからない。ということが田舎では起こっています。そんな方の支援を少しでもできればと思います。
イベント関連では、地域を訪れてもらいファンづくりを行いたいです。木曽町の知名度は、比較的低いと考えています。特徴的なイベントを開始して、木曽町の自然の魅力と特産品の魅力を存分に感じてもらいたいです。
イベントは、ブッシュクラフトとデジタルデトックスを起点にした、木曽ならではのイベントを開いていきたいと思います。
木曽町の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
一言で言うと、お節介をしてくれる人が多い印象です。地域の中でイベントを開こうとすると、すぐ相談に乗っていただけます。
イベントの際には必要なテントや机・イスを用意してくれて、さらには運営面でも協力をしてもらえます。全てボランティアにも関わらず、細かいところまで面倒を見ていただけます。
さらには、その日の食事まで準備いただくなど至れり尽くせりです。全ては、木曽町を知ってもらいたいからという気持ちが前面に出ている証拠だと思います。そんなお節介を焼いてくれる人は木曽が好きであるということがよくわかります。
木曽町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
- 自然の距離感が近いこと
川が近くにあり水の流れる音が聞こえたり、日本の四季を自然の中から感じられたり、生き物たちの声や姿を間近に見ることができます。
こんなにも自然との距離が近い場所はそうありません。中でも山の近さには圧倒されます。
西に3,000mを超える御嶽山、東に2,000m後半の木曽駒岳が聳え立っています。毎日山からエネルギーをもらえ元気がでます。御嶽山の麓の開田高原には、木曽馬が放牧されています。
日本の在来馬であり、開田地域では、農耕馬として暮らしの営みの中に木曽馬がいました。木曽馬は戦時中の品種改良で絶滅寸前まで追い込まれ、保護をしていくため、木曽馬の里ができました。
現在は約50頭ほどが放牧されており、見ているだけで時間があっという間に過ぎるほどゆったりとした時間を過ごせます。餌やりや撫でることもでき、乗馬体験もすることができます。
同じ空間にいるだけでとても癒されるので、ぜひ覗いてみてほしいです。
- 「ふるさと体験木曽おもちゃ美術館」
木を活かした施設「ふるさと体験木曽おもちゃ美術館」が子供に大人気です。昭和の小学校の体育館を改装して作られたおもちゃ美術館は、見るだけではなく遊ぶことに特化した場所になっています。
赤ちゃんの専用の遊ぶ場所や収穫体験・ごっこ遊びができる場所があり子供たちは時間を忘れ遊び尽くしています。子供だけではなく、大人も楽しめる場所でもあります。かなり頭を使うおもちゃや創作活動ができるものもあり、自由な発想力を鍛えることもできます。
2022年11月にオープンしており、木曽で一番子供が集まる場所になっています。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
まずは一度歩いてほしいです。
自分の足で歩いてみて、五感で木曽に触れてみてください。
中山道の街道文化や開田高原の広大な自然・御嶽山を間近にするといろいろなことを感じると思います。自然の大きさや日頃の自分の行い、今自分が何を大切にしたいかなどじっくりと考えを巡らせることができます。
その中で、移住したら?という問いも、ぜひしてみてください。
絶対に移住してほしいとは思っていませんが、木曽のことを好きになってほしいと思います。
きっとその延長線上には、移住があると思います。木曽は関われば関わるほど深みが出てきます。ある程度の関わりができ、木曽に友人・仲間ができれば、きっとまた行きたいと感じると思います。
少しでも興味があればまずは私を訪ねて来てください。
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