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プロフィール
株式会社アリアケスイサン
所在地:福岡県大川市
業種:海苔養殖業
商品:海苔
会社URL:http://ariakesuisan.com/
会社の事業内容を教えて下さい。
福岡県大川市で、有明海産の海苔を育てています。日本一の海苔産地である有明海は、古来より「宝の海」と呼ばれ、地域の食文化を支えてきました。
有明海には、山や森で育まれた栄養が筑後川をはじめとする多くの河川から流れ込みます。干満の差が最大6メートルという海の特徴と、海苔漁師が長年培ってきた技を最大限に活かすことで、旨味成分や多くのミネラル類に富んだ美味しい海苔が生まれます。
このようにして、祖父の代から海苔を作り続けています。

商品(サービス)の魅力について教えて下さい。
当社では海苔の生産だけでなく、一部の海苔製品の販売も行っています。特に、先代の父が試行錯誤を重ねて作り上げた新しい海苔『紫彩』に力を入れています。『紫彩』は、食感や風味が最も良い“一番摘み海苔”のみを使用しており、美味しさはもちろん、海苔本来の旨味成分やミネラルを豊富に含んだ逸品です。
『紫彩』はシート状にせず、手間のかかる“ばら干し”という海苔本来の形状で乾燥させています。これにより、口に入れた時のしゃきしゃきとした食感と、後から広がる濃厚な旨味を楽しむことができます。和食はもちろん、パスタやサラダなどさまざまな料理とも相性抜群です。

お仕事のやり甲斐はなんですか?
自然の中で食べ物を作ることは素晴らしいと感じています。もちろん、自然の脅威に振り回されることも多々ありますが、だからこそ自然からいただく恵みのありがたさを実感しています。
また、自分が作った海苔を販売することでお客様の声を直接聞くことができることや、生産者と消費者が直接繋がることで生まれる新たな発見や交流が、日々の仕事の原動力になっています。

仕事していて大変なことや困難だと感じることを教えて下さい。
海の仕事は天候に左右されることが多く、海上での作業は時に危険を伴います。有明海は干満の差が日本一大きい海であるため、いつも出航できるわけではなく、大潮の干潮時には帰港できないこともあります。
さらに、収穫期になると昼夜を問わず収穫に出るため、海苔の生育と潮のリズムに合わせた生活になります。漁期中は大変ですが、逆にオフシーズンは潮の時間に合わせる必要がなく、比較的ゆっくりした日々を過ごすことができます。

今後の展望や、挑戦してみたいことについて教えてください。
近年、有明海では海の栄養不足による不作の年が増えています。それでも、筑後川の河口域の漁場は山や森で育まれた栄養が注ぎ込まれ、栄養が豊富で良い海苔を作ることができています。そんな筑後川に少しでも恩返しがしたいという思いから、筑後川の清掃活動を始めました。
今後は清掃活動の輪を広げ、筑後川上流の森林保全活動や植林も行いたいと考えています。また、ワークショップを通じて、多くの人に海苔のことや、山や森と川、海の繋がりについて知ってもらいたいと思っています。

地域の魅力について教えて下さい。
福岡県大川市はその名の通り、筑後川の下流に位置しています。この地域は、上流の山々からもたらされる良質な木材により家具産業が発展し、現在では日本一の木工の町として知られています。
そのため、木工技術を学ぶために移住される方もいます。人口3万人規模の田舎ではありますが、比較的移住者を受け入れやすい土地柄です。
木工以外の特産品としては、あまおう、アスパラガス、お酒、酢、かまぼこ、海苔が挙げられます。また、筑後川に架かる「筑後川昇開橋」は大川市のシンボルであり、特に夕陽に映える姿は美しいものです。

移住して地方の仕事を志す方へメッセージをお願いします。
現在、弊社で頑張ってくれている社員のM君は、東京からの移住者です。7年前、お試し移住で隣町に来ていたところを知人の紹介でスカウトしました。
本人は当初、漁業をやるつもりはなかったそうですが、やってみたら自分に合っていると思い、今では私の右腕として活躍しています。
地方の人間からすれば、まずは足を運んでくれるだけでも有り難いです。いきなりハードルの高い移住ではなく、お試し移住や多拠点生活を視野に入れてみてはいかがでしょうか。