移住者プロフィール
大石 亘太さん
出身地:島根県松江市、現住所:島根県奥出雲町、職業:「ダムの見える牧場」経営者
目次
INDEX
牧場の経営を始めたきっかけは?
大石亘太さん(以下、大石):大学の農学部で放牧の研究がおもしろかったので、すぐにのめり込みました。牛を放牧すると何が変わるのか、何がおもしろいのか、経営の在り方や可能性を感じたので、自分でもやってみたい!と思ったのです。放牧すると、まず牛がよく歩きますので健康で長生きになります。
また、牛が歩くことで人の目を引く風景が生まれて、長い間には草原性の植物の成長が促進され、うまくいけば綺麗な景観ができます。ここが面白いところだと考えています。時間が経てばたつほど、美しい牧場になる可能性があります。
酪農家の夢を実現するまでの経緯を教えて下さい
大石:大学卒業後、山口県にある牧場にひとめぼれし、そこで牛飼いになろうと思いました。しかし年配の方が細々とやっておられる牧場だったので、経済的にずっとそこで働くわけにはいかず、畜産協会に就職しました。主に牛の血統登録や改良、一部放牧の推進や、経営のコンサルタント。
多岐にわたる業務をこなし、農家さんのフォローをするような4年間を送りました。26歳の頃、木次乳業がホームページで新しい酪農家を募集していました。募集の要綱は、「放牧をとりいれた経営をすること、40歳以下の若い夫婦であること、木次乳業に雇われるのではなく自分で農業経営をする気がある者。」理想通りだったのですぐに応募しました。
そして採用され、仕事を辞めて奥出雲町に移住し、「ダムの見える牧場」を開きました。
牛に餌をやる大石さん。牛たちの勢い、すごいです!
「ダムの見える牧場」には、どのような想いがありますか?
大石:「牛は景観動物だ」というのが僕の恩師の教えで、牛が外を歩いてると絵になると。そして牛が草を食べ、短い草地が保たれて、草原ができ、牛がそこで寝ると、そこに景観が生まれる。牛は風景を作る動物です。
この地で放牧をすれば、それが地域の魅力になりうる。そうすることで、僕は奥出雲町に貢献したいと思っています。ダムの見える牧場があることで、奥出雲町の力になれたらと思っています。
最近はバターづくり体験をやっておられます。奥出雲町観光協会のホームページから申し込みができます。
パンに乗せると最高!手作りのおいしさが楽しめます。手作りバターは、市販のものと違って塩が入っていない無塩バターです。
ですので、塩も一緒に出して、お客様がセルフで味付けして食べてもらってるそうです。また、水分も市販のものほど飛んでいませんので、かなりクリーミーなバターになります。
ご家族は移住についてどう思われていますか?
大石:妻は徳島県の出身で、奥出雲町の寒さにまいっていたこともありましたが、ここ何年かは暖かいので大した問題ではないようです。「住めば都」だと言って笑っていました。最近は、子どもたちが牛を連れて出てくれたり、掃除もしてくれるので本当に助かっています。
カラフルにペイントされた牛舎。下地は地元のアーティストさんが書かれたもので、10組くらいの親子が1頭ごとの牛の絵に好きに色を塗られたそうです。
やさしい色合いで、とってもかわいかったです!近くにある布勢小学校の子どもたちは、毎年牛の絵を描きに来てくれるそうです。
今後の展望についてお聞かせください
大石:現在、搾乳牛32頭、育成牛11頭、ブラウンスイス8頭を飼っています。近くで見ることができ、圧巻の光景です。牛の乳は、となり雲南市の木次乳業に出荷されています。この牧場をきれいにして、いつか公園のような牧場にすることが目標です。
この風景を見ながらうちの牛乳を使ったソフトクリームやお菓子が食べられる店舗を立てて、誰もが行きたと思うような場所を提供したいです。
その店舗の2階は、足が延ばせるような和室にして、ダムや牧場やサイクリングイベントを眺めたりできて、楽しめるような雰囲気にすることが夢です。放牧をしているということを活かして、地域資源として、牧場が「ここにある」という意味を持たせていきたいです。
* ワープシティ編集部が、記事の内容を一部編集しております。