移住者プロフィール
萬里小路 忠昭(までのこうじ ただあき)さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
茨城県大洗町の地域おこし協力隊、趣味・特技:読書・散歩・整理収納
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
大洗町で2022年1月〜3月に開催された「地域課題解決プログラム」に参加したことをきっかけに、町役場の方に声をかけていただきました。
その前年(2021年)から地方創生に関わる仕事で、インタビューや運営事務局などの仕事をし始めたのですが、より地域の当事者としてまちづくりなどに関わる経験も積んでみたいと思いプログラムに参加しました。その中で、地域おこし協力隊の仕事はもっと踏み込んだ地域活動ができるのではないかと思いました。
また、契約も委託型だったことで、これまでのフリーランスでの働き方を継続できること、家族で住んでいる神奈川県の拠点も残したまま活動できることが決め手になりました。
茨城県大洗町を選んだ理由について教えて下さい。
大洗町の「地域課題解決プログラム」に参加したことが、地域おこし協力隊に応募する直接的なきっかけになりました。その背景には、茨城県が私の出生地であるという理由があります。
大学卒業後、それまで住んでいた茨城の実家を離れて10年以上、茨城と関わる機会や動機が全くありませんでした。しかし、地方創生に関わる仕事を始めた際、その取り組みがとても社会的意義のあるものだと感じるようになり、ふと「出身地である茨城に何か貢献できないだろうか」と考えるようになりました。
そんな折、2021年12月頃、妻がSNSでたまたま見つけて教えてくれたのが、大洗町のプログラムでした。このご縁が、私が地域おこし協力隊としての活動を目指すきっかけになりました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
2022年5月に着任して以来、大洗町の「関係人口創出」に取り組んできました。
私自身、町外に在住しながら大洗町の魅力や課題に触れ、イベントの企画・運営を行う中で、関係人口の当事者として活動してきました。人口減少や少子高齢化が都市部よりも進んでいる大洗町にとって、関係人口の存在が将来のまちづくりや地域活性化の鍵になると感じています。
これまでの具体的な活動としては、町にライトに関わる「まち歩きイベント」や「MAPづくりワークショップ」の実施、地域と深く関わる「ワーケーションプログラム」、さらに地域の事業者とプロジェクトチームを結成して行う「ものづくり」や「場づくり」のまちづくりプログラム、そして「二拠点居住体験ツアー」などを企画・運営してきました。
地域おこし協力隊のやりがいはなんですか?
人によってそれまで培ってきたスキルや経験、大事にしている考え方や価値観、地域との出会いのきっかけなどが異なります。
そのため私個人の話という前提になりますが、企画運営したプログラムに参加してくれた人たちが、主体的に大洗町の魅力と課題に触れ、地域の人たちと関わった上で、何か行動を起こす姿を見た時にやりがいを感じました。
私は直接的に形あるものを生み出すことができない人間で、どちらかというと人と人をつないだり、地域との関わりのきっかけをつくるコーディネータータイプなので、自分のアイデアやファシリテーションなどによって周りの人が自発的に動いていくことが、自分の存在価値だと思っています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
ネガティブな意味での「想定外」は、正直なところ特にありません。人によっては予想外だと感じるようなことも、私は「そういうこともある」「そういうものだよね」と受け入れるようにしています。
強いて挙げるとすれば、昨年(2023年)に第1子が誕生したことは、着任時には想定していなかった出来事です。それまで妻もテレワークで働いていたため、私たちは1ヶ月の半分を神奈川で、もう半分を大洗で過ごす二拠点生活を続けていました。
子どもの誕生後は、その生活ペースが変わり、一人で大洗で過ごすことも増えました。生活リズムや習慣は大きく変化しましたが、協力隊としての活動に大きな影響は出ていません。町役場の方々からも「子どもとの時間を大切にしてください」と温かい言葉をいただき、おかげでプレッシャーを感じることなく、活動を続けられています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
私はフリーランスという時間や場所に縛られない働き方をしており、着任当初から二拠点居住の暮らしを続けていることもあって、移住や定住を考えてはいません。また、大洗町と関わるようになったきっかけが「関係人口」という形だったため、協力隊の肩書きがなくなったとしても、この関わりは変わらないと思っています。
着任時に「関係人口がまちづくりや地域活性化の鍵になるのではないか」という仮説を持っていましたが、これまでの活動を通じて、その手応えをよりリアルに、そしてポジティブに感じるようになっています。
これからは、その実感を社会的にも地域的にもインパクトのある取り組みへと発展させていきたいと考えています。大洗町とは、関係人口として、また二拠点居住先として、引き続き深く関わりを持ちながら活動を続けていきたいと思っています。
大洗町の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
大洗町で事業や地域活動をしている方々は、一人ひとりが自分の取り組みに誇りを持ち、自律している印象があります。なぜその事業や活動をしているのかを尋ねると、その背景や想いを何時間でも熱心に語ってくださる方ばかりです。
また、代々家業を継いでいる方も多く、大洗ならではの風土や習慣を大切にしながら活動されています。その一方で、時代の流れに合わせて新しいことにも果敢に挑戦しており、商品やサービス、イベント、プロジェクトなどが次々と立ち上がっています。
このような環境にいると、自分も頑張ろうという気持ちになりますし、大洗町はとにかく刺激と発見に満ちた町だと感じています。
大洗町の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
人口約1.5万人、面積約23㎢と茨城県で2番目に小さな町なのですが、海(太平洋)・川(涸沼川・那珂川)・湖(涸沼)に囲まれ、町内にはたくさんの松の木が立ち並び、自然環境に恵まれた町です。
そんな自然豊かな場所で趣味である散歩と読書をすると心身が癒されます。その一方で、県内随一の観光地として、特に休日は関東圏中心に全国からいろんな層の人たちがレジャーやアウトドア、イベントを楽しむ姿があります。
そんな陰と陽、静と動のコントラストがはっきりしているところが、私は大洗の最大の魅力だと思っています。好きなグルメはイメージ通りの海の幸ももちろんなのですが、地元ならではの定食屋さんの丼ものが好きです。
オススメスポットも海と言いたいところですが、私は自宅近くの涸沼川沿いからの夕日を眺める時間が一番好きです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
ここまで読んでくださった方はお気づきかと思いますが、私は現状、一つの地域に移住や定住をするつもりはなく、関係人口や二拠点居住を実践し、推奨している人間です。
その視点からお伝えしたいのは、「いろいろな地域に実際に足を運び、そこにいる人や出来事と関わり、可能であれば実際に暮らしてみる経験をしてほしい」ということです。その中で、自分が住みたいと思える地域や、やりたいことが見つかることもあるでしょう。そして、それが結果的に移住先になるかもしれません。
移住をゴールと考えるのではなく、「自分や家族はどのような暮らし方をしたいのか」「どんな働き方を目指したいのか」、さらには「子どもがいる方はどんな育て方をしたいのか」「どんな学びを得てほしいのか」といった問いを考え、探し、試す時間を大切にしていただきたいと思います。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2