移住者プロフィール
後藤 由花さん
出身地:東京都、前住所:東京都、現住所:山形県酒田市、職業:教員
目次
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どのような学生時代を過ごされましたか?
後藤由花さん(以下、後藤):休みの日は、自転車で連なって遠くまで出かけるようなアクティブな家族の中で、二人姉妹の長女として育ちました。父が野球好きで、野球の楽しさを教え込まれて育ったこともあり、中学校からソフトボールを始めました。
初めはヒョロヒョロしていて、いつ辞めちゃうだろうって顧問の先生から心配されるタイプだったんですが、ピッチャーを任されるようになる頃には、部活に夢中になっていました。
中高一貫の女子高だったんですが、部活の後に河原で着替えたり女子っぽくない雄々しい時間を楽しんでいましたね(笑)。練習はきつい時もありましたが、チームのみんながいて支え合えたから頑張れました。
個人競技だったら絶対に6年間も続いていなかったと思いますね。部活の仲間とはずっと繋がっていて、今でも酒田に遊びに来てくれたりします。大学卒業後は、私立の学校で教員として働いていました。
東京の目黒区にある中高一貫校だったんですが、そこは共学だったので初めて男子中学生・高校生と接しました。今まで知らなかった男子たちのテンションに驚く時もありましたが、イタズラして大笑いするのは自分の学生時代と同じで、なんだかホッとしました。
酒田市出身のご主人との出会いについて教えてください
後藤:夫とは、勤務先の学校で出会いました。山形県出身の新しい講師の先生が来ると聞いていたんですが、私はなぜか秋田県と勘違いして覚えてしまったんです。夫が着任の挨拶で「東京に来て嬉しかったことはSuicaを使えたことです」って話してて、秋田ってどんだけ田舎なの~? って思った記憶があります。
当時、私は中等部を、夫は高等部を受け持っていたのであまり接点はなかったんですが、印刷室などで見掛けるといつもニコニコしていて穏やかで、その上、夫の髪型が坊主頭だったので、「きっと実家がお寺で、お坊さんなんだ」って勝手に思っていました(笑)。実際はお寺とは無関係で、単純に顧問をしていた部活の関係で坊主にしていただけなんですけどね。
今から思えば偶然なんですが、私は小さい頃から「ミルクケーキ」というお菓子が大好きで、通勤バッグに入れて持ち歩いていたんです。夫と帰りのバスが同じになった時に、「このお菓子、知ってますか?美味しいんですよ!」って渡したら、「知ってますよ! 山形のですから!」って言われて、それが山形の名菓だって初めて知ったのと同時に、夫が秋田県ではなく山形県出身で、自分が勘違いしていたことに気付きました(笑)。
夫と一緒に働き始めて既に1年以上経っていたので、ずいぶん長い間勘違いしていたことになりますね。
酒田に移住することになった経緯を教えてください
後藤:こうして徐々に会話が増えていった頃、実は夫はすでに山形県の教員採用試験を受けていました。夫は講師として目黒区の学校に勤めていましたが、3年目からは正職員として働くという話になっていたんです。
だから、講師2年目に地元である山形県の教採にチャレンジして、ダメなら東京でこのまま教師になろうと思っていたみたいで。お付き合いを始める頃にはもう試験に受かって山形に帰ることが決まっていたんです。
もうそこからは勢いが全て!って感じで、結婚と同時に私も酒田へ移住することにしました。これもまた偶然なんですが、ちょうど私と夫が出会ったころ、私の両親が酒田市へ旅行していたんです。もちろん夫とはお付き合いする前でしたから、酒田っていう地名を私から出したわけでもないのに、たまたま酒田へ行ったんです。
その際の酒田の印象がとても良く、食べ物も美味しかったみたいで、私が酒田の人と結婚して移住するって報告した時も、「いいじゃん! 酒田はすごく良いところだから安心だね」って、背中を押されたくらいでした。
こうして4月1日から酒田で働く夫と一緒にギリギリまで東京で働き、3月31日の夜行バスで酒田市へ移住しました! 今思えばすごいスケジュールだったなぁ。
移住後、酒田市の印象はいかがでしたか?
後藤:酒田を初めて訪れたのは移住する直前のお正月で、雪がたくさん積もっていて感動しました。ここ数年はお正月に雪がないこともありますが、その年は雪が多く、それまでウィンタースポーツなどやったことがなかったので、雪景色が新鮮でした。
白鳥が飛来することで有名だと聞いていたので見に行ったら、予想以上の数に驚きましたね。外を歩いてる人間の数より白鳥のほうが多かった!!(笑)
また、レンタカー会社のおばちゃんがすごくフレンドリーで、酒田の良いところやおススメのスポットなどを丁寧に教えてくれ、事務的なやりとりだけじゃなくて温かい関わりがあっていいなって感動しました。
そしてお昼には「花鳥風月」の海老ワンタンメンを食べました。ワンタンの皮の薄さや美味しさにこれまでの概念が覆され、移住後の趣味となったラーメン食べ歩きのきっかけにもなりました。
現在のお仕事について教えてください
後藤:現在は私も山形県の教員採用試験に合格し、市内の中学校で教員をしていますが、酒田に移住してすぐの頃は、前職の経験を生かせる場はないか酒田市教育委員会に仕事の相談をして、非常勤職員という形で中学校へ週2日のペースで勤務していました。
移住者の私にとって、そのくらい時間に余裕がある状況はベストでしたね。車の運転の練習を兼ねて酒田市内や庄内地域を積極的に散策しました。
SNSで情報を検索しまくって、ラーメン屋さんや温泉、産直巡りなど、とにかく楽しみましたね。夫が休みの日は各地で開催されているお祭りやイベントにもたくさん行きました。お祭りで必ず売っている「玉こんにゃく」も初めて食べた時から大好きで、今も県内各地で食べてます!
