移住者プロフィール
黒川洋行・ 黒川愛紀子さん
前住所:東京、現住所:佐賀県唐津市、ニジノネNijinone経営
移住のきっかけについて教えて下さい
黒川洋行さん(以下、洋行):それぞれの両親の介護を終えたとき縛りがなくなり、「あとは僕らの自由にしていい」と思ったことがきっかけです。東京は大好きですが、せっかく自由になれたのだから、空気が全然違う土地で暮らしてみるのも良いと思いました。
黒川愛紀子さん(以下、愛紀子):「どこにでも住める」となった時に、最初に思いついたのが唐津でした。私は佐賀県武雄市出身です。学生の頃は佐賀県は何もない、つまらないところだと思っていました。母の介護のために月1くらいで実家に帰るようになり、改めて大人の目でいろいろ見たら結構面白くて。
嫌々介護のために帰るのではなく、楽しみに帰れるようになりました。唐津は、子どもの時に海水浴で毎年行く場所でイメージが良くて。改めて訪れたら、すごく気持ちがいい町だと思いました。
洋行:私は名古屋出身ですが、妻とともに唐津を何度か訪れたことがありました。これからの人生をより面白くできる土地を考えた時、いちばん唐津がしっくりきました。
唐津は、文化や歴史、お城もあり、住んでる人たちも自分の町が好きで誇りを持っています。そういうのが見える感じがとても良いです。山や川、海も身近にあって釣りができるのも良いところです。
移住に不安はありましたか?
愛紀子:人生のテーマは『一生観光気分』。「きっと私たちは、ここではずっとよそ者と思われる、どうせどこかから来た人と思われるんだったら、一生観光気分で楽しもう」と思っていました。
洋行:私は、受け入れてもらえるだろうか、東京を離れて大丈夫だろうか、という不安がありましたが、妻のその言葉でスッキリ消え去り、気が楽になりました。
無理してその土地に馴染もうとするのではなく、ただ謙虚にその土地にある楽しさを享受する。そうやって楽しむことに重きを置いた移住ライフを送っていきたいと思いました。引っ越してきた日は、唐津の一大イベントである唐津くんち(唐津神社の秋季例大祭)の初日でした。
移住がその時期だと知った唐津の鮨屋の主人に「それなら宵山*に間に合うようにおいで!」と言われ、強行スケジュールで引っ越し準備を進め、ぎりぎり間に合いました。
鮨屋の大将がすごく良くしてくれて「宵山の日は開けておくから食べにおいで」と言ってくれました。二人で食べていたら曳山が店の目の前にわぁって来て、まるで演出されているようで感動しました。来てよかった!!決めてよかったーーー!!!って。
*宵山…3日間ある唐津くんちの初日 午後7時半からたくさんの提灯で飾られた曳山が夜の町を巡行する。
移住後はどのような生活を送っていますか
洋行:2019年9月、東唐津にある海まで徒歩1分の一軒家をリノベーションし、ギャラリーカフェ「ニジノネ」をオープンしました。
店名の由来は、名勝「虹の松原」の根っこにあたる町にあることと、虹の根っこには宝物が埋まっている、という言い伝えからです。
愛紀子:1階はカフェ、ギャラリー。ギャラリーは2か月ごとの企画展示。2階は定員3名の図書室。蔵書は、デザイン、アート、写真、建築などの古本が中心。ワンオーダーで自由に座って読むことができます。
600枚以上あるアナログレコードも自由に聞くことができ、読書に飽きたら海までぶらりと散歩し、戻ってまた読書。そんな贅沢な唐津のひと時を過ごすことも可能です。
ここではなるべくモノは売らないようにして、時と空間を提供しています。なかなか難しいことなのだけど、それを目指しています。
飲食もここでの時間をよりよくするためのものです。アート・音楽・会話を楽しんでいただき、そして、ただそこにいて何もしない時を楽しむ。そんな新しい大人の楽しみ方の可能性を秘めた空間にしていきたいです。
洋行:ニジノネをオープンした今も、唐津では「暮らし」を最重要にしています。 それは当たり前のようで、決して当たり前のことではありません。
誰もがよりよく暮らすために働いているはずなのに、いつの間にか働くことがメインで、「どう暮らしたいか、どう生きたいか」を置き去りにしてしまっている人は、実は多い気がします。癖でつい働いちゃうから、なるべく遊び重視にして楽しまないと。
海にベンチを持って行ってビールを飲んだり、釣りをしたり。働くことが最重要だった東京ではできなかった唐津での日常を、思いっきり楽しんでいます。
【Information】
ニジノネNijinone
毎週金土日月営業/15:00~21:00
駐車場2台(軽4台)有り