移住者プロフィール
楢崎 恵さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
鹿児島県肝付町の地域おこし協力隊、趣味・特技:愛犬の散歩
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
私は夫婦で会社経営をしています。 結婚式の引出物サービスを展開しており、関東、東海、関西の結婚式場と提携し、これから販路を広げていこう!と走り出した矢先に、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響でブライダル業界も大打撃を受けました。
もちろん自社も例外ではなく、引き出物の注文が全てキャンセルになり八方塞がりの状態で、大変な時期が続きました。
その時、お世話になっている諸先輩経営者たちにお知恵や御縁をいただき助けられて、会社が存続でき今に至ります。あの時の周りの方々の思いやりや優しさは一生忘れられませんし、私の人生観が変わり始めたキッカケになりました。
この経験から、「次は自分が誰かのために役に立ちたい!」と思い、何気にスマホで「地域お助け隊」と検索。全国各地で頑張っている人達が出てきました。 そこで初めて「地域おこし協力隊」の存在を知ることになりました。
活動内容よりもまず先に、出身地の鹿児島に恩返しをしたいと思いました。さらに検索を続けると、祖父母の住んでいた鹿児島県肝付町がヒットしました。
小さい頃、夏休みに遊びに行った楽しい思い出が詰まった場所です。 身内や近所のおじちゃんおばちゃんの優しい笑顔が一気に映像として頭に思い浮かびました。
肝付町のためにできることをやってみたい!と思い、検索から数日後に応募しました。
鹿児島県肝付町を選んだ理由について教えて下さい。
現在の自治体を選んだ理由はいくつかあります。 その中で大きな理由として、 鹿児島県肝付町は祖父母が住んでいました。(2022年9月以前は10年程空き家)
小さい頃、夏休みに入るとすぐに祖父母の家に泊まりに行き、毎日のように海で遊んだり、祭りに連れて行ってもらったりと、楽しい思い出がギュッと詰まった場所です。
肝付町はどんな所?と聞かれますが、以下のように宇宙、科学、自然、歴史と、知れば知るほど探求心を掻き立てワクワクする町です。
- ロケット発射場のある町
肝付町は鹿児島県の大隅半島に位置し、日本でも珍しいロケット発射場のある場所です。 - 自然が豊かな町
900メートル級の山々が連なる肝付山系がひかえ、これらの山々に端を発する多くの川や滝があり肝付町を潤しています。 南東部は50キロメートルにわたる美しい海岸線があり、ウミガメも産卵に来る白砂の浜もあります。
しかも人口ではなく手つかずの自然溢れる浜辺が多くあるのも魅力です。 - 歴史のある町
900年余り続く国の重要文化財に指定されている神事「流鏑馬(やぶさめ)」や本土最南端の塚崎古墳があり、他にも謎のベールに包まれている深い歴史も多く点在している所です。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私は「宇宙のまちづくり地域おこし協力隊」です。 肝付町にはJAXA内之浦宇宙空間観測所があり、日本でも珍しいロケット発射場があります。
そこには、日本各地からロケットファン、宇宙好きな方々が訪れます。 私の活動拠点は、JAXA内之浦宇宙空間観測所から少し下った場所に「宙の家」という、宇宙グッズ、肝付町特産品を取り揃えているショップです。
宙の家は、JAXA見学後や、大隅半島をドライブ途中に、旅行の立ち寄り場所など、様々なお客様がご来店されます。 私は宙の家でスタッフとして接客・販売、商品開発、メディアやSNSを活用し肝付町をPRしており、肝付町への交流人口を増やす活動をしています。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
地域おこし協力隊のやり甲斐はまだ途中段階で個人差はあるかと思いますが、私の場合は、「人」です。 私が携わっている方々は純粋で真っ直ぐな方が多い気がします。「生まれ育った肝付町をより良くしていきたい!」と本気で思っています。
活動拠点の宙の家のスタッフもそうですし、自治体も同じ気持ちです。周りに志を持った仲間がいるので、やりたい事が明確になり、実行までがスムーズです。
例えば、イベントをしたい!となった時、イベントをしたい理由としては、「肝付町への交流人口を増やしたい」です。
JAXAで「はやぶさ2」のイベントに合わせて宙の家でもイベントを開催しました。 はずれなし抽選会や、新商品のドリンク販売、ミニ物産展、ふるさと納税説明コーナーなど、外にテントを張りブースを設け、ご来店者に楽しんでいただきました。
宙の家のご来店者数はいつもの8倍を超えました。 ここまで楽しくスムーズに行えたのも、自治体やJAXA、宙の家での宣伝があったからこそです。
一人ではできることが限られますが、周りの協力があることに感謝です。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
