移住者プロフィール
石渡 のりおさん
前住所:東京都、現住所:茨城県北茨城市、職業:芸術家
移住のきっかけについて教えて下さい
石渡のりおさん(以下、石渡):結婚当初、二人とも平日は他の仕事をしながら週末に作品を作るという生活をしていました。そんな時に東日本大震災が起きたんです。被災地の様子を目の当たりにしながら東京で暮らしていると、次第に自分の生活にもやもやとした違和感を覚えるようになりました。
週末だけの創作活動を本格的にやりながら、自分の責任の範囲内でもっと取捨選択して生きていけば、より自分自身が納得できる生活ができるのではないかと。災害で世の中が壊れてしまうこともあるのだから、やりたいようにやるのも選択肢のひとつじゃないかという結論に達し、会社を辞めることにしました。
移住して良かったことはどんなことですか?
石渡:ここは“自分のペース”が作れる場所なんです。誘惑を断ち切って、自分が集中できる時間をちゃんと持つことができます。“モノが手に入りにくい”というのも実はメリット。
赤色の絵の具がなくてすぐ買えないときは「青でもいいじゃん」って思えるんです。今ある環境にインスパイアされてものを作るのが、僕たちの基本的なスタイルですから。ここに来て創作活動の範囲がすごく広がりましたね。それでいて、東京との行き来も負担がない。とてもバランスがいいんです。
今後の展望についてお聞かせください
石渡:僕はここに来て自然がすごく好きになったので、これからもずっと自然をモチーフにした絵を描いていきたいです。自然をなにか別のものに変えていくのがアートの原点だと思いますし。
そのためにはまず、「マーケット」を作るのが課題です。芸術も野菜と同じように、流通の仕組みを作って必要としているところに届けて商売にしていく。芸術を生活と切り離すのではなく、「売る」という行為で生活の延長線上に置いていけたらなと思っています。