酒田市ならではの楽しみなどはありますか?
後藤:庄内地域は果物が美味しくて感動しました。農家さんもあれこれ工夫して「くだもの狩り」だけじゃないイベントを企画してくれています。私が毎年楽しみにしているのは、『朝摘みさくらんぼ×朝カフェ』というイベントなんですが、まずはさくらんぼ狩りをして様々な種類を好きなだけ食べ、その後近くのカフェが用意してくれた美味しい朝食とコーヒーを頂きます。
さくらんぼの木の下って不思議と心地よく新鮮な空気に包まれていて、東京では絶対に味わえない贅沢な時間を満喫できます。最初は夫婦で、息子が生まれてからも毎年参加しています。去年はベビーカーに座っていた息子が、今年は自分で歩いてお目当てのさくらんぼを探していて・・・。
来年は自分でさくらんぼの種を出せるようになってるかな~なんて、イベントと息子の成長がリンクするのも楽しみのひとつになっています。
あっという間に定員に達してしまう大人気イベントなので、来年も公開になったらすぐに予約しようと思っています! 同様のイベントで「ぶどう園と小さなカフェ」というぶどう狩りバージョンもあり、こちらも美味しくて楽しくて大満足ですよ!
地域行事や地域の方との交流についてはいかがでしょうか?
後藤:SNSを駆使して情報を集めている中で、「庄内おばこ華の会」という地域に根差した踊りの団体がメンバーを募集をしていることを知りました。踊りの経験はありませんでしたが楽しそうだったので、思いきって入会してみることにしました。
酒田市の夏の大イベントである甚句流しで踊らせていただいて、すごく良い経験になりました。入会した翌年に息子が生まれ、その年は甚句流しへの参加を断念しようかとも思ったのですが、0歳児連れでの練習参加を会の皆さんが快く受け入れてくださり、練習中には代わる代わる抱っこしてもらいながら、無事に参加することができました。
本番は4時間以上離れなければならないので、参加しないという選択をしたほうが楽だったとは思いますが、自分がやりたいことを楽しんでいる姿を示すのも子育てには大切だなぁと思って参加しました。
華の会の皆さんや夫など、支えてくれる人たちがいるおかげですね。去年は参加できていないのですが、また必ず復帰したいと思っています!!
移住者同士の交流などについてはいかがですか?
後藤:酒田の人は、本当に温かく優しいです。よく「来るもの拒まず」って表現されますが、まさにそうだと思います。新しい物や楽しいことが好きな港町の気質ですね。ただ、裏表なくサッパリしていて「去る者追わず」な一面もあるかなぁって感じます。
だから、酒田に移住した人たちが強く繋がれる場所を作りたいっていう想いで、「庄内で暮らそう!移住者交流会」の副会長をやっています。年に3回、様々なイベントを企画していますが、秋は必ず芋煮会を開催してます。もちろん豚肉&味噌味の庄内風ですよ!親子ほど歳の離れた方から釣りのお話を聞いたり、初対面の人と好きなラーメン屋について語り合ったりと、移住者交流会だからこそ作れた「つながり」を、これからも広げていけたらと思います。
運営チームは、私を含め移住者やUターン者がメンバーとなっていて、普段はそれぞれのフィールドで忙しい日々を過ごしています。なかなか全員が集まれる時間はないのですが、いざ集まった時には久しぶりな空気感は一切なく、「同志」という感じで楽しい時間を過ごせて、強い結びつきが実感できて嬉しいです。
「移住者交流会」とはいうものの、移住者ばかりが集まってもしょうがありません。これから移住する人・移住して間もない人が、庄内出身の方々と話して雰囲気を掴んだり、今後の人脈に繋げるのも大きな目的なんです。
移住希望者の人が、「ああ、ここで楽しくやっていけそう」って思えたら万々歳! 色々なロールモデルがあると移住を考える人にとって心強いはずなので、様々な年代の地元の人にもぜひ参加して欲しいと思っています。
酒田へ移住を考えている方にメッセージをお願いします
後藤:移住者交流会ももちろんですが、色々なイベントに積極的に参加すると、その地域の方々の特徴やどんな空気感かが分かるので、ぜひ参加してみて欲しいと思います。都会では得られない、人と人との繋がりを改めて感じることができますよ。そして、酒田での暮らしを楽しんで欲しいなぁって思います。
おススメのイベントは毎年7~8月に開催される「酒田港クルーズ」です。酒田市本土と離島・飛島を繋ぐ定期船「とびしま」で、日本海に沈む夕日を眺めたり、うみねこ(カモメ)と触れ合ったりできるクルージングで、とても楽しいです。酒田港の港内を約1時間かけて廻り、ドリンクもフードも持ち込み可能なので、様々な年代の方が楽しめると思います。
最後に、酒田市の魅力を教えてください
後藤:3年前、酒田市内の小学校で「移住者からみた酒田の魅力」をテーマに、お話しさせて頂きました。講演の最後に、生徒たちに「酒田に足りないものやあったらいいなと思うものはありますか?」って質問したんです。
そうしたら「足りないものなんて何も無い、酒田はこれでいいんだ!」って意見が出たんです。小学生が胸を張ってこう言える酒田市って素晴らしいと思います!!