地域おこし協力隊着任前は、やりたい事がとにかくたくさんあり、それを良しと思っていました。 イメージ的に、毎日いくつもの仕事をこなし、キラキラしている感じです。
いざ着任し、担当者から言われた一言は「まずは、生活に慣れること!地域おこし協力隊の活動はゆっくりやっていけばいいよ」でした。 やる気満々だった分、拍子抜けしました。
数か月経った今になると、言われた意味が分かります。 最初からギア全開で突っ走るとガス欠してしまう可能性があるので、まずは毎日の生活に慣れてほしいという労いの言葉だったのだと思います。
以前は自分が主で何かしたい!やり遂げたい!と思っていましたが、今は地域と自治体、活動先の方々にお力をお借りしながら(甘えながら)地域の歩幅に合ってきました。そうすることでとても楽になりました。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
【自社の株式会社umidas(ウミダス)での活動の幅を広げる。】という目標があります。
具体的には、
- 肝付町の魅力をPRするためにインバウンド⇔アウトバウンドの架け橋になる
- 肝付町に雇用を増やす
- 肝付町に移住者を増やす
- 100年先も住みやすい肝付町に
- 肝付町での成功事例を他の自治体へ惜しみなくお伝えし、住みやすい日本にする
肝付町の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
隣近所には平均年齢80歳オーバーのおじいちゃん、おばあちゃんが住んでいます。 港町ならではの声は大きいけど(海風で大きな声の人が多いそう)耳は遠いので、外で会った時の挨拶はこちらも大声になります。
移住して数日後、大型台風が上陸しました。 外はものすごい強風で、恐怖を感じました。電気は点かず、あたり一面真っ暗です。そこから1週間ほど停電が続きました。
もちろん初めての体験、文明の利器の凄さを改めて感じました。と同時に、夜は空一面溢れんばかりの星、星でした。こんなに夜空を見た事があっただろうか?日が経つと懐中電灯での生活も慣れてきました。
朝になると、近所のおばあちゃんが来て、「お腹空いてるでしょう?これを食べなさい」とさつま揚げを持ってきてくれたり、水やジュースをくれたりと、優しさが身に沁みました。
おばあちゃんに「停電で不便な事はない?」と聞いたら、「夜は早く寝るから別に不便じゃないよ、星が綺麗でしょう?昔の夜はこんな感じだったんだよ。」と。 自然に身を任せてのんびり夜空を眺めることができた貴重な経験となりました。
肝付町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
肝付町の魅力で、謎のベールに包まれている歴史に興味を持ちました。 とある場所に住んでいるご先祖様は倭寇(わこう)と言う海賊で、昔々日本の貿易外の琉球や朝鮮と貿易や親交があったとか、なかったとか。
書物が少ないので実際どうかは分からないそうですが、代々口伝えで今に伝わっているそうです。
他には、本土最南端の古墳がある地域があったり、妖怪一反木綿のルーツだったりと、ハッキリしていない所も何だかロマンがありミステリアスで好きです。
グルメに関しては、近所のスーパーで今朝獲れたてのお刺身を安くで買える事です。 このクオリティーでこの値段に驚きますが、有り難いです。辺塚だいだいをしぼった芋焼酎のお供にお刺身。地産地消がベストです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
私の住んでいる肝付町内之浦地区(うちのうら)は、海と山、夜にはこぼれんばかりの星が輝いている自然に囲まれた場所です。 その反面、スーパーやコンビニ、小中学校、銀行、ガソリンスタンド、病院もあり、ほぼ徒歩圏内で行くことができる便利さもあります。
それも相まって日常生活には不自由を感じません。 移住を決めた一つとして、町内全域に光ファイバー網を敷設しており、町内どこからでも光ブロードバンドを利用することができるという事があります。
インターネットがあれば仕事ができる私たち夫婦には最適な場所です。 程よく田舎で住むには事足りる肝付町内之浦地区は移住初心者には心からオススメです。
その他に、近所付き合いですが、「とにかく笑顔で挨拶をする!」これに尽きると思います。 気を使っているのは移住者よりも地元の方です。 どんな人が移住したか気になるけど最初は見守っている感じです。
なので、こちらからオープンに接する事が大事だと思います。 私が笑顔で挨拶をし続けていたら、駐車場を無料提供していただいたり、魚(特にお刺身)のおすそ分けをいただいたり、時期によっては伊勢海老もいただきました!
移住して感じたデメリットは、時期によって虫の大量発生することです。
私は2か月ほどで移住を決めました。迷いがなかった訳ではないですが、移住を検討している時点で今の生活を変えたいと思っていました。
移住して嫌になったらまた考えようと気楽な気持ちで住んでいます。 直感を大切に!どこに住んでも楽しい事はありますよ!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