移住者プロフィール
近藤 仁美さん
移住時期
2020年
出身地:東京都、現住所:福島県福島市、職業:食堂ヒトト
目次
INDEX
食堂ヒトトとの出会いを教えてください
近藤 仁美さん(以下、近藤):前職である東京のオーガニックレストランで、フランス料理の勉強をする中、「日本人として生まれて料理をしていて、米がちゃんと炊けない、味噌汁がちゃんと作れない調理師ってどうなんだろう」と疑問を持ち始めたのです。
移住前は東京のオーガニックレストランで、フランス料理の勉強をしていました。職場でのオーナー同士が知り合いだったご縁で、「食堂ヒトト」と出会い、食事をしに何度かお店を訪問しました。
スタッフとフィーリングの確認や、一週間の研修に参加するうちに、自分が進むべき場所はここだと確信しました。当時のヒトトのオーナー夫妻に、考え方や生き方など刺激を受けていましたね。オーナー夫妻をはじめ、身近で大切な人達も背中を押してくれ、食堂ヒトトに就職するため、2020年4月に福島市に移住しました。
食堂ヒトトの魅力を教えてください
近藤:ヒトトのご飯は一見シンプルです。でもとてもこだわりがあります。たくさんの理論に基づいた調理方法と五感を使って、日々野菜と向き合っています。食べた後に細胞が喜んで力が湧いてくるような、そんな料理なんです。
ご飯の炊き方も季節や環境に合わせて変えていて、お味噌や調味料にもこだわっています。食の基本となるようなご飯とお味噌汁をしっかり作っているから、きちんと学びたいと思っています。
ほとんどの野菜は、取れたてをすぐに調理しているので贅沢です。お塩だけでおいしく食べられることもあるくらいです。それも、農家さん達が苦労と努力を重ねて、愛情持って育てているからこそ。東京ではなかなか感じられませんでした。
移住の決断に不安はありませんでしたか?
近藤:東京にいたときの方が不安でした。「東京はこの先どうなるんだろうか」とばかり考えていました。地元に大きな商業施設が出来て、個人店がなくなり商店街の人が減るという移り変わる状況に、寂しさも感じていました。
良い面ももちろんあるけど、ずっとここにいるのかな。別にここじゃなくても良いんじゃないかなって。街がこうなればと願うより、自分で動いた方が確実に早いと思いました。
何かイメージできるものがあったのですか?
近藤:幼い頃から、実家にある農業についての本を目にしていました。頭の中に、山形県米沢市の祖父が畑を耕す生活があり、「いずれは東京から離れて自分で育てた野菜で料理をしたい」というイメージがありました。
だから、移住に対しての不安は全くありませんでした。正直に言うと、震災後から3年ほどは、福島には怖いイメージがあって…なるべく近づかないようにとは思っていました。
東京にいるとあんなに大きなことでも忘れてしまうけど、でも、実際に現地に来てみると、みんな現実をしっかり見て向き合ってるんだなって感じました。
また、地元住民の食に対する意識や原発への考え方にも感銘を受けました。東京では、やる気のアピール次第で認めてもらえるところがありましたが、福島の人はみんな謙虚です。強く押しすぎるとひいちゃう。謙虚でピュアな方々ばかりです。
移住後のお住まいでの生活はいかがですか?
近藤:家は賃貸の民家を探しました。平屋で気に入っています。最初はシャワーがありませんでしたが、古いものに憧れがあったのでなくてもいいやと思っていました。
でも結局ご厚意で取り付けていただきました。今はシャワーがあって良かったと思います。やっぱりあると便利です。休日は、小さな庭でハーブを育てたり、年代物のインテリアを探したり、お店の仲間とヨガをして福島生活を満喫しています。
福島市ならではの魅力はありますか?
近藤:もちろん、直売所で手にする地元の食材を使った料理も欠かしません。福島市に来た最初の2週間は、新型コロナウイルス対策で自宅待機していましたが、4月は山菜と野草のシーズン。
近所の山でタラノメ、コゴミ、ワラビ…河原だとヨモギやつくしとか、ずっと摘んでいました。どれもすごくおいしくて少し食べるだけでもサプリメントのような効果を実感します。自然豊かで水も綺麗な福島ならではですよね。みんなで山でコーヒーをよく飲むのですが、そういう日常が素敵だと思います。
今では福島の広い空と素敵な山が大好きになりました。東京で働いている母もアウトドア好きなので、退職したらいずれは祖父が老後を過ごした米沢に行きたいと言っています。福島のイメージは米沢の近場というイメージしかありませんでしたが、雪のことも考えると福島市は理想的な場所かもしれないですね。
今後の目標を教えてください
近藤:自分で作物を育てたいです。料理と畑が一緒になっている生活は、今も昔も変わらない私の夢です。野菜は本当においしいので福島の豊かさを身近に感じ、食べたいものを自分で育ててみたいと思います。
移住を考えている方へメッセージをお願いします
近藤:移住を難しく考えなくて良いと思います。気軽というともしかしたら失礼な言葉かもしれませんが、その土地を知るには住んでみるのが一番!惹かれた土地があれば住んでみたら良いいと思います。
福島でのお気に入りは...
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出典: 空も山もお気に入り