移住者プロフィール
藤本 純さん ・司さん
利用した支援制度
やまぐち暮らしセミナーin東京
出身地:広島県、前住所:静岡県、現住所:山口県周防大島町、職業:自家焙煎コーヒー豆専門店Café de Costa Rica代表
目次
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周防大島町に移住しようと考え始めたきっかけはなんでしょう?
藤本純さん(以下、純):僕は広島県出身ですが、両親が周防大島町出身のため、小さい頃は祖父母に会いに、よく訪れていました。 結婚を機に静岡で暮らし始めましたが、子どもが生まれて、久しぶりに周防大島町に行った時に、祖父母がとても喜んでくれたのです。それがすごく印象的で。
「こんなに喜んでくれるんだ」と思ったのと同時に、「あと何回、子どもたちに会わせられるんだろう?」と考えたのがきっかけです。僕が小さかった頃は、広島からちょくちょく行くことができたので、ひいおじいちゃんのことをうっすら覚えているんです。
だけど、静岡からでは年に1回来れるかどうか。 子どもたちに「ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんのことを覚えていてほしい」という思いもあって、移住を考え始めました。
具体的に移住に向けて動き出したのはいつ頃からですか?
藤本司さん(以下、司):夫から話があったのが、2017年の終わり頃だったと思います。私も何回か周防大島町に連れて行ってもらっていたので、「移住するのもいいな」と思っていました。
でも、子どもがまだ1歳になっていなかったし、移住先で仕事があるかも不安でした。
純:それは僕の両親や祖父母も同意見で、最初はあまり賛成されなかったんです。「仕事がないだろう」と。
司:それで、心配になって役場に連絡したら、「やまぐち暮らしセミナーin東京」(2017.12.16開催)というイベントを紹介してもらったんです。そこで住まい事情や働き口の情報を教えてもらいました。そこからだんだん具体的になっていったという感じです。
純:僕はその当時会社勤めだったので、僕も僕で仕事を探さないといけなくて。でも「せっかく移住するなら好きなことを仕事にしよう」と思って、創業したんです。
司:夫の趣味だったコーヒーが、いよいよ本格的になってきたのがちょうどその頃でした。「いっそ商売にしたらどうか」って、私から提案したんです。そこに移住の話が絡んできて、「自営業なら周防大島町でもできるんじゃないか?」という話になって。
純:関係のなかった「移住」と「創業」の話が、そこで繋がったんです。それからは、数ヶ月に1回ぐらい、周防大島町で家探しをしながら、お店を出す場所も当たって行きました。今のお店(チャレンジショップ)は、役場の人に教えてもらって申し込みました。
ところが、引っ越しの直前に大島大橋の衝突事故があったんです。引っ越しも開業も、予定が狂ってしまいました。最初はかなりいろいろなことが起こりましたね……。でも、先輩移住者や役場の方に助けてもらいました。
司:結局、夫が2018年の終わりに先に周防大島町に来て、私と子どもは次の年の春に追って引っ越してきたんです。
最初はもっと移住までに時間がかかると思っていましたが、コーヒーをきっかけに、トントン拍子に進んでしまいました。
周防大島町でコーヒーショップを開いてみてどうですか?
純:コーヒー文化が島に根付いていることに、ショップを開いてみて気がつきました。周防大島町には移民の歴史がありますよね。昔はハワイに移住した親戚からコーヒーが贈られてきたりしていたそうなんです。
開店当初は、「観光客がメインの客層になるのかな」と思っていたのですが、始めてみたら地元の方が常連になってくれました。
司:ご年配の方でも、休憩するときは「ちょっとお茶飲もうか」じゃなく「ちょっとコーヒー飲もうか」と話されているんです。土日は観光客の方が多いのですが、平日は地元の常連さんが来てくださるので、売上の差があまりないんです。普段使いで買ってくださって、有難いですね。
移住後の暮らしはいかがですか?
純:海が近いのがやっぱりいいですね。静岡では海まで車で30分ぐらいかかりましたが、ここでは歩いて数分です。子どももあっという間に野生化してしまいました。(笑)
司:そう、子どもたちはどんどん馴染んでいきましたね。「自然が近いってやっぱりいいな」と思います。街中だとわざわざ連れて行かないといけないけれど、ここでは勝手に遊んでくれますから。
純:今年はコロナが流行って、「どこにも行けない」みたいなこともありましたけど、島の生活は比較的自由だったので良かったですね。
今後の展開について教えてください
純:このチャレンジショップは期間限定なので、場所を変えてこれからも島の中でお店を開こうと思っています。
かつて祖父母のみかん畑の一部だった土地を、コーヒー畑として開拓しているので、併せて頑張っていきたいです。
司:私は、「せっかく移住したのに、仕事に追われるのももったいない」と思っていて。コロナの影響で夫がしばらく土日休みだった時期に、久しぶりに家族で過ごす時間が取れたんです。今後の生活を考えるきっかけになったなと思います。
最後に、山口県への移住を考えている人たちへメッセージをお願いします
純:自分のやりたいことがはっきりしていれば、すごく暮らしやすい所だなと思います。「なんとなく、土いじりしながらのんびり暮らしたい」という方も多いのですが、やっぱり仕事はしないといけない。そういった暮らしの輪郭がはっきりして来るといいかなと思います。
司:私は逆に、周防大島町に移住するタイミングで、フリーランスから会社勤めになったんです。だから、「田舎暮らし=独立」というわけでもないかなと思うんです。
知らない土地で不安なことも多い中、就職して生活のサイクルを落ち着けてから、環境に馴染んでいく、という方法もありだと思います。
純:「田舎暮らしになったから農業しなきゃ」というようなことは全然ないです。それぞれの暮らしやすい形があって、それを選びやすいのが「田舎」なのかなと思います。
司:ただ、車の運転はできるようになっていた方がいいですね(笑)。